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嘘つきにーなのゲーム録  作者: にゃの
嘘つきにーな
14/24

今後ともよろしくお願い致します


「あ‥にーなさん‥‥やっぱり11月中には間に合わなかったけど隣に引っ越してきました。

こ、これから‥よろしくお願いします。」


ぷっちょとの勝負から20日が経ったよく晴れた日。

ご機嫌にソシャゲのガチャ100連祭りをしているとチャイムが鳴り、ドアの前にののかが蕎麦を片手に申し訳なさそうに立っていた。


「あ、はい。」


住んでいる地域を知ってるのはいいんだが、なんで私のアパートまで把握しているんだ、こいつ。

それどころか、なんで本名も知らないくせに私の部屋の番号を知っているんだ。

もうツッこむ気にもならない。


「じゃ。」


怖いからドアを閉めようとしたら持っていた蕎麦をドアに挟んでくる。


「‥‥それ、私に渡そうとしたやつじゃないの?パキパキ鳴ってるが。」


「あ、あの!‥その‥よかったら一緒にお昼ご飯でも食べに行きませんか?」


「あー‥もうそんな時間か。いーよ。

でも10分待って。やらないといけないことがあるから。」


正直ソシャゲのガチャを邪魔されて不愉快だ。

これだけは終わらせないと意味なくののかを殴ってしまう。


結局、いいキャラを引けることなくののかを1発小突き、ファミレスに向かう。

1%なんて引けるわけないだろ。駄運営が。


「どうですか?何か手がかり見つかりましたか?」


「ふぁー、ふぁめふぁめ。ふぇんふぇんふぁめふぁめふぉ。」


「あはは‥‥や、やっぱり食べ終わってから話しましょうか。」


ののかと何度かご飯を食べているが未だに食べながら人と話すのに慣れない。

私はご飯は1人で食べるべきだな。ハンバーグを頬張りつつ、改めて思う。


それはそれとして、ののかが尋ねてきたのは姉を殺したやつについての手がかりが見つかったかということだ。


私はぷっちょとの勝負の後も毎日ゲームにログインして姉のことについて調べている。

ゲームにログインしてないときはあの説明ノートみたいに何かないか探っているが一向に手がかりは見つからない。


そもそも最初のほうはどうすればいいか分からず、ただゲーム内の広場で通行人を眺めていただけだった。

チュートリアルで会ったもんじゃを見つけるのが1番手っ取り早いのだが見つからず、かと言って私が誰かに話を聞くなんてそれこそ無理な話である。


途方にくれている私に声をかけてきたのはののかだった。

どうやら数日間、ゲーム内で私を探していたようだ。なんかストーキング能力が日に日に向上してて怖い。


そこからはののかと1日数時間、広場でくっちゃべりながら通行人を眺めている。

1人で眺める分には無駄だが心を読めるののかと一緒であれば万に1つ手がかりとなる人物が見つかるかもしれない。

認めたくないが心強い。


「ふぅ。ごち。とみせかけて私はプリン。ののかはパンケーキね。」


「あ、はい。なんでも‥いいです。」


ののかは心底どうでもいいように店員を呼ぶボタンを押す。


「今日も広場に行くんですよね?」


「ん。もち。行く。これ以上、家を探しても何もなさそうだから。」


「あー‥進展ないんですね‥。」


「まぁね。実家にある姉の部屋を物色できれば何かあるかもだけど。実家には帰りたくないし。」


「‥‥そうですよね。」


どうやらいつかは知らないが勝手に心を読み、私の状況を把握しているようだ。死ねばいいのに。


「どうでもいいんだけどね。姉の葬式に呼ばれなかったのはムカついたけど。

死んだって知ったの葬式の後だぜ?姉じゃなくてあいつらが死ねばよかったのに。」


煙草を吸いながらつい愚痴をこぼしてしまった。

他人の愚痴ほど聞いててつまらないものはないだろう。まさか、私が他人に愚痴をこぼす日がくるとはな。笑える。


ののかはきょとんとして聞いている。


「‥‥なに?」


「あ‥‥いや‥‥にーなさんはどうやってお姉さんが死んだこと知ったのかなって‥‥両親から聞いたとは思えないし。」


