第1話「転生」
第1話
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夜の冥界の大森林は、息を潜めるように沈黙している。
虚空に溶けるような黒い霧が木々の間を這う。
その森の中心で、瀕死の重傷を負ったヴィオデスはゴシファーに支えられながら膝をつく。
ゴシファーもまた重傷を負っている。
ヴィオデス:「白銀の剣士・・・ブロン・・・許さんぅぅぅーーー」
ゴシファーは涙ながらにヴィオデスの傷口を必死に押さえるが、傷口から滴る血は冷えた地面に紋章を描いていく。
そんな彼らの前に、白いローブを纏った男が音もなく現れた。
白いローブの男:「随分とやられたようだな、ヴィオデス」
ヴィオデスはゆっくりと顔を上げ、声のする方を見る。
ヴィオデス:「ふっふっふっ・・・、はっはっはっ・・・。お前かっ!!!」
いっきにヴィオデスの身体を青白い光が包んでいく。
まるで心臓の鼓動に連動するかのように、脈打つ魔力が大気を震わせる。
空気がねじれ、地面が軋み、木々の葉が舞い上がる。
ヴィオデス:「はあああああぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
彼の叫びとともに、轟音が森を揺らす。
肉体が砕け、骨が伸び、黒曜石のような鱗が皮膚を突き破って現れる。
鋭く裂かれた背中から、漆黒の翼が咲き乱れるように広がる。
瞳が輝き、牙が閃き、そしてその口から放たれた咆哮は――死すら震える雷鳴。
ヴィオデスは漆黒のドラゴンへと覚醒する。
その姿は、神すら沈黙する絶望の象徴。
空を裂き、大地を裂くドラゴン。
白いローブの男:「ふふふ。手加減はしないぞ」
ヴィオデス:「いらぬわっ!!!!!」
空は怒りの雷をはらみ、地がうねり、風が唸り声を上げる。
漆黒のドラゴンと化したヴィオデスは、翼で嵐を巻き上げ、天を裂く光線を吐き出した。
白いローブの男は、その波動の中に佇みながらも、一歩も動かず、指先に淡い光を宿す。
ヴィオデス:「砕け散れ!!!!!」
黒雷が奔り、白光が交差する。
大地が軋み、冥界の森が燃える。
魂の波がぶつかり合い、次元の膜が一瞬、裂けた。
そして――
白いローブの男の掌から放たれた輝きが、漆黒のドラゴンの胸元へ深く突き刺さった。
漆黒の鱗が砕け、ドラゴンの叫びが森を突き抜けた。
その叫びが静まりゆくと同時に、漆黒のドラゴンの身体が硬直し始める。
鱗が石へ、牙が鉱物へ、目がクリスタルへと動の輝きを失っていく。
最後の一息で、ヴィオデスは空を睨みつけた。
・・・・・・・・・・
ゴシファーが目覚めたとき、ヴィオデスと白いローブの男の姿はなかった。
ゴシファー:「ヴィオデス様・・・ヴィオデス様ぁぁぁーーーーー!!!!!」
ゴシファーの叫び声が、漆黒の夜の冥界の大森林に吸い込まれていく。
息を潜めるように森は沈黙したままだ。
・・・・・・・・・・
270年後。
ムツート連合国。
庭の大きな木の下。
黒髪の少年:「ふうーーー、ふわーーー、今日もいい天気~。いい気持ちだなぁ~」
執事:「マサヴェイ様。稽古の時間です」
マサヴェイ:「えーーー、もう、そんな時間なのか。いやだぁーーーー」
背を向けて逃げていく。
なかなかの足の速さだ。
しかし、一瞬で先回りした執事が目の前に現れ、ぶつかったマサヴェイの漆黒の黒髪が揺れる。
執事:「さあ、行きますよ」
マサヴェイ:「ゴシファーのケチっーーー」
執事ゴシファーは、マサヴェイの襟をもち、ズイズイと引っ張っていく。
マサヴェイ:「放せぇーーーーー」
執事ゴシファーの顔は嬉しそうだ。
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