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バットエンド・キャンセラー  作者: 赤槻春来
第2部.対面!最強の四天王
25/112

読めない女



 コウスケの夕食騒動から1週間。コウスケ達が依頼クエストから帰ってくるとギルド内は妙にざわついていた。


「みなさん落ち着きがないようですがどうしたのでしょう?」

「またリーダーの料理が原因だったりして」

「ちょっ!あれは忘れて!」


 ユウの疑問にユリがからかうようにそう言うと、コウスケは慌てた様子で止めに入った。


「あ!先輩!」

「ユウ!」


 コウスケ達は声のするほうへ振り返るとそこにはなにやら新聞のようなものを持ったカイトとスミレが立っていた。


「どうしたんですか?スミレ…と…えっと…」

「カイトだよ!」

「カイト?さん?」

「うん…なんか引っかかるけど…まぁいいや!先輩!これ見ましたか?」


 カイトはそう言うと持っていた新聞をコウスケに渡した。


「えっと…『連続殺人事件』?これのことか?」

「はい!」


 コウスケが記事の見出しを読み上げると元気にそう答えたカイト。ユウはコウスケからその新聞をひったくるように取ると記事に目を通した。


「この事件の犯人って…」

「死神だよ」


 ユウが独り言のように呟くと横からそんな声が聞こえてきた。

 コウスケ達は反射的にそちらに目を向けるとそこにはフードをかぶった長身の女が立っていた。


「…あんた…誰?」


 ユリが警戒しながらそう聞くと女はやれやれといった様子で手を振るとフードを外した。


「あたしはマラリア。君達に危害を加えつもりはないよ」

「マラリア…どこかで聞いたことがあるような…」


 女─マラリアはそう名乗るとサクラは何か知っているのか首を捻った。


「ここでは話しにくいから少し移動させてもらうよ」


 マラリアはそう言うと履いていたヒールの踵で地面を小突いた。すると、コウスケ達の身体は一瞬、空気に溶けるように消えたかと思えば、どこかにある廃墟だろうか暗い場所へ移動していた。


「また影移動とは違った感覚…」


 サクラが呟くとマラリアはユウの腕を掴み廃墟の奥へと歩き出した。


「ちょっとユウさん!?なんで奥に行こうとしてるの!?」

「わ、わかりません!腕を引かれてるだけなのに全く抵抗できないんです」


 それに気付いたミリンの声にユウは掴まれた腕を解こうと試みるも、ユウの腕はまるで自分腕ではないように動きもしなかった。


「無駄だよ。君達の精神は今、あたしの支配下にあるからね」


 抵抗しようとしたユウを横にマラリアは足を止めるとそう言った。


「〈精神支配〉…ッ!あなた…あの魔王軍四天王のマラリアねッ!」


 サクラは息を荒げながらそう叫ぶとユウのほうへ向かって身体を動かそうとした。


「ッ!動かない…ッ!」

「気付くのが遅いよ。あたしの〈精神支配〉を解ける人はそうそういないからね」


 マラリアはそう言い放つとユウの引き連れて廃墟の奥へと歩いていった。


「ユウさん!…ッ!くそッ!動かない…ッ!」


 コウスケ達は身体を動かそうとするも、もはや自分で意思ではピクリとも動かなかった。




 廃墟は奥に進むにつれ差し込んでいた光も徐々に弱くなり、ちょうど光が差し込まなくなった場所でマラリアは足を止めた。そこは最近まで使われていたのかあの遺跡の一室のような沢山の薬品のようなものが入ったケースがずらっと並んでいた。


