蘇る原因の記憶
「ユウ、ミリン…それと一応コースケ。俺は少しやることができたから一旦ここでお別れだ」
結界を抜けて竜の里を出たコウスケ達は、唐突に放ったユイのそんな一言にその足を止めた。
「えっと…姉さん?やることができたって一体…」
「悪いなユウ…これだけは話せないかな」
「…私達と一緒じゃできないことなんですか?」
「あぁ…」
暗い顔のままユウの言葉に淡々と答えるユイ。コウスケ達はそんなユイの表情を前に口を挟めないでいると、不意にユイが無理矢理その表情を笑顔に変えてみせた。
「まぁ遅くなった姉離れだと思ってくれ。姉として頼ったりしてくれるのは嬉しいが、このままじゃお互いの為にはならないからな」
「ぅ…」
「ま、安心しろ。別に死ぬ訳じゃないし用が済んだらまた戻ってくるさ」
そう言ってユウの頭をポンポンと叩くユイはどこか痛々しく笑ってみせると、何か言いだそとしたユウの言葉を聞く間も無く、自らの影の中へと消えていった。
「姉さん…」
ーーー
ユイとの別れを告げたコウスケ達は、竜の里周辺に広がる森林を抜けた先にある小さな村へとやってくると、小さな宿屋でその翼を伸ばしていた。
「あー…体が軽い…」
「ようやく元の環境に戻れたよ…」
部屋に入るなりその場に寝転がるユリとサクラ。ユウはそんな2人の荷物を纏めると甲斐甲斐しく2人の世話をしていた。
「はいこれ、お水です。魔力濃度が低くなったとはいえしばらくは安静にしてくださいね。逆に体調を崩してしまったら本末転倒ですから」
「ありがとうユウ」
「…まさかこっちに戻るだけでこんなに身体に負担がかかるなんてね。逆にユウとミリン…あと義姉さんがそんなにピンピンしてることにあたしは驚きを隠せないよ」
「いえ、私達は腐っても竜ですから…私はやりませんでしたが、竜の里と外の世界を行ったり来たりしているのに毎回酔っていたら大変だと思いますけど」
「…それもそうだね」
ユリの言葉と共に空になったコップを片付けるユウ。2人はそんな姿を横目に各々のベッドに身体を預けると、ゆっくりとその意識を手放した。
「ミリン、入ってもいいですか?」
「あ、ユウ。どうぞ」
ユリとサクラが寝付くのを確認したユウはコウスケとミリンのいる別室の前に着くと、ミリンの声と共にその部屋へと入っていった。
「コースケさんは?」
「寝てるよそこで。やっぱり人間には身体への負担お大きかったみたい」
「…そうですね」
そう言って寝ているコウスケの頭を撫でるミリン。その言葉はまるで「自分が人間でないということを肯定したのだ」という意味が孕んでいるようで、何故かユウの頭の中で反響していた。
「…とりあえず一晩休んだら帰りましょう。コースケさんも回復までそんなにかからないとは思いますけど念の為ということで」
「うん。それがいいかもね」
「では、私はひとまず夕食を持ってきますね」
ユウはそう言って部屋を出ると、先程から反響すら台詞を振り払うように頭を振った。
「…そう、私達は竜人…人族ではない…」
ユウは胸の前できゅっと手を組むと、まるで溜息をするようにそう呟いた。
ーーー
翌朝、朝食を済ませ荷物をまとめたコウスケ達は宿屋の店主に挨拶をすると、ミリンのゲートを使って災いの森へとやってきていた。
「あー…なんかここも久しぶりな気がするな」
「まぁ1週間前はここで野宿してたんだけどね」
「そうなんだけどさ…ほら、気持ちの問題だよ!な?」
「そんなこと言われたって…わたしは別にコウスケみたいに魔力酔いになってへばったりしてないし…」
