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バットエンド・キャンセラー  作者: 赤槻春来
第2部.フェイク・ライユージャン
31/112

ユイ・イガラシ



「…それで?今日はどうだったんだ?」

「ここ一週間は何もなかったですよ。ただ、コースケさんは暴走したあの日から少し、戦い方に怯えのようなものが感じ取れます」


 ユウは背後から聞こえてくるユイの声にそう答えると、おろした髪を洗い始めた。


「で、姉さん」

「ん?どしたユウ?」

「なんで風呂場に入ってきてるんですか!?私、入ってますよね…?」

「別にいいじゃないか。姉弟なんだし」


 ユイはそう言いながら、ユウの背中にピトッとくっついた。


「ね、姉さん…それを押し付けられると私、妙な敗北感が…」

「え?なんでさ。男のユウにはついてないでしょう?」

「わ、私が女体化した時そんなに大きくなかったから…」

「…ヘぇ〜…ユウ、俺より女子っぽいなぁ…」

「か、からかわないでくださいよ姉さん!?それと、私はちゃんと男ですから!」

「はいはい、わかってるよ」


 ユイはしぶしぶユウから離れると、お湯を浴びて湯船に浸かった。


「…で、あの子の話なんだけど」


 ユイがそう言うと、ユウは髪についた泡を流して湯船に浸かった。


「あの子って…コースケさんのことですね?」

「そう。あの子の暴走について俺なりに考察したんだけど…聞く?」


 ユイはユウに訴えかけるような眼差しでそう言うと、スッとユウに身体を密着させた。


「聞きますよ姉さん…それと、さりげなくくっつかないでくださいよ…」

「えー?もしかしてユウ、姉の俺に欲j…」

「はいはい。離れなくていいですよ」

「ちぇ…つれないなぁ…」


 ユイは不満気にそう言うと、再び真面目な顔に戻った。


「で、あの子の暴走について。ユウもきっと気付いてると思うけど…あの力、俺達と同種…いや、俺達の力と別の力が混ざったような感じかな」


 ユイはそう言うと、天井を目上げた。


「私達と同種…?別の力…?一体どういう…」

「まぁ、詳しいことはもう1人の自分に聞くといいよ、ユウ。俺ができるのはこんな推測くらいだからね。その原因に聞くのが1番早いさ」

「もう1人の私…ですか…?」

「そう。いつかわかると思うよ」


 ユイは困惑しているユウを横にざばぁと立ち上がると、ユウを正面から抱きしめた。


「姉さん…?急に何して…」

「抱きしめてるだけだよ。ユウ、せっかく再会できたのにずっとあの子のことばっかだったから…そう少しこのまま…」


 ユウはそんなユイをそっと抱きしめ返すと、しばらく2人で湯船に浸かっていた。



「んー!んんー!」

「ん!んんー!ん!」

「…何してるんですか?ユリ、サクラ」


 風呂から上がったユウ達が脱衣所に入ると、柱に紐で括り付けられた下着姿のユリとサクラの姿があった。


「ん!んん!…っぷぁ…義姉おねえさん!何するんですか!」

「ん…はぁ…そうですよ!あたし達まだ何もしてなかったのに!いきなり縛るなんて…!」


 ユウに紐を解いてもらった2人は、その光景を眺めていたユイに向かってそう叫んだ。


「いや、ユウが入ってるのにお前らが脱衣所ここで変なことしてるからだろ」

「私からすれば姉さんも大概だと思いますけど…というか早く服着てくださいよ姉さん」

「…ユウ。いつのまに着替えて…」

「は、や、く!」


 ユイはユウにそう言われると、その場で自分の服に着替えはじめた。


「むむむ…なんだろうこの敗北感…」

「あたしだって多少は…うぅ…」


 ユリとサクラはそんなユイの姿に悔しむような表情を浮かべると、ユウのほうへ視線をうつした。


「な、なんですか…その意味ありげな視線は…」

「…やっぱりユウは大きいほうが好きなの?」

「あたし達、魅力ない…?」

「え、いや、そんな顔しないでくださいよ2人共…それに、私はどっちがいいとかありませんから!では、私は夕食の支度があるので!」


 ユウは顔を真っ赤にしてそう言うと、嵐のように脱衣所を出ていった。


「じゃあ俺もこの辺で。ユウはああ言ったが俺はまだお前達を認めてはないからな」


 ユイがそう言って脱衣所を出ると、取り残された2人はお互いを見合わせた。


「…これってあたし達にもチャンスがあるってことだよね…?」

「うん。私も義姉おねえさんに負けないよ!」

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