本題に入りましょう
どうしてこうなるのだろう。
ののはただ残り少ないこのひと時をにーなさんと2人で大事にしたいだけなのに。
真相に近づけば近づくだけにーなさんの死ぬ可能性は高くなる。
にーなさんはお姉さんのこととなると中々に無茶をするだろうから。
だからののはあやめさんからの提案に嫌な顔をした。
にーなさんのお姉さんの情報なんてやめてほしい。
にーなさんは嫌っているけど、頭はおかしい人だけれど、あやめさんはそこまで悪い人ではない。
勝負の時に仲間を殺したのも仲間のことを想ってのことだろう。
ののたちを仲間に誘ってきたのも特に何かを企んでいたということではなく、純粋に戦力が欲しかったからだ。
にーなさんがお誘いを断るよう仕向けるためにあえて嫌な顔をした。
たまたま見かけなかったけど、もしこの数ヶ月でお姉さんの情報を持っていそうな人を見かけても、きっとにーなさんには伝えていなかったと思う。
ののはただにーなさんに少しでも長く生きてほしいだけなのに。それだけなのに。
なのになんなんだ、この人たちは。
にーなさんのお姉さんの知り合い?冗談じゃない。
せっかくの時間を邪魔するだけでなく、いらない情報まで持っていそうだ。
もし、にーなさんがののに意見を求めてきたら、この話は断るよう促そう。
「どうだ、美味いだろ?フォッカチオオンプリン。」
「たしゅかに‥もちょもちょしたプリンみたいでおいしゅい。」
「あたし的にはねぇなぁ。せっかくの生地がプリンで湿っちゃって台無しだぁ。
なら、砂糖でいい。次、砂糖で食ってみようぜぇ。まぢうめぇからぁ。」
「邪道だけど食べてみる。」
「仕方ない。人数分頼もう。」
「いや、ぼくらいらないけど‥。」
この人たちは何しにきたのだろう。
とりあえず、食べながら話すにーなさんが可愛いから黙って見てよ。
「おい、砂糖どんぐらいかければいいの?」
「あ?好みだろぉ、そんなん。あたしはスティック2つ分。」
「じゃぁ、私は3つかける。」
「あぁ?ならあたしは4つだぁ。」
なんかにーなさんとぷっちょさんが仲良しに見えて面白くない。
「ぬ。おいしゅい。ざらざらした食感と甘みがありかみょ。」
「だろぉ?だんなはどぉだぁ?」
「悪くはないがただ甘いだけだ。やはりプリンだな。」
「じゃぁ、次はののかの食べ方で食べよ。」
「え?のののですか?流れ的に次はにーなさんの番じゃ‥。」
そもそもまだ食べるのか。
「私の食べ方は超絶美味しいのはわかりきってるから最後でいい。」
「えー‥。ののの食べ方ただ塩かけるだけですけど‥。」
「うはは。塩かよぉ。ねぇわぁ。甘くねぇフォッカチオなんてフォッカチオじゃねぇだろぉ。」
この人は何をいっているんだろう。
フォッカチオはもともと甘い食べ物じゃない。
「塩か。シンプルすぎてそそられないが、まぁ食べてみるか。」
別に食べてほしいわけじゃないのになんで上からなのだろう。
にーなさんの食べながら話す姿見たいからとりあえず黙っておこう。
「ぼくたちもうお腹いっぱい‥。」
なんかシンプルに可哀想なのが2人いる。
毎回人数分頼む意味はあるのだろうか。
「どんくらいかければいいかわからん。
ののかがかけて。」
「え!?は、はい!すんすん!」
なんか今日のにーなさん、ののの方ばっか見てない?イケそうじゃない?同人誌かよ。
この後、飲みにでも誘ってみようかな‥。
「うん。今までのより断然おいしゅい。」
「たしかになぁ。砂糖には負けるけど普通に美味いかもなぁ。うはは。うざ。」
「美味いな。素朴ながら素材の味を活かしてる。」
「はぁ‥。フォッカチオってそういうものじゃないんですか?」
「よし。最後は私のとっておきフォッカチオだな。粉チーズにオリーブオイルにタバスコ。からのマイケチャップ。特別にわけてあげる。」
「うへぁ‥ならピザでよくねぇ?」
「よくない。あんたらのだって食べたんだから私のも食べてもらう。」
「そろそろ腹も膨れたし本題に入ろう。」
「おい、駄ロリのっぽ。それはひどい。話が入ってこなくなる。」
「アリーだ。私はロリコンではない。」
色んな可愛いにーなさんが見れてののは満足です。この人たちに一応感謝しておこう。
にーなさんが無理矢理人数分頼んだフォッカチオを食べた後、ようやく本題とやらをクチナシさんが話し始める。
にーなさん特製のフォッカチオはピザには劣る味だったけどまぁ、それなりに美味しかった。
「アリーさんはご存知だと思いますが、まずは私のスキルについてお話しますね。
私のスキルは擬似過去跳躍。触れた方の過去を最大、20年前まで遡り、見ることができます。
だからにーなさんに触れたとき、こちらでは一瞬だったと思いますが私は20年間分のにーなさんの過去を見てきて知っています。」
すごい。つまりこの人は過去にいた時間も含めると何十年もの時間を過ごしているということだ。
幼女にーなさんとか少女にーなさんとかのお風呂とかも覗き放題なわけだ!
