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バットエンド・キャンセラー  作者: 赤槻春来
第1部.そして出会いは突然に
5/109

王都へやってきた



「おぉ…ここが王都かぁ…」


 アール王国の王都に着いたコウスケ達は王都で最も賑やかなアール商店街にきていた。


「ここに来るのは初めて?」


 ミリンは少し不思議そうな顔をしながらそう言った。


「そうだけど…それがどうしたの?」

「いや…なんか珍しいなと思ってね」


 若干目を逸らしながらそう言うミリンを横目にコウスケは商店街の中で特に目立つ建物へと向かっていた。

 コウスケの向かう方向に気づいたのかミリンはコウスケとの距離を縮めるとコウスケの顔を覗き込んだ。


「なに?コウスケは冒険者なの?」

「いや…でも冒険者になろうとは思ってるよ」


 ミリンの言葉から推測するにあの建物は冒険者の集まるギルドかなにかだということがわかったコウスケは、高鳴る鼓動(ミリンのせいか新生活への期待なのかはわからないが)を抑えながら自らの足を早めた。



「それではこちらがギルドカードになります。詳細はこちらの紙を見てください。」


 ギルドへやってきたコウスケは受付嬢からカードと紙を受け取るとその一角にある椅子に腰をかけた。

 さすがギルドといったところか、建物内は多くの冒険者達が出たり入ったりを繰り返している。コウスケがそんな風景をぼーっと眺めていると肩を叩かれた。


「おまたせ」


 振り向くとさっき作ってもらったであろうギルドカードを持ったミリンが満足気な顔で立っていた。


「お前、それ作ったの?」


 コウスケの何気ない一言にミリンは少し照れながら口をモゴモゴと動かした。


「べ、べつにいいじゃない!…コウスケと一緒にいたかっただけだし…」


 後半はどんどん声が小さくなっていき、雑音にかき消されてコウスケの耳には届かなかった。


「ん?なんだって?」

「な、なんでもないなんでもない!」


 必死になって首を振るミリンにコウスケは若干苦笑しつつもスッと立ち上がった。


「じゃあ俺はこれで。ここまで連れてきてくれてありがとう」


 コウスケはそう言ってギルドを出ようとするとミリンに肩を掴まれた。


「ちょっとミリン、俺出られないんだけど…」


 そんなコウスケの声はミリンの耳には届かず…


「ねぇコウスケ…今日初めて来たって言ったよね?」

「あ、ああ…そう言ったけどー」


 有無を言わせないミリンの雰囲気に気圧されながらコウスケはゆっくり振り向いた。


「泊まる宿とかあるの?」


 ミリンのその一言にコウスケは固まった。

 もちろんコウスケも忘れていたわけではない。だが、これまで順調に進み過ぎたせいで「どうせなんとかなるだろ」と考え始めているのも事実だった。

 ミリンにはそんなことはまるでお見通しなようで言葉を続けた。


うちって宿屋なんだけどよければどう?べつにお金とかはいいからさ…」


 魅力的な提案だった。

 コウスケはそんなミリンの言葉に素直に甘えることにした。



「だだいまぁ〜」

「お、お邪魔します」


『アイテム屋KAZU』と呼ばれる店で装備等を買い足したコウスケ達はミリンの家である『宿屋フラワー』に来ていた。

 中は宿屋なだけあってそこそこ広く、ちらほらと冒険者らしき人が見られた。

 コウスケはミリンの後に続き、他の宿泊客の泊まる部屋とは少し離れた場所にある空き部屋へと案内された。


「ここは今使ってないから使っていいよ。父さんには私から説明しておくから」


 ミリンはそう言うとエントランスのほうへと走っていった。コウスケはそれを見送るとミリンに渡された鍵を使って扉を開けた。



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