表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

5

「君って……お姉さんのこと大好きなんだね」

「そうよ? 大好きよ。悪い?」

「いや、悪くないさ。それで? 今日はその大好きなお姉さんの相手を探しに来たわけか」

「ええ。ここで見つけないと、クソオヤジがミリーをヒキガエルの嫁にするのを止められないの! だから邪魔しないでくれる?」


 レイチェルは鼻息荒く両の手の拳を握り、キッと青年を睨みつけた。


「邪魔って……まあいいけどさ。でもそれなら、あの男はやめておいた方がいいんじゃないかな? 上手く隠してはいるけど隣国に隠し子がいるよ?」

「はぁぁああ!?」

「ばっ! 大きな声を出すな!」


 青年は慌てたようにレイチェルの口を塞ぐ。


「もごっ、んぐぐ」

「今から手を外すから、大声出すなよ?」


 レイチェルがコクコクと頷くと、青年はレイチェルの口から手を離した。


「プハッ。ちょっと、それ本当なの!?」


 今にも掴みかかりそうな勢いでレイチェルは青年をギロリと睨みつけながらも、何とか怒りを抑えて小声で聞く。

 青年はヤレヤレと言った風に、だがちゃんと答えてくれた。


「ああ。相手の女性が私の知り合いの幼なじみでね。ちなみに言っておくと、相手の女性が望んだことではないよ」


 その言葉によっていかに伯爵令息がクズなのかが分かり、レイチェルはフルフルと怒りに体を震わせながら再度拳をギュッと握った。

 伯爵令息にも怒りを覚えるが、一番腹立たしいのはそこまできちんと調べることが出来なかった自分への怒りである。

 このまま知らずにミリアムと伯爵令息が上手くいってしまっていたら……そう考えてレイチェルの背筋に冷たい汗がツツーッと流れていくのを感じた。


「……結婚前から隠し子とか、しかも同意なしなんて。そんな不誠実なクズに大切な姉様はやれないわ!」


 ミリアムの前に立つ男を、先ほどとは打って変わって憎々しげに睨み付けるレイチェル。


「国外だからバレていないだけで、バレるのも時間の問題だとは思うけどね。……あ、君の大切なお姉さん。あの男に気に入られたみたいだよ?」

「な、ダメよ! ミリー、今すぐ離れて! って、ここからじゃ伝えられないじゃない! 何とかあの男からミリーを引き離さなきゃ……」

「引き離すって、どうするんだい?」


 レイチェルは少し考えてから隣のイケメンにニヤリと笑いかけると、


「こうするのよ!」


 スクッと立ち上がり、足早にミリアムの元へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