なんて羨ましいスキルなのだろう。
「なんでそんなこと‥‥。」
にーなさんが震えた声で問いかける。
詳しくは聞いていないが両親と上手くいっていないらしい。
人に話したいような過去ではないのだろう。
「私の依頼だよ。私の恋人は君の姉に殺されててね。理由を知りたいんだ。」
「あぁ!?お姉ちゃんはそんなことするやつじゃない!」
席を立ち、机を思いっきり叩き、怒鳴る。
にーなさんが周りを気にせず怒鳴るなんて珍しい。
周りを見て顔を赤らめながら席に座る。
「‥‥そんな人じゃない‥。」
「にーなさん‥‥。」
拗ねたように俯き、拳に力をいれているのがわかる。
よほどお姉さんを慕っていたのだろう。
「知っているよ。私のしっている楠さんもそんな人じゃなかった。」
内ポケットからタバコを取り出し火をつけながら続ける。
「だから知りたい。
何故、楠さんが私の恋人を殺したのかを。
何故、楠さんの作ったこのゲームがこんな殺人ゲームになってしまったのかを。」
にーなさんが顔を上げ、今にも泣きそうな目でアニーさんを見る。
「お姉ちゃんが‥このゲームを‥‥?」
「知らなかったか。
原型を作ったと言った方がいいかな。
楠さんが私たちをこのゲームのテストプレイに誘ってくれたときは、穏やかなゲームだった。」
「そんな‥なんで‥お姉ちゃんが‥。」
「これ以上、私と話しても意味はないよ。
私だって知らないことばかりなのだから。
大人しくクチナシさんの話を聞こう。」
子どもを諭すような口調でにーなさんをなだめる。
「でも‥私の過去なんか見たって‥何もわかるわけが‥。」
「大丈夫です。私のスキルは過去に現れた登場人物に触れても発動します。
‥‥にーなさんのお姉さんの過去も見てきました。」
「お姉ちゃんの‥過去‥‥?」
少し居心地悪そうな顔でクチナシさんは続ける。
「アリーさんの恋人さんが亡くなったのが去年の6月、にーなさんのお姉さんが亡くなったのは去年の7月。その間ににーなさんは1度だけお姉さんに会っています。
だから私は何故、にーなさんのお姉さんがアリーさんの恋人を殺したのかを見てきています。」
すごいスキルだ。
誰かの過去に登場した人物の過去も見れるというのだから人類のほとんどの過去を見ることができるのではないだろうか。
でも口ぶりからすると過去に登場した時間からの過去しか見れないみたいだ。
遡り続ければ原始時代まで見ることができそう。
「まだ私もそれについて教えてもらっていない。にーなさんも含めて話を聞いて欲しいそうだ。
君の顔と住んでいる場所とここにいるであろうとわかったのはクチナシさんのスキルのおかげなわけだ。」
「‥‥この話はにーなさんにも聞いてほしいです。」
「私もそう思う。この話を聞いてから改めて私は誰を憎むべきかを考えるよ。
そのときに万が一、訳もわからず私に殺されるのは嫌だろう?」
力なく席に座り、何かを考えるそぶりを見せる。
「わかった。ありがとう。是非聞きたい。
でもこいつはいらなくない?」
「んへぁ?」
そう言ってティラミスを食べているぷっちょさんを指差す。
それを言われるとののもいらないしあざみさんもいらないことになってしまう。
「うはは。いいじゃんいいじゃん。
他人の不幸話は嫌いじゃないぜぇ?」
悪びれるわけでもなく笑いながら話す。
にーなさんはそれを見て怒るわけでもなく哀れそうにみつめている。
たまにののにも向ける視線だ。
「いいや。話が進まないからほっとく。
クチナシさん、続きお願い。」
「うはは。だってよぉ。よろぉ、シスタぁ。」
「は、はい!それでは‥私が見てきたことを話させて頂きます。」




