第5話「黒雷の大剣」
第5話
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「マサヴェイ君~、朝ですよ~。お着替えしましょうね~♡」
と、いきなり部屋のドアが勢いよく開かれた。
マサヴェイ:「うーん、朝からなんだ?・・・シスモ・・・か」
シスモ:「そうよ♡どうかしら、似合う?」
とメイド服を着た人間の容姿のシスモがクルっとまわって、ポーズを決めてウインクをしてくる。
ふー、侍女になったのか・・・。
マサヴェイ:「まず、いっておくが、着替えは自分でするから手伝わなくていい」
シモス:「えー、そうなのー、お姉さんがやってあげるのにー、ブーブーですよ」
マサヴェイ:「不要だ」
シモス:「つっ、冷たいわー、泣いちゃうよー」
マサヴェイ:「はいはい。それと、その服も何とかしろ。目立ちすぎる」
シモス:「えーーー、可愛くて気に入っているのにーーー」
シスモのメイド服は大胆かつ華やかだ。
黒地に映えるレースが滑らかな肩から流れ落ち、胸元のラインはためらいなく美しさを引き立てている。
丈の短いスカートの裾からはすらりと伸びる脚が覗き、細やかな動きに艶を含んだ光が踊る。
妖艶で目立ちすぎるメイドだ。
王宮を歩けば、すれ違うすべての者の視線を奪うだろう。
これはダメなやつだ。
すぐに改善せねば。
マサヴェイ:「ゴシファーーー!」
ゴシファーが静かにあらわれ、一礼をする。
マサヴェイ:「シスモのメイド服を何とかせよ。露出禁止。眼鏡にロングスカート、それと髪形もストレートで地味にすること。あと、ハイヒールもダメ」
シスモ:「・・・マサヴェイ君~、それって全部ダメってことじゃないの~、そんなの私じゃないから。シクシクですよ~」
マサヴェイ:「うるさいぞ。ここで働きたいなら僕の言うことを受け入れてくれないとダメです!」
シスモ:「ふえーーん」
ゴシファー:「かしこまりました」
ゴシファーはシスモの腕をつかみ、引きずって部屋を出ていった。
・・・・・・・・・・
午後は市街へと出かける。
丸眼鏡をかけて地味になって不服そうな顔をしたシスモと黒の燕尾服のゴシファーが一緒だ。
馬車がある店の前で止まり、ゴシファーが扉を開けると、満面の笑みの魅惑的な人間の男性が手を振っている。
ゴモン:「マサヴェーイーくぅーん。ようこそ僕のお店へ♡」
僕とシスモが馬車を降りる。
ゴモン:「あれっ、あれれっ、あれれれれー」
そういいながら視線をそらしているシスモの周りをゴモンがじろじろ見ながら回り始める。
ゴモン:「もしかして・・・シ・ス・モ?」
シスモ:「いえ、違います」
ゴモン:「うそー、絶対にシスモだよ。どうしたの?その格好は?おもしろーい、ははは」
シスモ:「いっ、いえ、いいえ、違います!シスモさんとはどなたですか?」
ゴモン:「えっ、どうしたの?熱でもあるの?それとも記憶喪失?」
ゴモンは自分のおでこに右手をあて、シスモのおでこに左手をあてて熱がないか確認している。
シスモ:「あーーー、もーーー、わかったわよ!私よ。シスモよ!」
ゴモン:「やっぱり、そうだよね!何かあったの?」
シスモ:「王宮ではいろいろとルールがあるのよ!それ以上、何も言わないで!」
プイプイ、プリプリと怒っている。
マサヴェイ:「それでゴモン。なんの店を始めたんだ?」
ゴモン:「はいはい、そうでした。ようこそ~、僕の魔剣の店へ♡」
僕はゴモンに手を取られると店の中へとグイグイと引っ張っていかれる。
店内には剣、剣、剣――たくさんの剣が並んでいる。
どれも軽い魔力がエンチャントされている。
ただ、正面の壁に掛けられている3本の魔剣はそれなりのモノであることがわかる。
ゴモン:「マサヴェイ君のための魔剣を用意してありますよ~♡」
マサヴェイ:「それで僕を呼んだのか?でも、僕には良い剣なんていらないよ。使うことないから」
ゴモン:「あら、そうなの?でも、これから使うこともあるんじゃないかな~」
ゴモンがゴシファーをちらっとみる。
ゴシファーが頷いている。
いったい何が今後起こるというのだ・・・。
ゴモン:「奥の部屋へどうぞ♡」
奥の部屋は書斎だった。
そして、デスクの上には美しい飾りが施された木箱が置かれている。
僕がその前に立つと、ゴモンが木箱の蓋をとった。
黒雷の大剣!!!!!
僕は目が点になり、一瞬の間ができてしまった。
ゴシファー、シスモ、ゴモンはその僕の一瞬のわずかな動揺を見逃さなかった。
ゴモン:「なるほど。やはり、ですか」
ゴシファーが頷いている。
シスモはキラキラとした目で僕を見ている。
黒雷の大剣。
それは、龍魔王ヴィオデスの愛剣。
剣身から柄まですべての光を吸収する漆黒の色をした剣。
漆黒の雷を宿す魔剣である。
マサヴェイ:「なんのことだ?」
ゴモン:「いえ、なんでもないですよ♡男の子はカッコイイ剣が好きってことです。どうぞお受け取りください」
シスモがブンブンと激しく何回も頷いている。
ゴシファーはフッと微笑んでいる。
しかし、使用する機会があるとはどういうことだろうか。
世の中はそれなりに平和で、自他ともに認めるぐーたらな僕が闘うことなんてあるとは思えないのだが・・・
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