プロローグ☆コマドリとヘビ
プロローグ☆コマドリとヘビ
昔々、ある森に立派な虹がかかりました。
その虹は逆さまで
珍しい虹がかかったその森は
いつしか「逆さ虹の森」と呼ばれるようになりました。
☆
ぴーぴろろろろー
ぴーちちちちちー
森の奥の木の枝で、歌上手のコマドリのクックロビンさんの歌声が響いていました。
クックロビンさんの奥さんは、夫婦で作った巣の中に青い卵を4個温めていました。
知ってますか?コマドリの卵の殻は、とっても綺麗な青い色なんです!
奥さんは目を細めて、大事な卵をうっとりと眺めました。
旦那さんはもうすぐ生まれてくる子どもたちのことを誇りに思って、胸をはって歌っています。
ところが、木々の葉に隠れてその大事な卵を狙っている者がいました。スネークという食いしん坊のヘビです。
クックロビンさんの夫婦は何も知らずに幸せを噛み締めていました。
シャー!
いきなり、巣の中にスネークが踊り込みました。
キャー、あなた助けてぇ!
奥さんはびっくり仰天、旦那さんに助けを求めます。
ああなんてうまそうな卵なんだ!
スネークは口をがばーっと開けて卵を一飲みしようとしました。
このやろう!出ていけ!
旦那さんは一目散に巣に戻ると、鋭いくちばしと足の爪でスネークを追い払おうと飛びかかって行きました。
ものすごい闘いが繰り広げられました。
体を枝に巻き付けていたスネークが一瞬ひるんで、地面にぼとり、と落ちました。
ぴーちちちちちー
クックロビンさんの勝利の歌が響き渡りました。
ちぇっ。でもいつかまた隙を狙って今度こそ食べてやる!
スネークは舌打ちして体をくねらせながらあっちのドングリ池の方へ退散しました。
クックロビンの奥さんは、頼もしい旦那さんの歌に聞き惚れながら、青い宝物を大事に抱いていました。