プロローグ
初めての投稿です!
この世界、アルスタルには魔法が満ち溢れている。
狩り、喧嘩、家事をするのにもさえ魔法を使う。
そして、魔法には適正がある。火属性魔法、水属性魔法、土属性魔法、命属性魔法の四種類だ。
火属性は温度を操り、水属性は水や木を操る。土属性はものを形作るのに使い、命属性は生命に関わる魔法だ。
それぞれに適正というものがあるが、やはり全ての属性に対して適性がない人間もいる。そうした人間はほんのごく一部である。だから、使えない人間扱いされ、迫害される運命にあるというのが今のこの世界だ。そして魔法が使えない人間は、総じて落第者と呼ばれる
そしてこの島、ジャポルの中にあり、その中でもひときわ大きいタルキュルという国にある、ロスマギルス魔法学校の5年に属する皇アリスもフェイラーの一人だった。
ロスマギルス魔法学校は、表向きは魔法が使えない人間も入学し、魔法が使えるようになるまで付き合うという、話だけ聞くとフェイラーに対して有難い学校だった。だが、やはり入ってみるとフェイラーに対する迫害があった。
恐らくは魔法が使えないとこういう扱いを受けるということを幼いうちから思春期にかけて刷り込み、奮起させるためだろうが、フェイラーにとってはたまったものではない。
だが、この学校は表向きの理由のために、フェイラーでも学年を上がることが出来るよう、この学校では魔法実技はテストはなく、授業だけとなっていた。
しかし、このロスマギルス魔法学校を卒業した人は、ほぼ皆有名企業に就職したり、国王の護衛などになる人も少なくはなかった。
そのため皇アリスは、魔法に対する適正は無くても、魔法の知識や教養科目は死ぬほど勉強して、いじめを受けながらも着々と学年を上げて行った。
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私、何のためにこの学校に通ってるんだろう。
結局いじめを受け続けるだけなら正直すぐやめて自死を選んだ方がましなのかもしれない。。
正直4年と3か月も経った今まで気づかなかったのはおかしいと思うし、よく今までいじめに耐えられたなと思う。
けどもうそろそろ、限界が近づいてきたな。。
「おい皇、新しい魔法の実験台になってくれよ」
「いいね、早くこいよ皇ぃ~」
また来た、イーアンとネイだ。こいつらはことある毎に私や、学年で自分以外の唯一のフェイラー、伏木カイトを、自分が新しく使えるようになった魔法の実験台にする。
カイトはもう、学校に授業ギリギリの時間に来て、授業が終わると真っ先に帰るようになってしまったため、話す機会は移動教室の時などしか無くなってしまったな。。
「やめとけよイーアン、ネイ。流石に毎週のように流血を見るのはこいつがどれだけ魔法を使えないからってちょっとクるぜ」
今私のことを庇ったのは上月レン。私が怪我をしそうな魔法をイーアン達が使いそうになった時に言葉だけでも止めてくれる奴だ。だが、
「じゃあお前、そいつのこと少し痛めつけとけ。そいつは何の才能もない癖に5年にまで上がってきやがった、なんかイライラするんだよ。」
「そーだそーだ!」
「ああ、やっとくよ」
で、上月は私に向かって水属性の魔法を放つのだ。威力はほぼないとはいえ、女性に対して水をかけたりするということは、私が痴態を晒すのを楽しんでいるのだろう。
ああー、また制服がびしょびしょだ。。
私は魔法が使えないから火属性魔法で乾かすこともできないのに。。
本当に生きづらい世界だ。
こいつらだけではなく、毎日クラスメイトに迫害を受ける。
両親も魔法が使え、兄や姉もみんな魔法が使えるのに、私だけ使えないから家でも居場所がない。
いっそのこと、今日の帰りにでも死んでしまおうか。
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「みんなー、今日は学校集会だ、全員10分以内に校舎前広場に集合だ!」
『は~~い』
「あ、でも皇と伏木は別に来なくていいぞ、お前らが来るとこのクラスの恥さらしになるからな!ははっ」
担任の蒋野ヒロトにまで罵倒されるが、行かないと後々またクラスで虐げられてしまうから、仕方ないか。。広場に向かおう。
クラスの全員が教室から出たのを見計らって教室を出たら、カイトが待っていた。せっかく同じ立場なんだし一緒に行くか~。
「はぁ~あ、憂鬱だよね~、、クラスのみんなにいじめられて、担任にまで。」
「分かりますよぉ~、アリスさん。僕もこんなイジメを受けてまでちゃんと進学してきましたけどぉ、5年にもなると皆の魔法のレベルも上がってすごく痛かったりしますからねぇ。」