「あーね。送り主不明で姉の骨の一部といくつかの遺品が送られてきたんよ。あのゲームと一緒にね。いろいろ調べたら姉が心不全で死んだってわかった。

たぶん姉が誰かに頼んでたんじゃないかな。」


「んー‥‥んんー‥?」


ののかが考えるように唸りながら腕を組むポーズをとる。


「わかるよ。疑問点だらけだし。

でも疑問なだけ。考えたってわからんわけよ。

送り主は不明だしさ。骨なんて墓さえ知ってれば誰でも盗めるし。だから考えるのやめた。」


「‥‥はふぅ‥‥それもそうですね‥。」


腕を解き、疲れたように空を見つめる。

空っぽな頭で難しいこと考えるからだ。


「そんなことより、荷解きは終わった?

終わってないなら手伝うから、それ終わったら今日もゲームお願い。」


「あ!いいですよ!ほぼ終わってますから!

帰ったら早速広場に行きましょう!」


「‥‥ありがと。」


「は、はい!じゃぁ早速いきましょう!

会計してきますね!すんすん!」


上機嫌にスキップしながら伝票を持ってレジに行く。

おごってくれるのか。ラッキー。

現実のののかはゲームと違って言葉に出さず態度だけで留めてくれるからそこまで腹が立たないですむ。



「もう!びっくりしましたよ!あのにーなさんが!のののこと邪険に扱うにーなさんが!!すぐエグい方法でののを殺そうとするにーなさんが!!!久しぶりにお礼言ってくれたんですよ!舞い上がっちゃいますよ!ののは!

はふぁ‥部屋も隣同士になったし!になののありますね!」


ただその押し留めたその感情をゲーム内で爆発させてくるからどちみち腹を立たせることになるんだが。


「まぁ任せきりで悪いけど頼むよ。」


「いえいえ。たぶんのの、今が今世紀最高ににーなさんの役に立ててると思うんで嬉しいです。」


「あーね。今までが役立たずすぎたからね。」


「あはは、自覚ある分、辛いところではあります。」


ののかが困ったように笑いながら通行人を見ている。

私はこの顔が結構好きだったりする。


「もう少し、強いスキルだったらよかったね。

少なくとも死ぬ可能性は減るよ。」


「いやぁ‥このスキルのおかげでにーなさんと仲良くなれましたから。ののはこのスキルで嬉しいのです。」


なんで私なんかにそんなに好意を抱けるの?


「‥?いつもの罵声が来ない。」


「あー‥いや‥いつ仲良くなったわけよ?」


危ない。危うく変なことを聞くところだった。

いや、一瞬ののかはこちらに顔を向けたからきっと言いたかったことはばればれなんだろうけど‥。

言葉にするのとしないのとでは全然恥ずかしさが違う。


害あれど利がない相手にこうも優しくできるものだろうか。

親しくなりたい相手の自分への感情が希薄だと知りつつもこうも献身的になれるものだろうか。

いや、普通はベクトルが一方通行と知ったらその人への興味は薄れると思う。

私は両親に対してそうだった。

もしそうならないのならばそれはもう‥‥。


「‥あー‥平和。」


「ほんとですねー。‥‥あ。」


「あ?‥‥げ。」


「あらあら。随分なご挨拶ね。」


ののかが見ているほうに目をやると、会いたくもないやつがこちらに寄ってきて声をかけてきた。1回戦目に戦ったくそ女だ。


「あんたと話すことない。どっかいって。」


「ほんと舐めたくそガキよね。殺し甲斐ありすぎてすり潰したくなるわ。

どうせ勝負以外じゃ暴力行為は禁止されてんるんだから仲良くしましょうよ。ここで会ったのも何かの縁じゃないかしら?」


勝負の時のような殺気だった気配はなく、何も喋らなければ優しそうなお姉さんに見えなくもない。


「毎日ログインしてればそりゃ会うでしょ。」


「私は貴方たちに負けた日以来のログインよ。

うふふ、なかなかなの偶然じゃない?」


「あーね。ゲームオーバーになってないってことは、やっぱりあんた別のやつに所持金預けて勝負してきたな。」


「そりゃそうよ。所持金半分を賭けるのはリスクが高すぎるわ。私には数人、チームを組んでない信頼できる仲間がいて勝負のときはその人に預けてるの。意外とやってる人多いんじゃないかしら。

