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放課後

 俺が目覚めてからはどのぐらい経ったのだろうか。

いつの間にか俺の起動時間が1時間から2時間に変わっていた。

博士が起動可能時間を延ばしてくれたおかげだ。

俺のデータの効率化を元に俺が活動出来る時間を延ばしてくれたようだ。

博士曰く目標は24時間稼働出来るアンドロイドなのだそう。

俺にはとんと興味の無い話だが。


 俺の起動時間は決まって放課後。

つまり全ての授業が終わってからだ。

博士が俺の起動ボタンを押してから俺の活動時間が始まる。


 俺は専ら博士の会話相手となる。

博士はとりとめの無い話を永遠とする。

俺は女子との会話はあまり経験が無い。

最初は苦手意識であまり会話の内容が入らなかった。

と言っても会話は全記録頭の中で録画されているので何度も見返すことが出来るし意識しなくとも思い出すことが出来る。

でも最近になって気づいたのだが博士はあまり女子っぽい会話をしない。

これは俺の偏見でもあるが博士の会話に女子特有の会話は一つも無い。

博士はファッションやグルメには一切興味が無いらしい。

話すことと言ったら機械の話ばかり。

詳しく言うと工学系、理系の話ばかり。

女子っぽい話は無いと言ったが博士の話す内容は正直専門的すぎてついて行けない所がある。


 博士が来ていない時間は正直暇だ。

俺は起動ボタンを押されない限り動くことは出来ない。

人形と一緒だ。

でも思考は出来る。

俺の頭の中には博士が入れてくれたいろんな知識がある。

だから暇な時は読書をしたり映画鑑賞したりゲームをしたりと色々と暇つぶしをしている。

もちろん、頭の中でだが膨大なアーカイブが入っているので暇を持て余すことはない。


 たまにエグザが部室にやってくる。

こっちの世界では江草えぐさ 美祢みねと言うらしいが。

俺がいる高校の国語教師であり科学部の顧問なのだそう。

あいつの顔を見る度に俺の前世の嫌な記憶がよみがえる。

あいつは俺にとっては天敵みたいなもの。

それでいて敵わない存在だ。

そしてこの世界での俺にとっては予言者でもある。

まるでこれから起こることが分かっているよう。

たまに予言めいたことを言い残して俺を混乱させる。

ちなみにこれらの行為は博士がいない時に行われる。

博士はエグザの本当の正体を知らないらしい。

それにしてもなぜ国語教師が科学部の顧問なのかは謎だ。

 

 放課後、エグザはたまに現れる。

その時のエグザは

「アンドロイドのことは門外漢だから勝手にやっていてね」

と一言言い部屋の片隅で読書をする決まりになっている。

博士はそんなエグザの様子を気にすることなく俺に話しかけてくる。

内容は多種多様だ。

とにかくのべつ幕なしに話しかけてくる。

博士曰く人間の常識を効率よく入れるための行為だと言っていた。

俺は疑っているが。

というのも博士には友達がいないんじゃないかという疑惑を俺は持っている。

だから俺にマシンガンのように話しかけているのだと。


 俺もこの数ヶ月で大分動けるようになってきた。

と言っても理科室の中だけだが。

理科室と理科準備室以外俺は出歩くことが出来ない。

コードがついている訳じゃないのだがなぜか決められたエリアの外には出られないようにプログラミングされているようだ。

俺も何度か挑戦したが気がつくと理科準備室の箱の中に仕舞われていた。


 ちなみに俺が稼働していない時は理科準備室の箱の中にいる。

上手に梱包されて文字通り身動きが出来ない状態。

実際動くことは出来ないのだが。

そしてこの学校に俺がいることはエグザと博士の2人しか知らない。


 博士は俺のことを娘のように思っているらしい。

俺はこんなしゃべり方だけど一応この世界では女だ。

心は男だけど。


 エグザは博士がいない時はつまり学校が授業中の時は俺にテレパシーで話しかけてくる。

しかも箱を開けて対面で。

テレパシーで話しかけてくるのには色々と理由があるらしいが簡単に言うとそっちの方が楽だからだそう。

そして性転換してしまった俺の姿を見て笑いにも来ている。

(性転換と言っても前世と性別が違うという意味だが)

正直、ぶん殴りたいがその時の俺は指一本動かせないので何も出来ない。

その姿を見てまたエグザは笑う。

それがまたムカつく。


 そしてエグザは放課後に現れた時は俺に興味すら無い態度。

放課後の前後とはまるで態度が違う。

エグザは放課後くる時はいつも読書をしているのだがその本を覗いてみると全く見たことのない文字。

エグザ曰くこの世界の言語は全てマスターしているとのこと。

俺ですら何を呼んでいるか分からない。


 博士はと言うとこの人も変わっている。

何せ俺の目の前で平気で着替えをしたりするのだから。

俺がその事を注意すると

「なんでそんなこと気にしなきゃならへんの

同性同士やないの」

確かに俺は今博士と同じ女性だが心は男。

そういう風にプログラミングしたのはあんただろと心の中でツッコんだ。


 とにかく俺はこの学校が苦手だ。

居心地が悪い。

俺は前世では女子と会話をしたことのない硬派で知られていた。

それが今では女子校の中に住んでいるようなもの。

辺りを見回しても女子しかいない。

教師も生徒も。

まるで男子が絶滅してしまったかのよう。

そんなことを博士に話したら

「そんな訳あらへん。

男子はいるよ。

この世界にいっぱい。

確かに女子校の世界は一般社会から見たら特殊やけど。

でなければあんさんに少年漫画の知識入れられるわけあらへん」

と一笑に付された。

確かに俺はこの世界のテレビを受信することが出来るのだが男がいっぱいでていた。

このことは俺の杞憂だったようだ。

博士は続けて

「うちな、実は男性が苦手やねん。

だからアンドロイドも男の子を作る気はせえへんかった。

でも男の子っぽい女の子は好きや。

だから目一杯男の子っぽくさせてもろたと思うとるんよ。

少年漫画ありったけインストールしたから。

一番最初は男の子がええと江草先生が言う取ったから。

でもうちには男の子は作られへん。

だから男の子っぽい女の子を作ったんや。

ほんま堪忍な。

ややこしい設定にしてもうて。

あ、言い忘れたけどもうすぐ妹が出来るから」


 最後にとんでもない話を博士はとってつけたようにした。

それについて驚いたがまた新しい仲間が出来ることをとても喜んだ。

もう1人じゃないんだと。


 とにかくこれからが楽しみです。


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