表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/24

3

 ーー先日、強欲な父と兄が廊下で楽しそうに『近いうちにミリアムの相手をどちらかに決める』と話していたのを聞いてしまったレイチェル。

 よりによって第一候補がヒキガエル、第二候補が祖父と言えるほどに歳上の、評判の良くない金回りだけはいい男爵家元当主のトカゲジジイだったのだ。

 ヒキガエルとトカゲ、どちらに決まっても苦労するのが目に見えている。

 大好きで大切な姉を助けるべく、その日のうちにレイチェルは動き出した。

 相手が格上の家であれば、格下の子爵家からはお断り出来ない。

 狙うは伯爵家以上の子息!

 とはいえ、あまり爵位が高すぎても身分が釣り合わないし、もし仮にそんな人に見初められでもしたら、その後が大変である。

 ○○夫人として相応しい所作や知識を得るためにと、それはそれは厳しく教育されることだろう。

 あの泥舟子爵家から逃れるのが目的なのであって、これ以上苦労するためではない。

 となれば、高位貴族とはいえ公爵や侯爵ほど爵位が高くはない伯爵家一択である。

 今日を逃せばあの(・・)強欲な父が、急ぎヒキガエルかトカゲのどちらかとミリアムの婚約を結んでしまうだろう。

 レイチェルのカンだと父はヒキガエルを選ぶだろうが、そんなことは絶対にさせない。

 どんなことをしても、今日のパーティーでミリアム(ついでに自分も)をあの泥舟から救い出して幸せにしてくれる相手をゲットしなければ。

 チャンスの神様は前髪しかなくて後ろがツルツルなんだとか。

 来た! と思った瞬間に前髪をガシッと(むし)る勢いで捕まえなければ、逃げられてしまうのだ。

 だからチャンスを逃さぬよう、今日のために出来る限りの準備をしてきた。

 レイチェルは鼻息荒く窓ガラス越しに会場内の様子を窺う。


「いい? あそこにいる亜麻色の髪の男性はヘイワード伯爵家の次男で、学園卒業後に騎士になることが決まっているわ。婚約者や彼女はいないはずよ。その奥のヒョロ長い茶髪を後ろで結んでるのはライズ伯爵家の次男で、卒業後は数少ない薬学研究所の研究員になることが決まっているエリートだけど、薬草にしか興味がない変人なんて言われているからパスね。で、あっちにいるのが……」

「レイチェル凄いわ。いつの間にそんなに調べたの?」

「そりゃ、調べるわよっ! ……ミリーのためだもの」


 最後はモゴモゴと、恥ずかしそうに頬を染めてそっぽを向くレイチェルに、ミリアムはふわふわな笑顔でのんびり嬉しそうに「ありがとう」と言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