初めての任務
数日後。
フロストの初任務の日がやって来た。
彼はDR――ハンカーに協力する科学者として認定され、新たなパートナーとの任務を控えていた。朝から落ち着かない様子で、何度も端末を確認しながら、グランドブルー駅に向かっていた。
待ち合わせ場所には、彼の担当となるハンカーが既に到着していた。
「お前、ウィリアム・フロストか?」
そう声をかけてきたのは、赤い髪を束ねた鋭い目つきの少女、アーレットだった。
彼女はBクラスのハンカーで、若手ながら数々の成果を挙げている実力者として知られていた。
「そうだけど……君がアーレット?」
「そう。今日からあんたの上司ってわけ。よろしく、フロスト。」
「よろしく。で、初任務って何をすればいいの?」
「そっちがインテリ担当でしょ?こっちが聞きたいくらいなんだけど。」
「……まあ、センターからまだ正確な情報が届いていない。TheEndのクラスも不明で、位置も特定できていない。」
「要するに、今はあんたも役に立たないってことね。」
「そう言ってもいい。」
フロストは肩をすくめながら、鞄から何かを取り出した。
「はい、これ。」
「……え?何?」
「かけてみればわかる。」
アーレットがそれを受け取り、装着すると、すぐに眉をひそめた。
「黒いだけじゃん。私は赤が好きなんだけど。」
「レンズ横のボタンを二回押してみて。」
ピッ。ピッ。
「……え!?色が変わった!」
「それだけじゃない。もう一回押してみて。」
さらに操作をすると、レンズに特殊なデータが浮かび上がり、周囲のエネルギー反応が見えるようになった。
「これ……TheEnd用の特別レンズと同じ機能があるじゃない!」
「DRの秘密兵器さ。」
「これ、すごい! あんた、意外と頼れるとこあるじゃん。」
「それ、褒めてるのか?」
「もちろんよ。お礼にご飯おごってあげる。」
「なら、遠慮なくいただこうかな。」
二人は近くのファストフード店に入った。
フロストはとんでもない量の料理を注文し、アーレットは目を丸くした。
「……全部食べられるの?」
「もちろん。で、支払える?」
「ふふ、心配しないで。私、お金には困ってないから。」
そんな冗談混じりの会話をしていたところ、ひとりの男が彼らの席に勝手に座り込んできた。
「いやあ、青春っていいねぇ。」
「は?誰!?どっから湧いてきたのよ!」
「俺か? 俺は最高のハンカーさ。」
「……そのボロい服で?冗談でしょ。」
フロストはすぐに彼を追い払おうとするが、アーレットが制止した。
「まあまあ。話くらい聞いてやってもいいでしょ。」
そして彼らがTheEndの調査任務に来たことを話すと、男は驚いたように目を見開いた。
「クラス不明のTheEnd……へぇ、大変そうだね。」
「あなたは何しにここへ?」
「……実はデートの予定だったけど、すっぽかされたっぽい。」
「……あんた、それだけ?」
その時、近くの路地から悲鳴が聞こえた。
フロストとアーレットは急いで外へ飛び出すと、そこには子供を貪る巨大なモンスターの姿があった。
「くそっ……あれがTheEndか!?」
「私が行く!」
アーレットは叫びながら、腕のウォッチを起動させた。
「ウォッチ、アクティベーション・モード1!」
時計が変形し、大剣へと変わる。
「これでも足りない……モード5、起動!」
今度は剣が巨大ロボットへと変化。
彼女はその中に搭乗し、モンスターに突撃した。
一撃でモンスターを真っ二つにしたかに見えたが、分裂した体が再結合し、再び姿を現した。
「再生能力!? そんなの聞いてない!」
怒り狂ったTheEndはアーレットを攻撃。彼女のロボットは激しく損傷し、吹き飛ばされた。
「逃げるしかない……!」
そう叫ぶアーレットの前に、モンスターが現れ、不気味な声で語りかけた。
「逃げるのか……私はある“者”を探している。貴様ではないようだな。」
「“者”? 何の話……?」
「“王の目”を持つ者だ。貴様ではない。」
その瞬間、TheEndが止めを刺そうとするが――
「そろそろ援軍が来る頃だ。」
ドォン――!
空から十機のロボットが降下し、モンスターに一斉攻撃を仕掛けた。