久しく慣れ親しんだ森へと戻り、子供のようにはしゃぐコウスケに対しそう返すミリン。
そんな2人の様子を見ていたユウは、不意に全身の毛が逆立つような感覚を覚えると、咄嗟に上空を見上げて魔法陣を展開した。
その瞬間、とてつもない衝撃と共にユウの展開した魔法陣の周りにある木々が一瞬にして消滅した。
「きゃっ…」
「な、なに!?なにが起きたの!?」
突然のことに狼狽えるユリとサクラ。ユウとミリンは上空から降りてくる禍々しい気配を感じ取ると、警戒するように腰を落とした。
「な、なんだこの気配は…?」
2人に遅れ、その気配に気付いたコウスケ達。5人はお互いの背中を合わせるようにして立つと、目の前に降りてくるその正体を前にそっと武器を構えた。
「まさかあの攻撃を凌げるとは…さすが竜人と言ったところか」
荒野と化した地上に降り立ったソレは、ゆっくりとその顔を上げると、その金色に光る瞳でユウを睨み付けた。
「…魔王、ルイン…ッ!」
「えっ…」
「ユウさん、それって…」
ソレ─ルインを睨みながらボソリと言ったユウ。その言葉に反応したコウスケとミリンが思わずそんな声を漏らすと、ルインはどこかおかしそうに、不敵に笑い出した。
「ハハハ…ッ!まさか貴様にその名を呼ばれるとはなッ!」
そんなルインの笑い声に、コウスケがその背筋が凍るような感覚に襲われていると、不意に隣から発砲された1発の魔力の弾がルインの胸部を貫通した。
「ゆ、ユウさん…?」
コウスケが横を見ると、そこには何かを必死に堪えるように歯を食いしばり、小さく震えるその手で銃を構えるユウの姿があった。
「…ほう…一瞬で心臓を貫かれるとは…さすが竜人の魔力量と言うべきか…」
そう言ってどこか楽しそうに笑みを浮かべるルイン。そして次の瞬間、ユウの弾によって空いた胸部の穴は一瞬にして元に戻った。
「き、傷が一瞬で…」
「まぁいい、今回の俺の目標は貴様との戦闘ではないからな。…そう、貴様にいくつか確認したいことがあってな」
「…ッ!黙れ外道ッ!貴方に話すようなことは何もないッ!」
「ユウ、一旦落ち着いて…!」
「相手の言う事に耳を貸すべきじゃないよ!」
不敵に笑うルインと対照に、ユウは我を忘れるような勢いでそう叫ぶと、静止しようとするユリとサクラを振り払い、ひとりルインの方へと飛び出した。
「貴方だけは…ッ!貴方だけは許さないッ!」
「ちょ、ユウさん!?そんな1人で勝手に…」
「うるさいッ!コースケさんも少し黙ってて下さいッ!」
「…ッ!」
感情に任せ、完全に我を忘れたユウは、そんなコウスケの言葉をひと蹴りすると、目の前に映る宿敵に向かって〈アベンジャー〉を振り抜いた。
「ッ!」
「…所詮子供ではこの程度か」
ユウの振った剣先はルインの首元に触れる瞬間、目に見えぬ速さで動かされたルインの右手によって軽く受け止められていた。
ユウは咄嗟に左手に持った銃をルインの腹部へ構えようとすると、ルインまるでその行動を待っていたかのようにその腕を掴み、一瞬にしてユウを組み伏せた。
「ユウさんッ!」
「ユウッ!」
そんな光景を前に、咄嗟に踏み出したコウスケとユリ。しかし、2人が動いた瞬間、ルインはユウの首元を掴み上げると、2人のいる方へとその身体を投げ飛ばした。
「グァ…ッ…」
「…ガッ…ハ…ッ」
ユウの身体と共に背後にある岩へと叩きつけられたコウスケとユリ。3人は崩れるようにその場に倒れると、それぞれ軋む身体を無理矢理起き上がらせようとした。
「コウスケッ!」
