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地球さんからの宿題【AIシミュレーション物語】

※2020年 03月01日の作品の改稿版です。


 人間よりはるか昔に地球上にいた人類の祖先や恐竜たちは絶滅した理由にさまざまな説が唱えられていますが、人間もいつかそうならないとは限りません。災害・食糧難・疫病など、何が原因で起こるか分かりませんよね。今はコロナウイルスが流行し、現段階では治療法や効果的な対策などが見付かっておらず、何とも言えない不安な状況なのでよくないことが頭を過ります。この物語は地球を大切にしない人類に、警鐘を鳴らすためにAIが作った物語(という設定)です。

 未来は――というかもう既に作詞作曲できるAIもいるみたいなので、小説を書くAIもいそうですが、とにかくそういう設定で描いた物語です。

 人類は進化し豊かさを求め、傲慢に自然を破壊し資源を吸い付くし、その手を地上から地下、海中にまで伸ばし、地球を破壊し続けています。壊すだけ壊しておきながらろくにその修復作業もせず開発を進め、痛手を負った地球やその他生物の悲鳴に耳を傾けようともしません。地球上に生まれたあらゆる生命体の母である地球は呆れていました。この問題を解決するためにやさしい『地球さん』は人類に宿題を出すことにしました。もちろん言語は在りません。なのでそれを人間は察しなくてはいけません。地球さんは試したのです。それを人類が乗り越えられるか。いわばそれは試練だったのです。



 その試練とは恐ろしいウイルスの発生でした。それをきっかけに多くの人々が亡くなります。まず抵抗力のない者や衛生環境の整わない地域に住む者が犠牲となっていきます。感染源が曖昧なままウイルスはどんどん広まり、事態は収まることを知りません。それでもその間も世界は動き続けました。テレビもラジオも病院も店も会社も。


 そのうちウイルスで人が死んでいく環境に慣れてしまった人々は、楽観的になり以前の平穏な日常生活と同じ環境が戻ってきます。ですがそれは意識や生活様式が変化したにすぎないので、ワクチンができたりしたのではありません。なので相変わらず流行のウイルスで死亡する人は絶えませんでした。人口の多数を占めていた高齢者と30歳以下の若者の数がとうとう逆転してしまいます。それなのに人々はマヒしたようにマスクをしての生活が習慣化して普通になり、危機感は薄れるばかり。これではゆっくりと、滅び行く道を辿るだけ。それで良いのでしょうか?



 地球さんはそれをどんと構えて見ています。少しほくそ笑みながら。それは何故でしょう……


 気のせいか少しだけ、ほんの少しだけではありますがパンデミックとも思えるウイルスが大流行して、一時的に経済の流れが悪くなってから、地球は――


 ウイルスが蔓延しているとは思えないほど空気が澄んできて、どことなく具合がよくなったようになりました。それはとても皮肉なことですね。



 やがてウイルスの流行が始まってから数カ月が経ち、季節は温かい春を迎えました。そのウイルスが原因の死者は膨大な数に上りましたが、そのほとんどが高齢者で、傾きかけた経済も徐々に立て直されて行きました。人間とはタフな生き物ですね。多くの犠牲者を出すも、絶滅には至らないのですから。



 とはいえ依然としてワクチンはないまま。マスクと抗菌殺菌を強いられた息苦しい生活は続いていました。人類がこのウイルスを克服することはできないのでしょうか?



 ヒントは



2×●×年。



「●」の中には2以上の数字が入るのですが、その年になっても人類は存在しています。






 遡ってその経緯を説明することにしましょう。



 ウイルスの根本的な治療法も見出せないながら、免疫力のある者だけが残った結果、急激な死者が減り、ある意味世の中が安定した時期に入っていた時でした。そのウイルスに感染し一度は回復した者が再度同じような症状が出てきて検査すると、陰性でした。それにもかかわらず症状を発しているというのはどういうことでしょうか?


 その患者は検査するまでに複数の人間と接触し、少なくとも家族と職場で数十人が同じ症状を訴えて検査に訪れました。すると全員例のウイルスは陰性で、顕微鏡には別の病原体が映っていて、そこで新型ウイルスが発生したことが判明しました。これは絶望的です。誰もがそう思い、世界中がパニックに陥りました。




 最初に感染が見付かったのはOLの女性でした。彼女は既婚者で小学生の子供がいます。家族は夫婦と子供の三人です。三人とも新型ウイルスに感染してしまい、さらには彼女の職場などで接触を持った者も感染していました。


 発症したのは新型ウイルスが見付かった者全員。ものすごい感染力であることが窺えます。感染者は激しい倦怠感と高熱の症状が続き、次第に体力を奪われて行きました。死の恐怖に晒される中、症状が鼻から膿のような粘着性の高い鼻水が大量に出ることや、痰が多く出ることが増えたかと思うとそれをきっかけに症状が緩和されていき、最終的に出なくなる患者が現われました。その患者を再検査すると病原体は姿を消し、なんと先に流行したウイルスともども消滅していたのです。


 ウイルスがウイルスを消したのか?


 さっそくそれを確かめるために実験してみると、あることがわかりました。先に流行したウイルスと新型ウイルスを同じ容器に入れます。するとウイルス同士がアメーバのように延びて結合し、みるみるうちに全体でその現象が起こりました。それは徐々に色が薄くなっていき、やがて透明になり、約2時間で完全に消滅したのです。


 ――ウイルスがウイルスを消す――



 これは世紀の大発見と言っても過言ではないでしょう。



 


 こうして人類は偶然が生んだ奇跡によって、猛威を振るう二種類の新型ウイルスの治療法を発見し、絶滅の危機から免れることができたのです。




 以前より少し元気になった『地球さん』は、まだほくそ笑んでいました。それは――


 「宿題」がこれで終わりではないことを予感させる不気味なものでした。




 もしかしたらこうして地球上に起こるさまざまな猛威の正体は、地球さんがメンテナンスしようとして、人類に宿題を与えているからなのかもしれません。



 『地球さん』を怒らせると怖いですよ?


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