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バットエンド・キャンセラー  作者: 赤槻春来
第1部.そして出会いは突然に
7/110

今日という日は繰り返す



「間に合わなかったか…」


 闇のように暗い空間で、竜人はぽつりと言葉を漏らした。


「ミリンと接触してたみたいだし、これはこれで意味があったのかしら…」


 魔人はそう呟くと竜人の手をとった。


「やり直しましょう…わたしたち2人で…いや、この時間のわたしたちとコウスケも含めた5人で」


 魔人は手を強く握ると竜人は苦笑した。


「なら、保険をかけないとな…」


 竜人は魔人を強く抱きしめた。


「歴史が変わっても…いつかまた会おう。」

「えぇ…」


 そして2人は闇の中に消えていった…



ーーー



「──はッ…」


 目を覚ましたコウスケはあたりをキョロキョロと見まわした。


「あれは……夢なのか…?」


 コウスケはそう呟きながら手を握ったり開いたりした。


「夢じゃないのか…?」


 コウスケの脳に微かに残った『無』の“感覚”がフラッシュバックした。コウスケはそれとともに自分の身体をペタペタと触るとホッと息をついた。


「実体は…あるのか…ってことはまだ死んでないってことでいいのか?」


 ぶつぶつと自問を繰り返しているとガチャリと部屋の扉が開けられた。


「コウスケ起きてる〜?」


 そんな声とともにミリンが部屋に入ってきた。


「あ、おはようミリン」


 コウスケはそう返しながら時計を確認するとミリンとともに食堂へと向かった。



 朝食を済ませた2人はギルドへと向かっていた。


「なぁミリン」

「ん?どうしたのコウスケ」


 ミリンは首をコウスケのほうへ向けると首を傾げた。


「もしも、だ。本当に時間が戻るとしたらミリンは信じるのか?」


 コウスケの言葉にミリンは足をピタリと止めた。


「どういうこと?コウスケも時間が戻ったとかいうの?」


 そう言うミリンは少し嬉しそうなしかし悲しそうな複雑な顔をしていた。


「ん?俺『も』ってことは誰か他にも同じようなことを言った人がいるのか?」


 コウスケがそう聞き返すとミリンはコクリと頷いた。


「わたしはね、信じるよ。なんでか知らないけど今日が初めて来たような気がしないのよ」


 そんなミリンの言葉は他人からしたら意味不明に聞こえるかもしれない。しかし、今のコウスケはそれを信じないわけにはいかなかった。


「ミリン。もしそれが本当なら少し…頼まれてくれないか?」



ーーー



「水晶の洞窟ってこっちであってるのか?」


 コウスケはミリンに竜人たちの話をした。ミリンはそれを疑うことなくコウスケに協力すると快承してくれた。


「たしかにここであってるはず…でも本当に誰かいるのかな?」


 ミリンはそう言いながら歩いていると不意に足を止めた。


「おっと…どうしたのミリン?」


 ぶつかりそうになったコウスケは体制を整えるとミリンは振り向かずに口を開いた。


「着いたよコウスケ。ここが『水晶の洞窟』。…もう来るつもりじゃなかったのに…」


 だんだんと小さくなる声によって後半は聞き取れなかったが、コウスケはそんなことを気にも止めず、洞窟の中へ入ろうとした。

 その瞬間──



「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼︎‼︎」



 不意に洞窟内から響いてきた、女性のような高い悲鳴。

 コウスケはミリンと目を合わせると洞窟内へ足を踏み入れた。

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