ある事例についての報告書
これはとある研究者の書いた報告書。
超能力とはすなわち、このようなチカラであるという事を簡潔にまとめ上げた説明文である。
超能力。
それは、研究者達が未だに解析を続けている未知のチカラであり、科学的根拠が通用しないとされる、そんなチカラである。
世界には、そのような超能力が、時を経て段々と肥大化していった。全世界の人々が超能力に覚醒める可能性も有り得るのだ。
けれど研究者達の働きにより、解った事も幾つかある。
その中で最も重要とされる情報を二つ程提示する。
その一。『超能力は正常に扱わなければ、暴走する』。
すなわち、危機的状況に陥る事がある。暴走、という現象は能力の種類により多様な為、ここでは深く追究しない。
暴走しない為には、超能力を正常に扱う事が必要不可欠である。
そこで新たに、二十歳に満たない少年少女、つまり全国の小中高の生徒を対象とし、超能力訓練と称し週に一度、二時間程の授業を組み込む事を決定した。
尚、能力の種類分けは、以下の三つである。
現象型
能力型
武力型
振り分けは、各校が個人の能力を項目通り、的確に見定める。
また例外として、超能力が項目範囲外であった場合、特別教室を設け、能力の測定及び解析を行い、再度振り分ける。あるいは特別教室にて、超能力訓練を行う。
その二。『超能力には限界がある』。
例えば空間移動という能力がある。
それは文字通り空間を移動するというモノだ。ある地点からある地点へ、物体あるいは人物をどこへでも移動させる事が出来る。
しかし、限界はある。どうも物体の重さと距離に関係があるようだ。
仮に一グラムの物体を移動物質と設定する。すると、一グラムで約百キロメートルに及ぶ。とんでもない数値のように思えるが、研究の成果によると重量が上昇するにつれて、移動距離は小さくなるらしい。
つまり、物体が十グラム、百グラムと増加するたびに数値が減少していくのだ。
よって空間移動の場合の限界は、距離的な問題に関わってくる。
尚、移動系能力者の最高移動距離は、原則として一キロメートル以下とする(個々により、移動距離は変化する事もある)。
この能力に限らず、あらゆる超能力に限界は存在するのである。
この二つの条件を踏まえて、超能力がどういうモノであるかが理解出来た事だろう。
以上で、超能力に関する現状報告、及び調査の結果報告を終了する。
次回から本編です。
これは単なる余興のようなものなので、この時点で気に入らない方はすみません。