ユイ・イガラシ
「…それで?今日はどうだったんだ?」
「ここ一週間は何もなかったですよ。ただ、コースケさんは暴走したあの日から少し、戦い方に怯えのようなものが感じ取れます」
ユウは背後から聞こえてくるユイの声にそう答えると、おろした髪を洗い始めた。
「で、姉さん」
「ん?どしたユウ?」
「なんで風呂場に入ってきてるんですか!?私、入ってますよね…?」
「別にいいじゃないか。姉弟なんだし」
ユイはそう言いながら、ユウの背中にピトッとくっついた。
「ね、姉さん…それを押し付けられると私、妙な敗北感が…」
「え?なんでさ。男のユウにはついてないでしょう?」
「わ、私が女体化した時そんなに大きくなかったから…」
「…ヘぇ〜…ユウ、俺より女子っぽいなぁ…」
「か、からかわないでくださいよ姉さん!?それと、私はちゃんと男ですから!」
「はいはい、わかってるよ」
ユイはしぶしぶユウから離れると、お湯を浴びて湯船に浸かった。
「…で、あの子の話なんだけど」
ユイがそう言うと、ユウは髪についた泡を流して湯船に浸かった。
「あの子って…コースケさんのことですね?」
「そう。あの子の暴走について俺なりに考察したんだけど…聞く?」
ユイはユウに訴えかけるような眼差しでそう言うと、スッとユウに身体を密着させた。
「聞きますよ姉さん…それと、さりげなくくっつかないでくださいよ…」
「えー?もしかしてユウ、姉の俺に欲j…」
「はいはい。離れなくていいですよ」
「ちぇ…つれないなぁ…」
ユイは不満気にそう言うと、再び真面目な顔に戻った。
「で、あの子の暴走について。ユウもきっと気付いてると思うけど…あの力、俺達と同種…いや、俺達の力と別の力が混ざったような感じかな」
ユイはそう言うと、天井を目上げた。
「私達と同種…?別の力…?一体どういう…」
「まぁ、詳しいことはもう1人の自分に聞くといいよ、ユウ。俺ができるのはこんな推測くらいだからね。その原因に聞くのが1番早いさ」
「もう1人の私…ですか…?」
「そう。いつかわかると思うよ」
ユイは困惑しているユウを横にざばぁと立ち上がると、ユウを正面から抱きしめた。
「姉さん…?急に何して…」
「抱きしめてるだけだよ。ユウ、せっかく再会できたのにずっとあの子のことばっかだったから…そう少しこのまま…」
ユウはそんなユイをそっと抱きしめ返すと、しばらく2人で湯船に浸かっていた。
「んー!んんー!」
「ん!んんー!ん!」
「…何してるんですか?ユリ、サクラ」
風呂から上がったユウ達が脱衣所に入ると、柱に紐で括り付けられた下着姿のユリとサクラの姿があった。
「ん!んん!…っぷぁ…義姉さん!何するんですか!」
「ん…はぁ…そうですよ!あたし達まだ何もしてなかったのに!いきなり縛るなんて…!」
ユウに紐を解いてもらった2人は、その光景を眺めていたユイに向かってそう叫んだ。
「いや、ユウが入ってるのにお前らが脱衣所で変なことしてるからだろ」
「私からすれば姉さんも大概だと思いますけど…というか早く服着てくださいよ姉さん」
「…ユウ。いつのまに着替えて…」
「は、や、く!」
ユイはユウにそう言われると、その場で自分の服に着替えはじめた。
「むむむ…なんだろうこの敗北感…」
「あたしだって多少は…うぅ…」
ユリとサクラはそんなユイの姿に悔しむような表情を浮かべると、ユウのほうへ視線をうつした。
「な、なんですか…その意味ありげな視線は…」
「…やっぱりユウは大きいほうが好きなの?」
「あたし達、魅力ない…?」
「え、いや、そんな顔しないでくださいよ2人共…それに、私はどっちがいいとかありませんから!では、私は夕食の支度があるので!」
ユウは顔を真っ赤にしてそう言うと、嵐のように脱衣所を出ていった。
「じゃあ俺もこの辺で。ユウはああ言ったが俺はまだお前達を認めてはないからな」
ユイがそう言って脱衣所を出ると、取り残された2人はお互いを見合わせた。
「…これってあたし達にもチャンスがあるってことだよね…?」
「うん。私も義姉さんに負けないよ!」