そんなことより、また勝負しましょうよ。

貴方見てると体が疼いて仕方ないわぁ。」


頬を赤らめながら股間を押さえている。

気色悪いのに目つけられたな。

ののかといい、私は変なやつに好かれる体質みたいだ。


「おあいにく。もう私たちは誰とも勝負する気ない。それくらいの所持金持ってるから。」


「え?」


くそ女が不思議そうに私の顔を見ている。

無性に腹がたつ。


「なにさ?」


「‥‥ああ、うふふ。何も知らないのね。

そりゃそうよね。私が知ったのも数ヶ月経ってからだったし。それも偶然だったしね。うふ、うふふ。」


可笑しそうに、憐れそうに私の顔を見て不気味に笑う。


「だからなんだよ。はっきり言って。」


「このゲーム、月に1回は勝負を行わないとゲームオーバーにされちゃうの。もちろん、チームじゃなくて個人でよ。

そうじゃなきゃ私だって、とっくにこんなゲーム辞めてるわ。」


時間が止まったかのように辺りが静かに感じた。

思考が停止する。なにを言ってるんだ、こいつは。


「うふふ!あらあら!すごい顔!

ああ、信じても信じなくてもいいし、感謝もしなくてもいいわ。その顔が見れただけでとりあえず満足よ。ふふ‥うふふふ。

まぁ、運営にとっては私らはお客様ってわけじゃないってことよ。じゃあ、勝負受ける気になったらまた連絡頂戴ね。うふふ。」


薄気味悪い笑い声をあげながらくそ女がその場から去っていく。


月に1回は勝負をしなくてはいけない?

たしかにそんな条件がなければ頭がおかしいやつらを除いて一定額を越えればこんなゲーム辞めてしまうはずだ。

そんなゲーム成り立つのだろうか。


みすずの顔が脳裏に浮かぶ。


それでもくそ女が言ったことが嘘であってほしいと心の底から願っている。


「‥‥嘘はついてなかったみたいです。」


そんな願いも虚しくののかが呟く。


「ののか!みすずからメッセージ来てない!?

ぷっちょの勝負の後、連絡先送ったから!」


「あ‥えっと‥来てないです‥。」


私にも来ていない。


「くそ!」


あれからログインしてないのだろう。

みすずはこのゲームを相当嫌っていた。当然と言えば当然か。

みすずの性格からしてこのゲームは向いていない。


「私はログアウトする!携帯に連絡来てるかもだから!それにどうにかしてみすずを探さなきゃ!ののかは残って対戦相手を探してみて!月後半に2回くらい!弱そうな相手で!あとみすずのことを知ってそうなやつが万が一いたら教えて!」


「は、はい!」


早口で怒鳴り散らさないと今にも涙がでてきてしまいそうだ。

驚いた。

今までそういう人間がいなかっただけで私は意外と感情的みたいだ。


もしこのままみすずが見つからず年が明けてしまったら、みすずは死んでしまう。


あいつが家族のためにどれだけ苦労してきたかなんて私には計り知れない。やっと借金がなくなってこれから幸せになれるはずだろ。そんなことあっていいはずがない。


ゲーム機をはずし先ほどまでやっていたソシャゲの画面のままの携帯に目をやる。

連絡は来ていない。


「くそ!くそ!くそ!」


落ち着け。まだ2週間以上ある。

見つけさえすればどうにでもなるんだ。


冷や汗が止まらない。

どうすればいい?


探偵を雇ってみすずの住まいを探してもらうのか?

顔も本名も住んでいる都道府県さえ知らない相手を?