「君…ユウって名前なのね」

「…はい」


 マラリアが手を離すとユウの身体は元に戻ったのか自分で動かせるようになっていた。

 ユウは静かに返事をするとマラリアに対して構えながらそっと一歩後ろに下がった。


「はは…そんなに警戒しなくてもあたしは君を傷つけたりするつもりはないさ」


 戯けたように笑ってみせるマラリアにユウは眉をひそめるとゆっくり警戒を解いた。


「納得できません…あなた達魔王軍は私を捕獲しようとしてくるのに…」

「…あたしは最強の四天王とか呼ばれてるけど魔王ルインの部下じゃないからね。強いほうについていく…あたしはそういう女だし。戦いは好きじゃないわ」

「…基本的には自由…ということですか」


 ユウかそう呟くとマラリアはどこか楽しそうに口を開いた。


「ただ、今日はあのルインが欲しがってやまない君が一体どんな存在なのか知りたくなっただけだよ」

「…私のことを知ってどうするつもりですか。ここで私を捕らえて魔王ルインに差し出せば済む話じゃないですか」

「あはは!やっぱ君は面白いね。自分を差し出せばいいなんて。普通だったら自分からは言わないよ」


 マラリアはユウの顔を見つめると一瞬、唇をニッと歪めた。


「まぁあたしはルインが何を考えてるかは知らないし、君はもうちょっと野放しにしてたほうが面白そうなんだよ」

「…」


 ユウが黙り込んでいるとマラリアはその反応が気に入らなかったのか頬を膨らませた。


「なによその反応ー!お姉さん拗ねちゃうぞ」

「…はぁ…」


 ユウはため息を吐くとゆっくり口を開いた。


「それで、本題はまだですか?連続殺人事件と死神の動機と…いえ、あなたは多分…その正体を知ってるんでしょうね」


 マラリアはユウの言葉に一瞬、表情を無くすがすぐに口を開いた。


「すごいね君。まさかこの一瞬で気付かれるとは思わなかったけど…まぁいいわ。死神について教えてあげる」


 マラリアは不敵な笑みを浮かべると言葉をつなげた。


「君、ガリとゴリって覚えてる?」

「?なんですかそれ?」

「…え」


 マラリアはユウの反応が以外だったのか一瞬言葉を失った。一方ユウは何かわからないといった様子で首をかしげた。


「ほら、大会で戦ってたでしょ?」

「…あ!あの汚物オス共ですね!大会をめちゃくちゃにした」

「うん?まぁうん…合ってるよきっと」


 マラリアはユウの台詞に疑問を抱いたが言葉を続けた。


「死神は彼等みたいに魔物化した人間を襲ってるんだよ」

「…魔物化…?」

「そう。簡単に言えばエイズが人間を実験台にしたときにできる失敗作だよ」

「エイズ…ッ!」


 ユウはギリッと奥歯を噛み締めると拳を握りしめた。


「死神の正体は…いつかわかると思うよ。君は」

「それって一体どういう…」

「見つけた!ユウさん!ソイツから離れて!」


 ユウがマラリアに聞こうとした瞬間、コウスケの声が響いたかと思うとマラリアの立っていた場所で小さな爆発が起こった。


「!コースケさん!」

「大丈夫?ユウ?」


 コウスケ達は吹き飛ばされたユウのほうへ駆け寄るとユウはサクラの手を掴んで立ち上がった。


「危ないじゃないですか!」

「ご、ごめんユウさん…焦ってたもんで…」


 コウスケがユウに頭を下げるとユウはマラリアのほうへ視線を向けた。


「まさかいきなり攻撃してくるとはね。あたしとそのユウってじゃなかったら大変なことになってだと思うんだけど」

「だからそれはごめ…って!なんで敵に謝らなければならないんだ!」


 コウスケの反応にマラリアはクスクスと笑った。


「それじゃああたしはこの辺で。また会おうねユウちゃん」

「私は男です!」


 マラリアはそう言うと空気に溶けるように消えていった。


「あれが…四天王最強のマラリア…油断も隙間ない…」

 コウスケはマラリアの立っていた場所を睨むように見つめると拳を握りしめた。



ーーー



「マラリア。一体どこに行っていた」


 魔王城ヘ戻ったマラリアは背後からかけられた声に足を止めた。


「別にどこだっていいじゃない。エボラ」

「お前は仮にも四天王の身だ。いくらルイン様に許されているからといって勝手に行動されては困る」


 マラリアは話しかけていた固い表情の大男ーエボラのほうに振り向くとつまらなそうに腰に手を当てた。


「あたしはあたしのやりたいようにやる。君の作戦とやらは面白くなさそうだからごめんだよ。あ!それともあたしと勝負する?そしたらお姉さん今回は言うこと聞いてあげるよ」


