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第19話「動揺」

第19話

ご愛読いただきありがとうございます。

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グレた名門貴族の三男は、魔法の廃れた世界で、大魔導士の魔法の力をこっそり使い、世界を救う

第68話「動揺」も合わせてお楽しみください。

それから僕は頻繁にイネザベス研究室に出入りするようになった。

そして、熱心に魔道具の勉強をしている。


イネザベス先生もカコレット先生も、僕のたくさんの質問に嫌な顔せずというか、嬉しそうに答えてくれる。


おかげで、イネザベス研究室で生まれた魔道具の系統図や年表を書き上げることができた。


でも、1年前ぐらいから発明の速度があがっている理由がわからないままだ。

なにかしらのブレイクスルーがあったに違いない。

そうじゃないと、こんなに発明品のレベルやバリエーションが一気に上がるとは思えない。


そして、いつも挨拶ぐらいしかしないトシードに、聞いてみようと何となく思った。

ただ、何となく。


・・・・・・・・・・


マクシム:「ト、トシードさん、教えてください」

トシード:「えっ、なに?私にわかることなら・・・」

マクシム:「はい・・・、よろしくお願いします」


僕はノートに整理した魔道具発明年表を見せる。


マクシム:「あのー、1年前ぐらいから発明の速度があがっているのですが、何かあったのですか?」


一瞬の間ができた。


マクシム:「ど、どうかしましたか?」

トシード:「い、いや・・・、な、なんでもないですよ」

マクシム:「そ、そうですか・・・、何か変な質問をしてしまったかと思いました・・・、すみません」

トシード:「うーん、なんだろうねー・・・」

といいながら深く考えている。


僕は静かに彼の回答を待つことにした。


トシード:「イネザベス先生は何かいってました?」

マクシム:「いや、それがそこはあまり詳しく教えてくれなくて。カコレット先生もです」

トシード:「そうなのかー・・・」

マクシム:「そうなのです。なので、しつこく聞くもの申し訳ないなと思いまして・・・」


彼はだいぶ悩んでしまっているようだ。

これは申し訳ないことを聞いてしまったのかもしれない。


マクシム:「す、すみません。無理しなくて大丈夫ですよ・・・」

トシード:「い、いや。なにがあったのか思い出していたのです・・・確か・・・アスーカ教立図書館で・・・魔法陣の理解が・・・進んだって・・・いっていたような・・・気がするけど・・・」

マクシム:「な、なるほど。アスーカ教立図書館ですか。納得です」

トシード:「そ、そう。それならいいのだけども」

マクシム:「あ、ありがとうございました。これですっきりしました」

トシード:「それは良かった。でも、なんでそんなにいろいろ調べているの?」


僕は動揺が走ったが、表に出さないように必死に冷静を装う。


マクシム:「い、いえ、ま、魔道具に・・・そう、魔道具にとっても興味があるのです」

トシード:「ふーん、なにか作りたいものでもあるの?」

マクシム:「い、いえ、ま、魔道具が作りたい・・・というよりも・・・み、そう、み、見ているのが好きなのです!」

トシード:「そうですか。そういう趣味もありますよね」

マクシム:「そ、そうなのです。トシードさんの魔石通話器”モシモシ”は素晴らしい発明ですよね!どうやったら思いつくのですか?」


トシード:「そ、それは・・・テレポートホールの・・・魔法陣を・・・イネザベス先生に教えてもらった・・・から・・・です」


彼は、なぜかシドロモドロになっているような気がするが・・・気のせいか・・・


マクシム:「そうなのですか~。やはりイネザベス先生はすごい方なのですね」

トシード:「そ、それは、そ、そうです。まったくそうです。そう、そうです。間違いないです」

マクシム:「ふふ、トシードさんはイネザベス先生を尊敬しているのですね。わかります」


彼も頷いている。

やっぱりイネザベス先生はすごい人なんだな~と納得した。


そして、僕はノートにメモを猛烈に書き込んだ。


――1年前から発明速度が急上昇

――理由:アスーカ教立図書館で魔法陣の理解が進んだ(トシード談)

――魔法陣のブレイクスルーがあった可能性大

――テレポートホールの魔法陣 → モシモシ開発に応用

――イネザベス先生が魔法陣を教えた

――研究室の発明は魔法陣技術と強く関連している

――トシードの反応がところどころ不自然な気がする(何かまだ隠していることがある?)


この時、マクシムはまだ気づいていないが、このメモは後々“核心に迫る鍵”になるのだった。

最後までお読みいただきありがとうございました。

気に入っていただけた方は、ぜひ、

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よろしくお願いいたしますm(__)m

つけてくれると、嬉しいです。

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