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バットエンド・キャンセラー  作者: 赤槻春来
第3部.新たなる目的へ
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旅立ちの日


「おはようみんな…」


 朝食の匂いに釣られて目が覚めたコウスケは、普段着に着替えると匂いのする食堂のほうへと足を運ぶ。


「あ、おはようコウスケ。ちょっとまってて、すぐ出来上がるから」

「…今日はミリンが作ってるんだな」

「前にコウスケが作ったアレよりはマシだと思うよ」

「ぅ…」


 台所から響くミリンのそんな言葉はコウスケの心にグサリと刺さった。


「あっミリン!さっきも言ったじゃないですか!それが後だと芯が残っちゃいますよ」

「えっ!?あっ…」

「あー…ちょっと貸してください。私がやりますから」

「いや!今日はわたしがやるから!ユウは絶対手を出さないで!」

「…はぁ…わかりましたよ。でも本当にヘルプの時は呼んでくださいね」


 そんな会話を聞きながらコウスケが席に座って待っていると、不意にユウが台所から出てきた。


「あ、コースケさん。おはようございます」

「あ、うん。おはようユウさん」


 ユウはコウスケにそう言うと、静かにコウスケのいる席へと向かってきた。


「…ん?あれ、ユウさんなんか雰囲気変わった?」

「えっ…何の話ですか?」

「いや…なんかいつもと違って見えたから。ユウさん、ちょっとそこで一周回ってくんね?」

「?わかりました」


 ユウはコウスケに言われるまま一回転すると、それを見て違和感の正体に気付いたコウスケが両手をポンと叩いてみせた。


「ユウさん、尻尾はどうしたの?」

「えっ…あっ…ちょっと待ってくださいね…」


 ユウがどこか恥ずかしそうにそう言うと、ボンっという音と共にそのスカートが舞い上がった。


「あっ…ちょっと見ないでくださいよコースケさん!」

「いや、今のは不可抗力だろ!?…ってあれ?尻尾元に戻ってる?」


 ユウは乱れたスカートを叩くように元に戻すと、スカートの中でその尻尾を動かしてみせた。


「はい。擬態魔法の応用なんですけど…昨日やってから解除するの忘れてました」

「へぇ…そんなこともできるのか。今度俺にも教えてよ」

「いいですよ」


 ユウはコウスケのその何気ない一言を快諾すると、ふと思い出したように台所へ目を向けた。


「熱っ!」


 なんとタイミングがいいことか、台所からミリンのそんな声が聞こえてくると、ユウはコウスケに「少し待っててください」と言い残して台所へと向かった。

 少ししてからユウの呆れた声が聞こえてくるのは言うまでもない。

 コウスケはそんな聞こえてくる会話に苦笑しながら待っていると、ゾロゾロと宿に泊まっていた人達も起床したのか食堂に集まり始めた。


「おはようリーダー」

「ユウは?ユウはどこ?」


 コウスケが座っていると、不意に背後からそんな声をかけられた。ユリとサクラである。

 サクラは何か寝ぼけているだけなのか、はたまた怖い夢でも見たのか、どちらかは分からないがどこか不安そうな表情でユリにしがみついていた。


「ユウさんなら台所だよ。ミリンが料理するらしいからそれを見てる」

「…わかった」


 ユリはコウスケにそう言うと、サクラをおぶって台所へと向かった。

 直後、ユウとなにやら会話をしたユリとサクラはその手に料理の乗ったトレーを持って他の宿泊客のいるテーブルへとそれを運んでいた。

 相変わらず動きが早いな、と。コウスケはそんな光景を前に改めてそう思った。

 もちろん、ユウやユイがいなければあの2人も動かないというか課題があるのだけれども(今までコウスケの頼んだことをやってくれた事は一度も無く、ユウやユイに何か言われていない限り行動はしなかった)。


「お待たせコウスケ!ちょっと不恰好だけどこれ!召し上がれ!」


 コウスケがそんなどうでもいいことを考えていると、料理が完成したのか満遍の笑みを浮かべたミリンが何という品目なのか分からない料理(もちろんコウスケの作った物体Xなんかよりは断然マシである)をことりとコウスケの前に置いてみせた。


「味は保証しますよ」


 困惑するコウスケにユウはそう言った。

 ユウが言うからには確実なのだろうと、コウスケはそんな根拠もない理由で出されたスプーンを握ると、そっとそれを口にした。


「…うん、普通」

「では、今日のコースケさんの朝食はこれということで。それじゃあ私達も朝食をとりましょうか」


 ユウがそう言うと、ミリンと配膳の終わったユリとサクラ、そしてユウの影の中からぬっと姿を現したユイがコウスケのいるテーブルを囲むように座った。もちろん、そこに用意されている料理は他の宿泊客へ提供されているのと同じものだ。


