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 ミリアムの手をとり跪くライリーに、レアンドルは怪訝な面持ちで尋ねた。

 その隣でレイチェルも不思議そうな顔をしてミリアムとライリーの二人を見ている。

 ライリーは振り返ることもせず、


「見ての通りだ」


 と、不機嫌丸出しの声音で答えた。


「いや、見て分からないから聞いたんだが……」


 ライリーは小さくチッと舌打ちをしてからハァ〜と大きく息を吐くと、仕方ないといった風に徐に立ち上がった。

 体はミリアムへ向けたままであるし、もちろん手は握ったまま、ゆっくりと首だけを後ろに向ける。

 そのゆっくりとした動作にもライリーの不機嫌さがよく分かる。


「ちょっと、彼何でこんなに不機嫌になってるのよ!?」

「いや、私にだって分からないから聞いているんだが」


 コソコソと話すレイチェルとレアンドルに、ライリーの仄暗い視線が向けられると、二人はビクリと体を震わせて苦笑いを浮かべた。


「あら、レイチェル。お帰りなさい。ダンスは楽しめましたの?」


 どんより重たい空気を払拭するような、こののんびりとした明るい声はもちろんミリアムである。

 レイチェルはホッと小さく息を吐き出すと、テテテとミリアムの斜め前に立ち、


「ただいま。緊張の方が大きくて楽しむほどの余裕はなかったわ」


 ライリーを出来るだけ視界に入れないように、ミリアムにのみ焦点を合わせてニッコリと笑った。


「緊張なんてしなくても、レイチェルはとっても上手よ」

「ありがとう。でもミリーには負けるわ」

「あらあら、褒めても何も出ないわよ?」


 クスクス笑うミリアム。ちなみに手はまだライリーと繋がったままである。

 先ほどから背中にレアンドルの『早く理由を聞いてくれ』と言わんばかりにせっつくような視線がブスブスと突き刺さっており、レイチェルは仕方なくミリアムに質問をした。 


「えっと、それで、その、何でミリーとこの方は手を繋いでいるの?」


 ド直球である。

 我ながらもう少し言い方があったのでは? と思わなくもないが、ミリアムに聞くのであれば直球ぐらいで丁度いいのかもしれないとも思う。

 レイチェルの直球にミリアムはハッとしたように、そして何だか恥ずかしそうに片手を頬に添えると、


「レイチェル、どうしましょう。私、ライリー様からプロポーズされてしまいましたわ」

「「はい?」」


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