表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/26

第15話「沈黙の中の声」

第15話

ご愛読いただきありがとうございます。

すでに、ブックマーク/星評価をつけてくださった皆様ありがとうございます!

ムツート連合国・政庁塔、第五会議室。

重厚な扉が閉じられた瞬間、空気が変わった。

円卓を囲む三人の重鎮たちは、それぞれ異なる威圧感を放っている。


・宰相 ミツイル・ナンブノフ公爵

灰色の長髪を後ろで束ね、銀縁の眼鏡を通して冷静な視線を投げかけてくる。

高齢だが、その姿勢は一分の隙もなく、言葉の一つひとつが刃のように鋭い漢だ。

黒と金の刺繍が施された宰相服は、彼の知略と格式を象徴している。

彼は理論と実績を重んじる男であり、感情に流されることを何よりも嫌う。


・諜報機関長官 ヨシアン・モーガスキー侯爵

対照的に柔らかな物腰で椅子に身を預けている。

栗色の髪を無造作に撫でつけ、細身の体に深緑の外套を羽織っている。

だが、その瞳は常に周囲を観察し、誰よりも多くを見ている漢だ。

諜報機関長官として、彼の言葉には裏の裏まで意味がある。

皮肉と笑みを交えた語り口は、敵にも味方にも警戒を抱かせる。


・将軍 ウレーナ・アシテミール公爵

“黒の戦姫”と呼ばれる無双の女傑。

漆黒の甲冑が身体を包み、長い黒髪は背に流れている。

左足の義足は床を打つたび、金属音が静寂を切り裂く。

その音は、彼女が戦場で失ったものと、今も戦い続ける意志を象徴している。

言葉は少ないが、発する一言には軍を動かすだけの力がある。

冷徹でありながら、内に秘めた情熱は誰よりも熱い。


円卓の上には、各国の地図と魔族の進行ルートを示す赤い線が広がっている。

その場にいる誰も、僕に目を向けようとはしない。


ミツイル・ナンブノフ宰相が、低く重い声で切り出す。

「エドザー王国は、かつて我らの交易路を一方的に封鎖した前例がある。信頼の土台がないまま、軍事同盟など夢物語じゃの」


ヨシアン・モーガスキー長官が、指先で地図を叩く。

「サマヴァーの獣人たちは、誇り高く、外の助けを恥とする。交渉の使者が誰であれ、“弱さの匂い”を嗅がれた瞬間に門前払いだな」


ウレーナ・アシテミール将軍は、義足を鳴らしながら立ち上がる。

「ならば、力を示すべきだ。交渉の前に、我らが魔族をさらに撃退し、実力を見せつける。そうすれば、奴らも耳を傾ける」


ミツイル宰相:「その自信があるとな?、ほほほ、勇ましいの。じゃが、それでは時間がかかりすぎる。魔王の動きは速い。各国が孤立したままでは、各個撃破されるじゃろう」


ヨシアン長官:「ではどうする?誰が、どの顔で、どの言葉で、彼らを説得する?」


議論は熱を帯び、声が重なり、時にぶつかり合う。

僕はその輪の外にいた。

誰も僕に意見を求めないし、言葉の隙間に割って入る余地すらない。


(まあ、いつものことだ。決まるまで待つか・・・)そう思いかけた、その時だった。

議論が、ふと止まった。

誰もが言葉を失い、円卓の上に沈黙が落ちた。

地図の上を、風が吹くように静寂が撫でていく。

誰もが、次の一手を見失っている。


その沈黙の中で、僕はゆっくりと立ち上がった。

椅子の軋む音が、やけに大きく響いた。


誰も僕を見ていない。

でも、僕は口を開いた。

「正式に国境を越えて交渉に出るにも時間がかかると思うので・・・・・僕は先に行って状況を見ておこうかと思います」

その言葉は、静寂の水面に落ちた一滴のように、場の空気に波紋を生んだ。


ミツイル宰相がぎょろっと力強い目で睨みつけてくる。

「なにをぐーたら小僧がいっておるか。すわっておればいいんじゃ」

その視線は、言葉以上に重く、鋭く、マサヴェイの胸を突く。


ヨシアン長官は「ほほーん」と顎に右手をあてながら、興味深げに見てくる。

その目は、まるで盤上の駒を見定めるような冷静さと好奇心に満ちていた。


ウレーナ将軍は、どちらともつかない表情で地図を見つめたまま、沈黙を保っている。

その中で、ヨシアン長官が口を開いた。

「それはいい案かもしれませんな」

その一言が、場の均衡をわずかに傾けた。


・・・・・・・・・・


その夜、僕は静かに王宮の私室を後にした。

月光が石畳を照らし、僕たちの影を長く引き伸ばす。


トカゲのヴィオデス

執事のゴシファー

メイドのシスモ

護衛の諜報員が3名


向かう先は、エドザー王立学園。


そのエドザー王立学園にはすでに諜報員として潜入している者がいる。

アユナ・モーガスキー。

諜報機関長官であるヨシアン・モーガスキー侯爵の娘である。

最後までお読みいただきありがとうございました。

気に入っていただけた方は、ぜひ、

・ブックマーク

・下の評価で5つ星

よろしくお願いいたしますm(__)m

つけてくれると、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