第4話「龍魔王七公爵」
第4話
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マサヴェイ:「なるほど・・・僕をここに連れてきたのは、そういうことか。ゴシファー」
ゴシファーは一礼し、
「申し訳ございません。事前にお伝えすると来ていただけないかと思いまして」
と、いつも以上に丁寧な口調だ。
マサヴェイ:「ふぅー、もう来てしまったのだから、いいよ」
僕の目の前には、男性が2人、魅惑的な男性が1人、女性が3人。
それぞれ思い思いの態度で僕を見つめている。
ヴィオデスの記憶のある僕には、この6人の魔族が誰なのか、もちろんわかる。
朱の羽根が炎のように揺らめき、全身から迸る怒気が空気を震わせている。
筋骨隆々の肉体に重厚な黒鉄の鎧をまとい、拳を握るだけで大地が唸りだす。
眼は常に怒りに満ち、ひとたび吼えると大地が燃え上がる。
―――――憤怒のフタン
波打つ金髪が揺れ、黄の羽根が春風のように柔らかく広がる。
静かに佇む姿は美しくもどこか陰を帯びている。
露出の少ない鎧はまるで感情を閉ざす殻のようだ。
細身の長身に湛えられた冷ややかな眼差しには、他者への渇望と内に秘めた炎が宿る。
―――――嫉妬のシヴァイア
緑の羽根がそよ風に乗って漂い、小柄な体に、眠たげな瞳と愛らしい笑顔。
だらりと垂れた腕にも油断が滲むが、その無垢な仕草には底知れぬ魔力が潜んでいる。
鎧は柔らかく、彼女の気だるげな美しさを包み込んでいる。
―――――怠惰のタルフェ
蒼の羽根が夜空のように深く艶やかで、長身の美形はまるで彫像のように整っている。
貪るような眼差しと自信に満ちた微笑、混沌と魅惑が入り交じっている。
彼の言葉は甘く、しかしその指先は欲望を奪い取る刃となる。
―――――強欲のゴモン
黒の羽根は闇を裂き、背に広げられたその巨翼から腐臭が漂う。
眼は深紅に輝き、指先の黒爪が空間を切り裂くたび、蠅の群れが渦を巻く。
その存在は生命を喰らい尽くす災厄の化身。
静かに笑うその顔には、異常な満足と永劫の飢えが共存している。
―――――暴食のボルゼブ
ピンクの羽根が甘美な香りとともに舞い、妖艶な鎧が身体の曲線を際立たせる。
彼女が歩くだけで空気が熱を帯びる。
大きな瞳は人の心を吸い取り、彼女を見る者の理性を試す。
微笑む唇には、甘さと毒とが混在している。
―――――色欲のシスモ
そして、執事の姿をした―――――傲慢のゴシファー。
270年前の龍魔王ヴィオデスの配下であり、龍魔王七公爵と呼ばれ、人々から恐れられていた魔族である。
しかし、白銀の剣士ブロンにゴシファーを除く6人は討たれたはずだ。
マサヴェイ:「そうか・・・復活したのか」
ヴィオデスは喜ぶだろうが、マサヴェイである僕としては混沌の始まりとしか思えない。
憤怒のフタン:「そのガキがヴィオデスなのか?」
怠惰のタルフェ:「う~ん、どうなのかしら~」
強欲のゴモン:「ヴィオデス様でないとしても、僕は好みのタイプよ、ふふ」
・・・・・僕はとりあえず大人しく様子をみることにする。
暴食のボルゼブ:「ひっひっひっ、どう見てもヴィオデス様ではないだろう」
嫉妬のシヴァイア:「本当にヴィオデス様が中にいるのか?気配は感じられないが」
マサヴェイ:(まあ、今はキューブの中に封印しているから気配はわからないだろうな)
色欲のシスモ:「うふふ、私はゴシファーを信じますよ。マサヴェイ君も可愛いし。問題ないです♡」
憤怒のフタン:「おい!ガキ!何とかいえよ」
自由な奴らだ。
僕は苦笑いをする。
暴食のボルゼブ:「ふっ・・・笑わせるな。あんな小僧がヴィオデス様だと?我は我の喰らうべき獲物を探す」
憤怒のフタン:「俺もだ。信じられん。あれがあのヴィオデスだってんなら・・・笑わせんな!俺は俺の拳で進むべき道を決める」
怠惰のタルフェ:「あら~、離れちゃうのね~。まあ、私はどちらでもいいけど、面白くなってきたわぁ~」
強欲のゴモン:「も~、ボルゼブとフタンったら~。マサヴェイ君を怖がらせちゃだめですよ。マサヴェイ君、僕が守ってあげるからね~♡」
ゾクッと背筋に冷たいものが走る。
色欲のシスモ:「まったく男子ったらっ。私はマサヴェイ君と一緒に居ようかな。ゴシファー、よろしくね♡」
傲慢のゴシファー:「わかった。シヴァイアはどうする?」
嫉妬のシヴァイア:「私は保留だ」
・・・・・・・・・・
“強欲のゴモン”と“色欲のシスモ”は僕についてくることになった。
“怠惰のタルフェ”と“嫉妬のシヴァイア”はとりあえずのところは静かにどこかで暮らすそうだ。
“憤怒のフタン”と“暴食のボルゼブ”は闘いを求めてそれぞれの道を進むようだ。
僕にはヴィオデスのように世界征服の願望はない。
龍魔王七公爵を率いて何がしたいわけでもない。
ただ、ぐーたらと静かに生きていきたいだけなんだから。
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