『第六世界』用語辞典
ただの用語集ですよ。
私はフィリベルト……いや、キアラ・デルヴェッキオだ。拙著『第六世界』を友人・樹がこのサイトに掲載してくれているのは、これを読んでいる諸君なら既に目を通してくれているはずだ。
途中まで掲載してもらったのを読むにつれて、色々と分かりにくい単語を引っ切り無しに使っているのに今さらながら気付いた。もちろん、出来るだけ説明を入れてから使うようにはしているが、わざわざその説明を探してもらうというのは不親切な話である。
そこで、遅まきながら特別な単語を集めた小辞典を作った。役に立てば幸いである。
なお、見出しについては、本文中ではかっこで囲んだ単語もかっこなしで掲載する。
《あ》
アテナ〈Athena〉[商標名]
『Ultrasonic Co.』が開発した、戦う事を目指した『鋼鉄花』の一派。名はギリシャ神話の知恵・戦術・芸術の女神から。シンボルは矛。
アフロディテ〈Aphrodite〉[商標名]
清く美しくある事を目指した『鋼鉄花』の一派。名はギリシャ神話の愛と美の女神から。シンボルは薔薇。
イヴ〈Eve〉[商標名]
人間に直接『種』を植え付ける研究の産物。かつて研究が進んでいたが、人道的観点から現在は禁止されている。
ウルトラソニック社〈Ultrasonic Co.〉
米国の大手軍需会社。『Athena』などの製造元。
おやかぶ【親株】
『鋼鉄花』の表人格の元となる記憶と、外見の元となる肉体の持ち主だった人間。大多数は故人だが、稀に俗命人物もいる。
オリーヴ・ブランチ〈Olive Branch〉
『平和省』と対立している反戦地下運動団体。元は第三次世界大戦戦前~戦中に反戦運動を行った伝説的組織の名だが、解散後、ニコラス・クロードが上の組織にあやかってこの組織を設立した。明確に区別するため、前者を『Olive Branch Ⅰ』、後者を『Olive Branch Ⅱ』とする事もある。
【参考】歴代代表:ニコラス・クロード→ジョシュア・クレイソン→デービス・アックスマン→アッシュ・クロード
《か》
こうてつか【鋼鉄花】
現代の人物と過去の歴史上人物の記憶情報を人工脳にインストールしたアンドロイドの総称。人間の肉体に極限まで似せており、人工の器官を持つ。動力源は電気。
【参考】本辞典で取り上げなかった『鋼鉄花』:①Astraia…公平に裁く事を目指した一派。シンボルは天秤。②Cheiron…自分を追い求める事を目指した一派。芸術家集団。シンボルは弓矢。
《さ》
シリウス〈Sirius〉[商標名]
忠実な護衛たる事を目指した『鋼鉄花』の一派。名はおおいぬ座の一等星で、冬の星空で最も明るい星から。シンボルは閃光。
スピリッツ
『鋼鉄花』の補助充電装置。頬の差込口に差して使う。
せいミカエルとう【聖ミカエル島】
様々な国家が出資し合って造った、戦争を行う為だけの人工島。各国の軍隊が駐在している。通称:軍隊島。ミッドウェー諸島とハワイ諸島と、逆三角形を作る場所にあり、島の周囲は断崖絶壁で、海底には荒波に揉まれた岩が針山のようにそびえ立っている。徹底した管理を行っており、所定の手続きを終えないと島から出られない。
セントマイケルていこく【セントマイケル帝国】
『軍隊島』の管理に当たるはずの『平和省』が、各国駐在軍を洗脳した後、それを用いてハワイ諸島を占領して2031年に打ち立てた独裁国家。2033年には、オセアニア諸国を次々と占領し、東南アジアやオーストラリア大陸にまで迫っている。君主は女帝ギネヴィアだが、実際は総督による傀儡政権である。
【参考】『平和省』下部組織:
①安全庁…民衆の監視が主な任務。最も過激な役所の1つ。拠点は『安全庁強制収容所』。
②友好庁…外交が主な任務。ほとんど対外侵略における軍の運用を行っている。拠点は『友好庁本部』。
③福音庁…洗脳状態発動スイッチとなる電波の送信を行う。全世界に支部を持つといわれているが、その正体は不明。拠点は『福音庁通信局』。
④好意庁…プロパガンダを行う。
⑤英知庁…帰還兵に行う「手続き」の監督を行っていたが、今は何を仕事にしているのか不明。拠点は『英知庁研究所』。
⑥正義庁…立法が主な任務。過激。拠点は『正義庁議事堂』。