「えっ…俺だけこれ食うの?」

「ミリンが初めて1人で作った料理ですよ。しっかり食べてあげてくださいね」


 ミリンの期待するような眼差しを向けられたコウスケは、まるで有無を言わせないといった空間を前に改めて料理を口に運んだ。



ーーー



 いつも通り依頼クエストを達成したコウスケ達が宿に戻ると、珍しくミリンの父親、ハルナ、そしてカズヤがリビングにある大きなテーブルを囲むように座っていた。


「お、来たかあんちゃん」

「あ、おっちゃん。なんでここに?」


 コウスケのそんな反応を前にカズヤはどこか嬉しそうに微笑むと、コウスケ達を空いている椅子を座るように促した。


「んじゃ、簡潔に説明するぞ。今回集まったのはな、ミリンがしばらくここを離れて旅に出たいって言ったからだ」


 そんなカズヤの一言。コウスケ達(ユウとユイを除く)が一斉にミリンの方に目を向けると、ミリンはその言葉を肯定するように頷いた。


「本当なのかミリン?」


 ミリンの父親は我が子がそんなことを言ったという事実を確認するようにミリンに問いかけた。


「うん」

「そう、か…」


 力強く頷くミリン。それを見た父親は「ミリンも大きくなったな」と、どこか感慨深い気持ちになった。


「まぁミリンが言うなら俺に止める理由もない。もう子供じゃないしな」

「…!ありがとうお父さん」


 父親の言葉に喜ぶミリン。

 父親は、旅に出るならコウスケ達も一緒だろうと、そう考えた結論でもある。コウスケやユウに対する絶対的な信頼があることや、普段から我儘を言わないミリンがそう頼んでいるというのが主な理由である。もちろん、我が子に対する心配はあるのだけれど。

 2人のそんなやり取りを前にカズヤはタイミングを見計らって改めて口を開いた。


「まぁそういうことだ。あんちゃん達も、もちろん行くよな?」

 コウスケ達はそんなカズヤの言葉に顔を見合わせると、「任せておけ」とても言うように大きく頷いた。

「えっと…あの、なんでハルナは呼ばれたんですか…?」


 不意にそう言うハルナ。それを聞いたカズヤとユウがハッとした様子でオドオドしているハルナのほうへと向き直った。


「すみません、ハルナちゃんには料理を作ってあげるようにお願いしたかったんです。旅に出ている間、私の代わりに、厨房に立っていてもらえませんか?」


 ユウのその一言。ハルナも一瞬その言葉に動揺したが、すぐさま落ち着いたのかもとのリラックスした状態へと戻った。

 ユウがハルナに頼んだもちろん、ハルナにらそれくらい普通にやってくれると信頼しているからだ。

 ユウとハルナ以外のみんなはしばらく固まっていると、その言葉の意味を理解したのか納得と言った様子で頷いた。




 翌日。

 朝食を済ませ、しっかりと旅の支度を終わらせたコウスケ達は宿の玄関前へと集合していた。


「さぁ、俺達の旅が始まるぜ!」


 ───かくしてコウスケ達一向はミリンの母親を探す『旅』に出たのだった。

 …いや、とにかく眠い。いやマジで。(唐突)

 内容薄くてごめんなさい…


 みなさんこんにちは。赤槻あかつき春来はるきです。


 第14章、いかがでしたか?

 今回からしばらくコウスケ達が『旅』に出ます。思えばなんで冒険者なのにずっとあの場所にいたんだろ?


 前半は元の姿に戻れなくなってしまったミリンがユウに相談(?)するシーン。

 もはやユウの教えた擬態魔法ならなんだってできそう…ケモミミとか。うん。


 後半は家族会議…というかみんなに旅に出るという意思を伝えるシーン。

 内容的には割と日常的なのかもしれないけど…ま、気にしたら負けだよね!


 次回は第15章!旅立ったコウスケ達一向に何やら怪しい影が…!


 余談ですが地の文を少し多くしたみました。キャラが増えた為、中々最初のようには戻りませんでしたが…


 面白いと思ったら今後も読んでくれると嬉しいです。

 感想やアドバイスなどありましたらコメント欄やツイッターなどに書き込んでくれると幸いです。


 それではみなさん、またどこかでお会いしましょう。

 バイバイ!

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