「ユウ!ユリ!大丈夫!?」
咄嗟に駆け寄ろうとするミリンとサクラ。しかし、その身体何故か言うことを聞かず、2人はただただその場に立ち尽くしていた。
「…!?こ、これは…」
「身体が…動かな…」
「フッ…フハハハハハハッ!まさかあの竜人2人を相手にいとも容易く圧倒出来るとは…ッ!この力…やはり素晴らしいものだ…ッ!」
そう言って高笑いを上げながら固まった2人を突き飛ばすルイン。
2人は受け身を取ることもできずにそのまま地面に叩きつけられると、その衝撃によって深く咳き込んだ。
「ミリンッ!」
「サクラッ!」
コウスケとユリがそんな光景を前に思わずそう叫ぶと、おぼつかない足で立ち上がったユウが荒い息を吐きながら〈アベンジャー〉を持ってルインに襲いかかった。
「ァァァァッ!貴方だけはッ!貴方だけは許さないッ!」
「フッ…すごいパワーだ…だが、そんな感情任せの剣では俺に攻撃を当てることすらできんッ!」
「ッ…ハ…ァ…」
右手を振るい、ユウの右手から〈アベンジャー〉を弾き飛ばしたルイン。その一撃により一瞬、ユウの意識が剣の方へと向くと、まるでその瞬間を待ち侘びていたかのように、ルインの左手はユウの首元を掴んだ。
「…ァ…」
「言っただろう?俺の目的は戦闘ではない、と。どうだ?貴様、俺の方に来ないか?そうすればお仲間さんの命だけは保障してやる」
「…だれ…がッ…貴方、に…ついて…いくなん…てッ!」
掴まれた左手を掴み、首元からその手を離そうとしたユウがルインを睨みつけるようにそう言った瞬間、不意に銀色の翼を展開し、その右腕を化物のソレへと変えたコウスケがルイン背後へと飛びかかった。
「…甘い」
コウスケの腕が触れる瞬間、ルインはそう呟くとユウを掴んでいる左手を振り回し、そのままコウスケを巻き込むようにユウの身体を投げ飛ばした。
「…ァ…ッ…ゴホッ!ゲホッ!」
背後の木々を薙ぎ倒し、ユウを庇うようにして地面に叩きつけられたコウスケはむせるように咳き込むと、その口から鮮血が辺りに飛び散った。
「…!コースケさんッ!」
その血を前に正気に戻ったユウは痛む身体を起こすと、慌ててコウスケへ回復魔法をかけた。
「フハハハハハハッ!そうか…まさか貴様がこの腕の持ち主だったとはなッ!」
コウスケの腕を見て笑い出すルイン。その意図を測りかねたコウスケとユウがその視線をルインへと向けると、そこには化物のソレとなったコウスケと全く同じ右腕を生やしたルインの姿があった。
「これは人族には有り余る力…ッ!貴様如きが使いこなせるわけがないだろう?」
「ッ!」
ルインの言葉に息を詰まらせるコウスケ。ユウはそんなコウスケを横にフラフラ立ち上がると、ルインをより一層睨み付けた。
「…それは…貴方が勝手に決めつけたことじゃないですかッ!コースケさんがどれだけ苦しんでいるのかも知らないくせにッ!」
「ハッ…苦しむ?そんなこと俺が知るわけないだろう?俺は手に入れたこの力で欲しいモノを手に入れる…その為に誰を殺そうが何を犠牲にしようが関係ない。邪魔するモノなら排除する。その為の力だ。その男がどう苦しもうが俺にはどうでもいい。それに…」
そう言ったルインは化物のソレでユウを指差すと、ニヤリと口を歪めながら言葉を続けた。
「貴様も似たようなモノだろう?竜人…いや、ユウ」
「…ッ!」
「貴様もわかってるハズだ。自分が人族じゃないってな」
「…めて…」
「竜人は人族に近い魔物…だが、人族ではない」
「やめて…」
