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顧問

 俺がアンドロイドに転生して1ヶ月が経った。

と言っても今は何月なのか分からない。

時間の感覚がほとんど無いから。


 俺の1日は本当に短い。

何せ放課後に1時間の起動。

その時に目覚めるのだから1日1日があっという間だ。

残りの23時間はひたすら充電。

その充電時間で1時間しか持たないのだからなんと燃費が悪いことか。


 その目覚めている1時間はひたすら博士の相手をする時間になる。

話し相手というか。

「ほんまにごめんな。

本当はもっと活動時間を長くしてあなたにも自由をあげたいんやけど。

なかなか研究が進まなくて。

あと予算も。

今生徒会や顧問に掛け合っているんやけどね」

と言って俺をいつも慰めてくれている。


 「でもほんまに面白い性格やな。

片っ端から少年漫画を買ってインプットした甲斐があるわ。

でもうちが予期してないことも結構ある。

うちが入れてもいない情報を何処で手に入れてるん?

うちですら知らない男子の情報を」

どうやら俺はいろいろとしゃべりすぎているようだ。

博士がインプットした情報は知らないがこっちとら前世の記憶が残っている。

前世はバリバリの男子だったからな。

喧嘩もよくやっていた。

でも博士は俺の言う前世については信じていないようだ。

それどころか俺の人間ぽさに驚いてすらいる様子だ。

俺は

「情報源は明かせない。

あ、そうだ。

この部活にも顧問がいるんだろう。

その顧問に聞いてみるが良い」

博士は

「それはありえへん。

うちの部活は1人部活。

顧問のみねちゃんにはうちが無理を言ってなってもろうたんや。

みねちゃんは機械音痴でうちの研究には全く興味が無い。

なぜかうちの言い値で部費は出してくれるけど。

アンドロイドの研究についても全く興味を示さんくせにいざ成功したらこの研究は極秘で誰にも言わんようにって口止めしてきた。

ほんまよう分からん先生やで」


 そういえば俺も顧問の先生には会ったことがなかった。


 実を言うと23時間充電していると言ったがずっと寝ている訳ではない。

俺は理科準備室の片隅で充電させらている。

たまにだが充電中に目が覚めることがある。

但しその時は頭はしっかりしているのだが体は動かない状態。

口も動かないし指一本ですら動かない。

俺は立ったまま充電させられているのだが目が覚めてしまうと本当に暇を持て余してしまう。


 ある日、いつものように動けず暇を持て余しているとある人物が理科準備室に入ってきた。

理科準備室なのだから理科の先生が入ってくるのは当たり前なのだがいつもとは違う人物のようだった。

「あなたが噂のアンドロイドね。

ていっても私は何度も見に来ているのだけど。

もちろんあなたが起きている時は初めてだけど」

俺に話しかけている人物はどう見ても幼女だった。

俺はいぶかしげに見ていると

「失礼ね。

これでも成人しているんだからね。

この学校の国語教師であり科学部の顧問。

江草えぐさ 美祢みねよ。

と言っても初対面じゃないけどね」


 俺はこの幼女が何を言っているのか分からなかった。

まぁ、自己紹介は有り難いけど。

それにしてもこの幼女はなぜ俺の感情を正確に読めるのか。

今のこの状態は表情筋1つも動かせない状態なのだが。

それにこのなりでこの学校の国語教師でしかも科学部の顧問?

情報量が処理出来ないのだが。


 「ごちゃごちゃうるさいわね?

言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」

幼女がいきなりそう言った。

え?

俺は今、喋れない状態なのだが。

幼女は

「あ、言い忘れたけど私はアンドロイドの心を読み取る能力があるの。

アンドロイド限定なんだけどね」

また幼女は訳の分からないことを言っている。

幼女は続けて

「あなたは今喋れない状況でしょ。

でも私となら会話が出来る」

俺は半信半疑で心の中で彼女に対していくつかの質問をしてみた。

そして彼女はその全てに的確に答えた。

どうやら彼女の言っていることは本当のようだった。


 少し落ち着いて彼女は

「で、ここからが本番なんだけどよく聞いてね。

私はあなたと同じ前世持ち。

前世での名前は「エグザ」と言ったわ」


 思い出した。

しかもイヤな記憶を。

前世での俺は冒険者だった。

しかも喧嘩の末死んだ俺を半ば無理矢理転生させられた。

正直前世は思い出したくも無いぐらいハードだった。

一応前世での俺は異世界でのチートな能力持ちだったが。

そこで俺にいくつのもの難題を提示してきたのがエグザだ。

聞くと俺より少し位が高いのだとか。

(つまり俺より少し神様に近い存在なんだそう)


 彼女は

「そんなにイヤな顔をしないで

今世ではそんなに難題をふっかけたりしないわ。

ただ、これからあなたを生んだ女子高生はアンドロイド2体を作る予定なの。

あなたを含めて3体のアンドロイドが出来る。

これは確実に成功する事項なの。

私は少し未来が見えるから間違いなくね。

私はあなたの試験官だから課題を出すけどそんなに難しいものでは無いの。

今世での課題はアンドロイドとしてまったりと生涯を過ごす事ね。

そんな難しい課題では無いと思うの。

頑張ってね」

と言って彼女は去って行った。


 どうやら俺は1人ではないらしい。

あと2体のアンドロイド。

恐らく女性のアンドロイド。

まずはその2体と仲良く暮らすことを考えなくちゃ。

それにしてもまずは不自由な生活をなんとかしたい。


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― 新着の感想 ―
[一言]  こんばんは。  全世界の人が前世もち で、産まれてきたらこの未来の地球上は発展していくのかな とよみながら  おもいました。
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