異世界!そして頼み事
「ついに成功したね…」
「ああ…」
暗い視界の中そんな声がコウスケの耳に入ってきた。
「そうか…俺はあの時トラックに跳ねられたのか…」
全身の力を抜いたコウスケは「これがお迎えか…」などと考えていると、ふと違和感を感じた。
お迎え(?)の声はだんだんとコウスケを起こそうとしているようにも感じられ…
「おい、少年!起きろ!」
低い声にそう言われたコウスケは恐る恐る瞼を開けた。
「ここは…?」
チカチカする目を抑えながらコウスケはゆっくりと周りを見渡した。
どうやら洞窟内のようで周囲にある水晶がライトのようにキラキラと光りを放っていた。
そんな幻想的な風景はコウスケの真下にある巨大な魔法陣によって一瞬で消え失せたが。
「ようやく起きたか少年」
コウスケは声の聞こえたほうへと顔を向けると、そこには ボロボロの黒い布をまとった2人の「人」がいた…
1人は布の間から黒い竜のような翼や尻尾が生えていて、男…というよりは女に近い顔立ちをした赤い目の男で、もう一人は頭に人間にはないような黒い角を生やした、金色の瞳を持った、白い肌の美しい女だった。
「突然だか少年よ君に頼みたいことがある」
男は少し申しなさげにしかし真剣な表情で口を開く。
「あ、あの…なんでしょう…」
コウスケは唾を飲むと男のほうを見つめると、静かな声で言葉を続けた。
「君に…この世界を救ってほしい」
「───…え?」
コウスケが無意識のうちにそんな声が漏れていた。