「‥‥ああぁ!!もう!!!」


やるしかない。

ダメ元で探偵を雇った。

みすずの名前でブログをやっているやつに片っ端から連絡をとった。

くそ運営に問い合わせをしてみた。




そして見つからないまま1月を迎える。




1月中旬、ののかの車で高知のとある街に向かった。


いかにもお化けがでそうなぼろアパートのとある部屋のチャイムを鳴らす。


「はーい。」


小学生高学年くらいの女の子が出迎えてくれる。

どうやらインターフォンもついていないらしい。

ドア越しに部屋の奥でまだ幼児か小学校低学年くらいの子どもが4人ほどじゃれ合っているのが見えた。


「どちら様ですか?」


「みすず‥‥あんたのお姉さんの知り合い。」


それを聞き、顔つきが変わる。


「ちょっといいかな。」


女の子と奥の部屋にいた子供たちを連れて近くの墓地に向かう。

相変わらず子供たちはふざけあっていてうるさい。

出迎えてくれた女の子が3歳くらいの幼児をおんぶ紐でおぶって歩いている。

異様な光景だ。


「‥‥ここです。」


たくさんある暮石の中の1つの目の前で立ち止まる。

その暮石には「葉山 美鈴」と彫られていた。


女の子がうるさい子供たちを集めて家族揃って1分間ほど墓の前で手を合わせる。

その行為になんの意味があるのか私には理解できなかったが私とののかもそれに習って手を合わせた。


結局みすずは死んだ。

それを知ったのは年を明けて、1月に入って運営からメッセージがきたときだ。

みすずがゲームオーバーになったからその所持金をののかと私に分配したとの内容だ。


そして、居場所を知ったのは探偵から葉山美鈴という女性が街中で心不全になり亡くなったという情報とその美鈴には両親がいないという情報を教えてもらったときだ。

何故かどこのニュースにも新聞にも報道されることはなかったという。


おそらくみすずであろうことは予想できた。


「‥‥みすずが稼いだお金渡しにきた。

大事に使ってあげて‥。」


「‥‥おかしかったんです。」


「あ?」


「姉が急に仕事やめてきたと思ったら借金は全部返すし‥高そうなご飯のお店に連れて行ってくれるし‥‥やっぱり危ないことをしてたんですね‥?」


「‥‥‥。」


何も答えられなかった。

ほんとのことを言えばもしかしたらこの子はみすずの復讐のためにゲームを始めてしまうかもしれない。

きっとみすずはそれを望まない。


蓋をしていた綺麗事が開きかける。

だめだ。私はそれを考えちゃもう戦えなくなる。考えちゃだめだ。


「‥‥いくらあるんですか?」


「‥‥2000億くらい‥‥。銀行口座に振り込むから番号教えて‥。」






自分で言葉にしてあれだがなんと現実感のない金額だろう。


突然、みすずの妹がみすずの名前が刻まれた墓石を殴り始める。大粒の涙を流しながら。


「こんな紙切れのために!こんなもののために!!鈴ねぇは死んだの!?

ばか!ふざけんな!!ぶさけんな!!!」


拳の皮が剥け赤く染まる。

こういうとき、止めるべきなのだろうか。


「美味しいご飯だって!お洒落な洋服だって!華やかなクリスマスだっていらないんだよ‥‥!