 エボラはマラリアの言葉にピクリと動かしたが再び固い表情に戻った。


「…俺は勝てない相手に勝負を挑むほど馬鹿ではない」

「なぁ〜んだ。残念」


 マラリアをおかしそうに笑いながらそう言うと自室へ戻っていった。


「…これだから女は苦手なんだ…」


 エボラはひとり呟くと奥歯を噛み締めた。



ーーー



「痛いところは無い?」

「もう大丈夫ですよサクラ…あの、本当に大丈夫ですよ?腕を掴んだまま無言にならないでもらえます?」

「サクラ〜ッ!あたしが看病するつもりだったのに…ッ!」

「公平なジャンケン?とやらの結果です!」

「あの、2人とも…もう離れて…」


 ミリンのゲートを使って宿へ戻ってきたコウスケ達は負傷した(コウスケのせいで)ユウをベッドに運ぶとその場に集まった。


「それで…ユウはマラリアに何かされたの?」


 ミリンがユウに問いかけるとユウは首を横に振った。


「私は何もされてませんよ。ただ、マラリアは死神について私に『魔物化した人間を襲ってるんだよ』と言ってました。まぁ戦えば驚異になりかねませんが…少なくともあまり好戦的では無さそうです」

「ありがとユウ。それがわかっただけでも十分よ」


 ミリンがそう言いながら腕を組むとその様子を見ていたスミレが眼鏡をクイッとあげた。


「僕からもひとつ聞きたいんだけど…死神の正体とかは聞いてないの?」

「それは…いつかわかると言ってました…」

「…いつか…ねぇ…」


 スミレはオウムのように呟くとその暗かなってきた雰囲気に耐えられなくなったコウスケは両手をパンっと鳴らした。


「まぁユウさんが無事だったから何も問題ないっしょ!」

「おう!我も先輩に激しく同意するぞ!」


 カイトはコウスケに続くように大声でそう言うとユウがジト目でコウスケのほうを見た。


「怪我をしたのはコースケさんのせいですけどね」

「ちょっ…それは忘れてよユウさん…」

「あ〜あ、私コースケさんに傷つけられちゃいました〜傷物にされちゃいました〜」

「やめて!ユウさんやめて!それユウさんが言うと割と洒落にならないから!」


 棒読みのユウの台詞にコウスケが慌てて声を上げると、それを見たミリン達は緊張していた頬を緩めて笑い出した。



 死神の正体は誰だ…!(震え声)


 みなさんこんにちは。赤槻あかつき春来はるきです。(発狂)


 第7章、どうだったでしょうか?今回は戦闘シーンがないのでさっぱりした内容になってしまいました。

 前半はユウの着せ替え人形!…のはずなんですけど…オチに全部持っていかれた気がします(笑)

男なのに男性服を着るとより女っぽさが強調されるのはユウの特徴のひとつですね!


 後半は新キャラ・マラリア登場!精神支配って強スギィ!(混乱)

 まだまだ分からないキャラですが内容的に死神と繋げられてよかったです。


 第8章では死神をメインに書いていきたいなーって思ってます!早く中の人が気になる。(出すとは言ってない)


 面白いと思ったら今後も読んでくれると嬉しいです。

 感想やアドバイスなどありましたらコメント欄やツイッターなどに書き込んでくれると幸いです。


 それでは!また!どこかで!お会いしましょう!

バイバイ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろい(特にキャラクターが個性的で) [気になる点] もっと長く書いてもいい。 見出し部分が章の名前と被ってるのが気になる。 [一言] 主人公はコウスケのほうだと思うけどみんな出番があ…
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