「ね、カイトくん。でもなんだかんだ君みたいに私と一緒の立場の人がいてくれるからちゃんと学校に通えてるって感じはするよ。」
「……そうですよねぇ!僕もそう思いますよぉ。」
クラスのみんなが廊下を歩いている最後尾でカイトと話す。やっぱり同じ魔法が使えないカイトと話していると気が楽になるな。。
上月がチラッとこっちを見て少し不機嫌そうな顔をしたが気のせいだろう。
「あ、話してたら着いちゃったね~。」
「さっさと集会なんて終わって授業も聞いて、終わったら家に帰って寝たいですよぉ。」
クラスメイトが列を作っている一番後ろで二人で並び、集会が始まるのを待っていると、正面の壇上に校長が上がってきた。名前はペドロフだ。
ロスマギルス高等学校はタルキュル国の中でも5本の指に入るほど大きい学校で、その校長なのだから、ペドロフ校長はタルキュル国や周りの国でも名前を知らない人は居ないほどの有名人だ。
校長は壇上に上がると、水属性拡声魔法を使って広場全体に響く声で挨拶を始めた。
ちなみに拡声魔法が水属性なのは、大気中の水蒸気を震わせて音を伝えるためらしい。
『学生諸君、おはよう。今日はこの学校を設立して100年丁度が経つ日だ。儂はこの学校を創立した時から見ていたが……』
校長の挨拶はとても長い。多分どの学校でもそうだけど校長の挨拶はほんっとに長い。というか今創立した時から見ていたって言ったけど、校長って今何歳なんだろう。。
やばい、眠くなってきたな。。昨日も親にずっと怒鳴り散らかされてあんまり寝れてないんだ。。少しウトウトしよう。。
『……であるからして!!!魔法が使えない者は、頑張って魔法を習得することにこそ生きる意味があるのじゃよ。そこで、儂自ら魔法が使えない者に魔法を教えてやろうではないかと、そういう話じゃ。』
ペドロフ校長の大声でウトウトしてたのに目が覚めちゃった。今魔法を校長直々に教えて貰えるって聞こえたけど、そもそも適正がなかったら教えても意味ないんじゃ。。もしかして他の意図があるんじゃないかな?
そう思った直後、それは起こった。
『ということで実技の授業の成績が1のものは昼休みの時かn……』
校長の話が唐突に終わったのを疑問に思ったのか、ヒソヒソ話していた人や立ったまま船を漕いでいた人も全員校長の方を見る。そして話が止まった後一瞬おいて、
ダァァァンッッッッ
という大きい音が聞こえた。
でも、今みたいな大きな音を出す魔法なんてあったかな…?
なんて考えていると、
なんと、ペドロフ校長がこめかみから血を撒き散らしながら壇上から地面に向かって倒れこんでいた。
周りに土魔法、命魔法のエキスパートのSPがいたが、校長を守ったり蘇生したりする暇もなく、校長のほうに向かおうとした前傾姿勢のまま倒れこんでいく。その後間を置かず、
ダァンダァンダァンッ
という音が聞こえる。これってもしかして、魔法じゃなくて、銃を使って校長達が暗殺された…?ってことなのかな?
話にだけ聞いたことがある。昔、魔法というものが発明されていなかったころ、狩りや戦争は魔法ではなくて銃というものを使っていたと。
でも、魔法がどんどん発展するにつれて、銃は使われなくなっていき、今では銃は時代遅れの産物だと教わった。
でも今のは明らかに魔法じゃなくて、銃を使った攻撃だったと思う。大きな音を出す魔法なんてないし、魔法を使って暗殺するのならあんなに大きな音を出す必要がない。
やばい、体が震えて動かない、周りのみんなもまるで魂が抜けたように動かなくなってしまった。
と、いきなり校内放送が流れる。
『我らは革命組織、グングニルだ。命惜しくば生徒は全員校舎に30秒以内に入り、出てくるんじゃない。30秒後、校舎より外に出ている生徒を殺す。今から30秒だ!』
広場中が大騒ぎになり、学校中のみんなが校舎に向かって走り出した。でも私は…
体の震えが止まらない、足も動かない。
そして口元がニヤけるのを止められない。これってもしかして、
怖いんじゃなくて、嬉しくて震えているのかな…?
そして皇アリスは今日、新たな人生をスタートする。
今まで教師やクラスメイト、そして両親に虐げられてきた生活に、復讐する人生を。
前書きにも記した通り初めての投稿です。
夢で見た内容で、これを小説にしたら面白そう!と思って初めて文章を書いてみました。
拙い文章ではありますが、何卒読んでいただけたら幸いです。
誤字脱字や、おかしいところがあればすぐ指摘していただけるとすごく有難いです。
色々糧にして頑張っていきますので、どうかよろしくお願いいたします。