‥っ‥‥鈴ねぇがいてくれたらそれでよかったのに‥‥。」


赤黒く染まった手で顔をおさえながらその場に座り込んでしまう。


「鈴ねぇがいなきゃ‥‥意味‥ないよ‥‥。」


みすずは自分はどうなってもいいけど家族を助けたいと言っていた。


そうじゃない。

そうじゃないんだよ。みすず。


「ありがとうございます‥。確認してきます。」


その後、銀行にいき、葉山家共有で使っている口座にお金を振り込み、みすずの妹がそれを確認しに行っている。

こんな大金いっぺんに移動なんてできないため、とりあえず200万を振り込んだ。

これから何日にも分けて振り込んでいこうと思う。


「‥‥大丈夫ですか?」


ここまで全く言葉を発さなかったののかが声をかけてくる。


「‥‥私たちが死に物狂いで奪い合ってる金のことを紙切れだってよ。笑える。」


「‥‥まぁ2000億なんてぴんと来ないでしょうね。まだ小学生だし‥‥。」


「‥‥それでも、あの子にとってはみすずの命の方が価値があったんだね‥。」


ののかが少し困った顔をする。


「‥‥人の命の価値はわかりませんが‥みすずちゃんは一生かけても稼ぐことのできない額を残して死ねたんです。まだ幸せだと思いますよ。」


「‥‥そう思いたい。」


そうなのだろうか。

確かに家族にお金を残せて安心して死ねたのかもしれない。

でもみすずの人生は幸せだったのだろうか。


きっと親が残した借金を返すために朝から晩までひたすら働いて、帰ってきたら弟や妹の面倒を見て、毎月毎回借金の返済に頭を抱えて生きてきて幸せだったのだろうか。


お金が全てとは言わない。

でもお金があれば大抵は幸せになれる。

みすずはこれからそれを味わうべきだったのだ。


「‥‥私がチームに入れなければ死ななかったのかな‥‥。」


「‥にーなさん‥‥。」


苦労したかもしれないがもしかしたら、違うチームに入り、こつこつお金がたまっていき、その最中で月に1回は勝負しなければいけないルールにも気づけたかもしれない。


そうすればこんなことには‥。


「200万円振り込まれてること確認できました。」


銀行のドアが開き、みすずの妹がでてくる。


「よかった。‥これ、私とこいつの連絡先。

お金が足りないだとか困ったことがあれば連絡して。連絡なかったら毎月、1日に200万振り込むね。」


いくら考えてもみすずの人生がどうとか私にはわからない。

なら、せめて私にできることはしたい。


「‥ここ最近ですけど姉が言ってました。

仏頂面で口が悪い上司とそれに金魚の糞みたいについてる先輩ができたって。」


「あーね。くひひ、私たちのことかも。」


「金魚の糞とは失礼な。ののはにーなさんのまんかー


「でも、楽しそうでした。本当に楽しそうに話していました。

今まではから元気なところがあったんですが心の底から笑っていた‥と思います。」


先ほどとは違い、静かに涙を流す。


「お金ありがとうございます。ネコババしようと思えばできたのに‥。‥‥姉の死を無駄にしないですみました。

‥‥私たち頑張って生きますね。

にーなさん、ののかさん。これからもよろしくお願い致します。

‥姉のこと‥お世話になりました。」


そう言いながら深々とお辞儀をする。


「‥‥そっか。」


利用されていただけだと思ったけどそうでもなかったようだ。

それがわかっただけでも少し救われた。


みすずより妹のほうがしっかりしてるな。

もう心配なさそうだ。


みすずの家族とはそこで別れ、ののかと海鮮丼を食べて東京を目指す。


「‥‥いつまでも悲しんでる場合でもないしな。あんたにまで死なれると目覚め悪いし気持ち切り替える。引き続きよろ。」


運転しながら嬉しそうに口元が緩むのが見えた。


「はい。ののは死ぬまでにーなさんと一緒です。」


「‥‥くひ‥。まぁ結局そうなりそうだな。」


どうやらののかとはこのゲームを退会するまでは一緒にいなければいけないみたいだ。

退会できるほどのお金を貯めれるとも思えないし、ののかとは一生の付き合いになりそうだ。


そろそろ気づいた。私は結構ありきたりな人間だ。

もう私が泣くような展開には絶対にさせない。

ののかは絶対に死なせない。


ののかのほうに目を向ける。


「‥‥?ののの顔になにかついてますか?」


「‥いや、なんも。いつも通り変な顔してるよ。」


残される側なんてごめんだ。

できることならののかより先に私が死にたい。





そういえば姉のノートには月に1回は勝負しなければいけないことは書いてなかったな。




年明け早々、運営からあるメッセージが届く。



『件名:ギブアップにおけるルール改変のお知らせ


本文


いつも「LAND」をご利用頂きありがとうございます。

勝負中のギブアップにおけるルールを以下の通り、変更致しましたのでご確認ください。なお、本件について問い合わせは受け付けておりませんのでご了承ください。


現ルール

いついかなる状況でもギブアップ宣言をした時点で勝負は終了となり敗北したチームが勝利したチームに半分の所持金を渡す

ゲームオーバーになった者の所持金は相手チームに全て受け渡す


変更後ルール

チームの1人以上がゲームオーバーになるまではギブアップを禁止とする

1人以上ギブアップした後は現行ルール通り、ギブアップは可能とする

ゲームオーバーになった者の所持金はチーム内で分配される

チームの全ての者がゲームオーバーになった場合のみ、全額相手チームに受け渡される



今後ともよろしくお願い致します。』


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