「何人もの人族を殺しておいて今更人間ヅラしてんじゃねぇ…」
「やめてッ!」
「貴様も立派な魔物じゃないかッ!」
自分の声も届かず、ただただ事実を突きつけられたユウはそのまま力無く崩れ落ちた。
「私は…私…は…」
まるで壊れた人形のように復唱し、朧げな瞳で震える手を見つめるユウ。
「さぁユウよ。俺達と一緒に来い」
ルインがそんなユウに近づこうとした瞬間、不意に背後から飛び出したミリン、ユリ、サクラの3人がルインに飛びかかろうとするも、ルインがその右腕を振り回した瞬間、3人はまるで暴風に巻き込まれたかのように吹き飛ばされ、地面に叩きつけられてその意識を手放した。
「ミリンッ!…ッ!」
目の前の光景に反射的にミリンの方へ駆け寄ろうと、痛む身体を起こしたコウスケ。しかし、ジリジリと戦意損失したユウの元へと近づくルインを前に、咄嗟にその間へと飛び込んだ。
「…なんのつもりだ小僧」
「お前にユウさんは渡さないッ!」
ルインを前に両手を広げて立ちはだかるコウスケ。しかし、足を止めることなく直進してくるルインを前に再び魔法陣から剣を引き抜いた。
「小僧、何故その男を庇う?ソイツは俺達と同じ魔物だぞ?」
「そんなわけないッ!ユウさんは…俺達と同じ人間だッ!魔物な訳がないッ!」
「その男が何人もの人族を殺していてもか?」
「ッ!…それは…」
「それとも貴様は知らないのか?今貴様が庇っているその男はな…
───自分の父親を殺した張本人だぞ?」
ーーー
(───あの日、私が食料調達を終えて洞窟に帰ってくると、3人ほど男の冒険者達が父さん…いえ、赤竜と戦っていたんです。
別に父さんが戦っているのは珍しくはなかったので、私はしばらくそのまま見ていたんですけど…突然、その男の1人が変な白い煙みたいなのを洞窟内にぶち撒けたんです。
その煙を吸い込んだ時、いきなり父さんが苦しみ出して…私は思わず、逃げていこうとする3人を殺して父さんの元へ駆け寄ったんです。
そうしたら父さんが…
『すまないユウ…もう、意識も保てるかわからない…もし、俺が暴走した時は…お前が…俺を、殺してくれ…』
息子に殺されるなら本望だ、と。そう言うみたいに。
その後はもう、悲惨なものでした。父さんの言う通り、父さんは暴走し、私を…いえ、洞窟にいた同胞達を襲い出したんです。
私はその時、夢中になってみんなを逃しました。そして
…この手で、父さんの首を切り落としました。
…そこから先のことは本当に覚えてないんです。その…目の前が真っ暗になって、自分が自分じゃなくて、まるで感情に操られたみたいに…
今でも覚えてます。あの、大好きだった父さんの…肉を切り裂いた時の感触が…)
「そう…そんなことが…」
悔しむように拳を握りしめるユウ。女はしばらく考え込むような仕草をすると、不意にユウの身体を拘束している手錠を解いた。
(…なんのつもりですか?)
「いや、特に理由はないよ。…ただ、貴方がここから逃げるような人じゃないってことがわかったからね」
(逃げ出したり襲われたりされたらどうする気だったんですか…)
「その時はその時よ。だって貴方ならその手錠くらい簡単に壊せるハズだし、殺そうと思えばいつだって私を殺せたからね」
(…)
自信ありげにそう言う女の言葉にユウは何も言い返せずに黙り込むと、拘束の解かれたその赤黒い鱗を纏った両手の感覚を確かめるように閉じたり開いたりした。
「ねぇ」
ユウがそうしていると、不意に女がユウを後ろから抱きしめるようにしながら耳打ちをした。
(…なんでしょうか?)
