(三章)
テーマ:小説
陽も暮れて辺りは街灯とネオンで
白昼とはまた違う雰囲気景が拡がっている。
俺はと言うと篠原に呼び出され、今は整備工場に居るのだが、
和泉は一体何を遣りたいのか…。
「早く乗れ!」
俺は慌ててナビシートに腰を落ち着かせたのを
確認すると和泉は車を出した。
「どこ行くんだ?」
「ちょっとしたイベントだよ!」
「でもよ!
もしそこに向かう最中にポリにでも出くわしたらどうするつもりだ。
俺はまだ前科など欲しくないぞ!」
「大丈夫」篠原はそう言うと俺の顔を凝視し、無表情でこう言った。
「おい和泉、お前この車何処から調達したんだ?窃盗でもしたのか?」
「それはちょっと皮肉ですね。
とは言え現実はそう語ってますから否定する余地はありませんが…。」
そうこうしている内に目的地に着いたようで
和泉が「辺鄙な場所ですが着きましたよ!」
「此処は…日光か?」
「その通りです。」
どうしてまた日光なんだと思いつつ篠原が俺の顔をロックオンしたまま
「此処で貴方に遣ってもらいたい事がある。」
と言われても此処で何をしろって言うんだ。
周りは街灯だけでコンビニもないし在るのは自販機くらいだろう。
「此処にお連れしたのは他に在りません。
此処で車を乗りならしていただきます。」
語りはじめたと想ったら何を言ってるんだかこの男は…
微笑を浮かべていやがる。
「解っているが敢えて聞く、誰がやるんだそれを?」
「解っているなら敢えて言いませんが、是非と言うのならお知らせします。
貴方にやって頂きます!もし、心配事が在るならご安心下さい。
我々と同行されてる最中は問題ありません。」
「どういう事だ?」
「それを聞くなら僕ではなく篠原さんに聞いた方が早いと思いますが…
今の段階では喋ってくれるかどうかですが…。取り合えず始めましょ!」
とは言え「心配するな」と言われてもなんだか心細いよな!
それに詳しい事は後回しだと、解らん!
俺らは車に乗り込み和泉は0円スマイルを浮かべ、ナビシートに腰掛けている
篠原は後部座席で読書している様は
蝋人形の様に呼吸も瞬きもしていない様で…
皮膚呼吸でもしているのだろか
「それは出発しましょう、エンジンを駆けて下さい。」
俺は言われたようにエンジンを駆け走り出そうと想い
サイドを下げアクセルを踏むが吹かす事しか出来ない
ふと気付きシフトを1速に入れまたペダルを踏んだら
一瞬走り、エンジンが止まった。
「エンストですね!しょうがないですね」
「ってお前、何も指示してないだろ」
「確かにそうですが、エンジンを-迄でその後は
質問やら次の指示を仰ぐまで
お待ちする事も出来ましたよ!まあ良いです。エンジンを駆け下さい。」
そう言うと和泉は車から降りボンネットの前に立った。
俺はキーを回しエンジンを駆けるにも掛からない。
和泉は確信した面持ちでボンネットを開け何かをやっている
「なあ篠原、和泉は何やってるんだ?」
「クラッチが外れたから繋いでる」
と無表情で応える。しばらくすると和泉はボンネットを閉め車に乗り込んだ!
「ではもう一度エンジンを駆けて下さい。」
また俺はキーを回した。
「まず、ブレーキを踏んだままクララッチを踏みシフトを1速に入れてみて下さい。」
「やってるぞ」
「では出発しましょう。
まずは一つずつ遣りましょう
ブレーキを放しアクセルを踏むと同時にクラッチを放して下さい。」
「ってむずいな!」取り合えず1速までの段階だからここからがキツイ
数日後、俺は毎晩の如く練習に励みその甲斐在って
ようやくまともに走行出来るレベルになった。