⑦平等庁…財政が主な任務だったが、最近は公衆衛生も任されている。比較的良心的で、唯一その名に恥じないと言われる。拠点は『平等庁銀行』と『平等庁保険所』。
《た》
だいさんじせかいたいせん【第三次世界大戦】
2012年から2014年にかけて、東シナ海・日本海沿岸、中近東、アフリカ大陸、ヨーロッパを中心に起こった大規模な戦争。冷戦時代の西側諸国と東側諸国を引き継ぐような形の陣営で戦われた。軍事力に左右された短期決戦だったが、後期には核戦争に発展したため、戦勝国も敗戦国も都市が壊滅状態になり、自然においても、森林の大部分の焼失、多数の生物の絶滅、資源の枯渇(これはどちらかというと人間にとっての問題)など、多大な被害を受けた。
だいろくせかい【第六世界】
第三次世界大戦における核戦争が原因で、地球全体が壊滅・荒廃した世界の俗称。由来は、マヤ文明の暦「太陽の石」に記された第5の人間の世界(~2012年とされる)の後の世界という事からのようで、神秘主義者から一般社会に浸透した名称である。生態系の崩壊が原因で食糧・水問題が深刻化しており、失業者・難民を中心に餓死者が急増し、同時に都市はスラム化していった。人心は荒廃、世界的に犯罪が横行し、哲学者に「ネオ・デカダンス」と言わしめる状態に落ち込んでいる一方で、新興宗教が乱立している。都市の復興は遅れ、未だに放射線汚染が残る『Hazard Area』が数多くあるが、一方の自然やいわゆる田舎では、放射線に強かった生物が絶滅生物の後釜を務め、新たな生態系を構築し、復興を始めている。
たね【種】
『鋼鉄花』の裏の人格の元となる記憶の持ち主だった人間。通常、指を鳴らす事によって『親株』と『種』が入れ替わる。
とうざいせんそう【東西戦争】
第三次世界大戦後に誕生したドイツ2大貴族、メンデルベルグ家とヘルメスベルガー家の対立が元で2025年にドイツで起きた内乱。メンデルベルグ家の本拠地であるドレスデンを中心にした東陣営と、ヘルメスベルガー家の御膝元であるドナウエッシンゲンを中心にした西陣営とが、ドイツ全土にわたって激戦を繰り広げた。結果、ヘルメスベルガー家が勝利し、政府を脅かすまでの権力を手にする事になり、一方のメンデルベルグ家は離散することになった。また、この内乱により、ニューヨーク非戦闘条約(後述)によって実現されたはずの「平和」が、かりそめの物であった事も明るみに出ることになった。
《な》
ナイト・オブ・ザ・ラウンド・テーブル〈Knight of the Round Table〉
アメリカの傭兵派遣企業。既に1個の軍隊のようになっており、しばしば独自に行動する。略称:KRT。『騎士長(社長)』はイーサン・クロムウェル。『円卓の騎士』と呼ばれる幹部は、皆それぞれ「アーサー王物語」の円卓の騎士の名を通り名として持っている。ちなみに、個人的な話になるが、私の友人であるI・Mさん曰く、「社長は若干中二病が入ってた」ということらしい。
ニューヨークひせんとうじょうやく【ニューヨーク非戦闘条約】
2018年に締結された、絶対的平和の為の戦争放棄と完全軍備撤廃を謳った国際条約。2014年以来、敗戦国でファシズムの台頭が表面化し、次なる大戦への危惧が強まったために、戦勝国が4年費やして締結まで漕ぎ着けた。ただし、締結以降も国際間の抗争は絶えず、戦争を行う為の島を建造して、民衆の目を盗んで戦争をしていたという事実が最近露呈した。
《は》
プシュケ〈Psyche〉[商標名]
ルドルフ・シュタイナーとその妻、荻野若葉が共同開発した、人に愛される事を目指したアンドロイドで、最古の『鋼鉄花』。名はギリシャ神話に登場する、霊魂の擬人化である少女から。シンボルは蝶。
ブラックリスト〈black list〉
『安全庁』が編纂した、『平和省』の脅威となりうる人物をリストアップした書類。その危険度の度合いでA級・B級・C級に分類される。
【参考】分類:
①A級…3人以上の非戦闘員の殺害・遺体損壊が特に酷い殺人など死刑程度の犯行を行なった者、反『平和省』団体の幹部級もしくは特に危険な構成員など。
②B級…3人以上の戦闘員の平時における殺害・遺体損壊が酷い殺人など終身刑程度の犯行を行なった者、反政府活動者など。
③C級…懲役以下程度の犯行を行なった者、危険思想家など。
若干だけ見やすくしました。本人も「これ読みにく!!」と思ったんで。
また更新します。