「貴方、なんて名前なの?」
(…ユウ)
「そう、ユウって言うのね…」
ユウの反応にどこか楽しそうにクスクスと笑い出す女。ユウはそんな女の真意を測りかねると、思考を放棄したように女へとその身体を委ね、その意識を手放した。
ーーー
「私が…父さんを…?」
「ああそうだ。お前があの男を殺した。忘れるわけがないよなぁ?その手に残った…愛する父親を殺す感触が…」
「ぁ…ぁぁ…」
ルインの言葉に、忘れていたその記憶を、その手の感触を思い出したユウは、その身体に纏わりつく得体の知れない感情に呑み込まれると、震える両手で頭を押さえながらその場に蹲った。
「私は…私はなんてことを…私が…この手で…父さんを…」
「ユウさん!?おい!?」
虚ろな瞳で涙をこぼしブツブツと言うユウを目に、コウスケは咄嗟に剣を投げ捨て駆け寄ろうとすると、不意に目の前に立っていたルインにその首を掴まれた。
「…ぅ…ぐ…ぁ…」
「邪魔をするな…ッ!」
苦しむコウスケを地面に叩きつけ、その腕を折って頭を踏みつけたルイン。
こうして吐血するコウスケの姿をユウがその虚ろな瞳に映した瞬間、その足元に蟠る影がより一層闇色に染まった。
「フハハハハハハッ!始まるぞ…ッ!竜人の進化がッ!」
盛大に笑うルイン。コウスケはその目に映る光景を前に考えるという行動を失った。
「ぁ…ぁ…ぁぁ…」
ユウの悲痛な声と共にその闇を増していく影。
ユウの瞳からこぼれ落ちた涙が影に触れた瞬間、不意にその闇の中から鋭利な刃先のようなものを持った闇色の影が生えると、ソレはまるで意志を持つ生物のように蹲るユウの背中を容赦なく斬りつけた。
「────ッ!────ッ!」
ユウの声にならない声は、まるでその影には届かず、ただただその背中を切り裂いた。
一撃、二撃、三撃…次々と斬りつけ、鮮血が噴き出す。その一撃を喰らうごとに、頭を押さえるユウのその手はまるで別の何かに侵食されるように赤黒い竜の鱗を纏ったソレへと変貌していく。
「───────ッ!」
痛みのせいなのか、それとも別のせいなのか。血に染まった上着がもはやその原型ととどめなくなった時、不意にユウが声にならない叫び声を上げた。
──ミチミチ…ズルッ…ビチャッ…
不意に聞こえる肉の裂けるような音と共に、ユウの背中から大量の鮮血が噴き出しながら、まるで蛹から何かが翼化するように血で赤く染まった竜の翼がユウの背中に出現した。
「───ッ!─ッ!」
ユウは無意識の中、悲痛な声と共にその赤い翼を広げてると、その翼をはためかせて付着している血を吹き飛ばした。
「おぉ…これが真の竜人…!なんと美しい…ッ!」
闇から生えた影が消え、禍々しくも2人の前に現れたユウのその姿を前に、ルインは思わずそんな声を上げた。
「…」
進化が終わり、無言のままユラユラと立ち上がるユウ。その不気味な佇まいに、ルインはどこか待ち侘びていたような、そんな興奮した様子で踏んでいるコウスケの頭をさらに強く踏みつけた。
「…ッ…ァ…」
もはや声を出すこともできず、ただただその鼻や口から息が抜けていくだけのコウスケ。
不意にユウの虚ろな瞳にその光景が映り込んだ瞬間、その瞳は一瞬光を取り込んだように生気が戻るも、すぐさま血色の、絶望したような瞳へとその姿を変えた。
「…私が」
「…あ?」
「私がついて行けば…コースケさん達は助かるんですか…」
何も感じられない瞳をルインに向け、不意にそう口を動かすユウ。
ルインはその言葉の意味を理解すると、踏んでいたコウスケを近くの木の根元へと蹴飛ばし、盛大に笑い出した。
「フハハハハハハッ!そうか…ッ!ついにこの俺について来る気になったかッ!」
「…助かるのかと聞いているんです…ッ」
「フッ…釣れない奴め…あぁそうだ。貴様が手に入るなら俺はこれ以上コイツらを傷付けたりはしない」
「…なら、私は──」
霞がかった視界の中、段々と聞こえなくなるユウの言葉にコウスケは引き止めようと声を上げようとするも、ユウの口が「ごめんなさい」とでも言うように動いた瞬間、コウスケは全身を襲う激痛と共にゆっくりとその意識を手放した。
これにて第3部、完!ってね。
みなさんこんにちは。赤槻春来です。
と、言うわけで18章、いかがでしょうか?
私個人としてはようやく書きたいシーンが書けた!という感じでとてもテンションが上がっております。
新キャラも登場して、魔王ルインが直接前に出てきて…これからどうなってしまうんでしょうね?
次回の19章からは新章開幕!魔王に大敗したコウスケ達の身にこれから何が起こるのか…!そしてまた新しいキャラクターがたくさん出てくる予感…お楽しみに!
面白いと思ったら今後も読んでくれると嬉しいです。
感想やアドバイスなどありましたらコメント欄やツイッターなどに書き込んでくれると幸いです。
それでは!みなさん!またどこかでお会いしましょう!
チャオ〜!




