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神にあらがう逸脱者  作者: 夜っ君
2/4

転校生

澄んだ青空が広がり、気持ちのいい風が吹き抜ける季節


「今日も平和ですね」


人類生存圏の一つヤマト、そのヤマトの能力者たちを育成するための学校、黎明れいめい学園の教室の窓際で一人の少年が窓の外を見ながらつぶやいた。

その視線の先には高い外壁が存在した。この外壁は外の景色を人々に見せないようにするためのものである。各生存権の象徴である神の遺産(レガリア)によりガイアは近づいてくることはないが外の景色はいまだ混沌としたものである。人々の安寧のためにも外壁は必須のものである


彼がひとり物思いにふけていると...


「おーい!」


ダダダダーーーーー


教室の入り口のほうから元気な声と足音が響いてきた。ものすごい勢いで教室に入ってきた男は窓ぎ派まで一直線にやってくると...


「なぁなぁ!今日転校生来るの知ってるか!しかも...すっごい美女らしいぞ!」


教室中に響き渡るくらい大きな声で彼は話し始めた。

彼の名前は鬼道甲次きどうこうじ、顔はちょっとチャラい感じで、茶髪、身長は180㎝くらいの大きめだがそこまで筋骨隆々としてはいない。イケメンである。


そして...


「なぁなぁ!聞こえてるか!()()!」


窓際で座っていた男は、神薙刹那かんなぎせつな、きれいな黒髪で身長は170㎝くらいの細身で、きれいな顔をしている。凛とした感じの少年である。


「聞いていますよ、甲次。それにしても珍しいですね。2年の始業式の一週間後ですよ」


「そうか?そんなことよりも美人らしいぜ!早く会ってみてーー!しかも...」


甲次がそんな馬鹿話をしていると、後ろから...


「朝から大きな声で馬鹿な話して周りに迷惑かけているんじゃないわよ!」


「誰が迷惑かけてるっつーんだよ!」


「あんたよ!馬鹿甲次!」


「なんだと!アホ美緒!」


彼女の名前は日向美緒ひなたみお、身長は160㎝くらいで髪は燃えるような赤色、目はつり目気味で性格が少々きつそうな感じである。スタイルは並である。


「刹那もこんな奴の話に付き合う必要ないわよ」


「んだよ、刹那も気になるだろ?」


「あんたみたいのと一緒にされる刹那が可哀そうよ」


「なんだと!」


「なによ!」


クラスの全員が二人に注目し始めた。控えめに言っても目立っている。


「お二人とも、目立っていますよ。もう少し静かに」


刹那がそういうと、二人は周りの様子に気づき…


「「ごめん...」」


ばつの悪そうな顔をしながら刹那に謝った。

刹那は微笑しながら...


「別に構いませんよ。それはそうと甲次、さっきの話の続きなのですが...」


「やっぱり刹那も気になるんじゃねーか。美人の転校生!」


「えっ!そうなの刹那!」


刹那が話を戻そうとすると、二人は劇的な反応を見せ、美緒にいたっては刹那に詰め寄った。


「確かに気になっていますが...」


そう刹那が返答すると、美緒が少し怒った顔をしながら...


「そんなに美人の転校生がきになるの!?」


刹那の胸ぐらをつかみながら大きく揺さぶった。甲次は後ろでげらげら笑っている。

ゆすられながら刹那は


「別に美人かどうかはどうでもいいですよ。まず、甲次の情報が正しいとも限らないですし」


「「えっ...」」


甲次も美緒も、刹那がそういうと驚いたように目を点にしておとなしくなった。

刹那は美緒の手を優しく胸ぐらからどけて...


「私はさっきの甲次の話に続きがあったようなのでそれが気になっているだけです」


「じゃあ刹那、美人の転校生のことは...」


「そこまで興味はありませんね。別に男性でも女性でもどちらでも構いませんし」


刹那がそういうと、甲次は唖然となり、美緒は勝ち誇ったような顔をしながら


「やっぱり刹那はそういう変なこと考えないわよね!ほら!やっぱりあんたと刹那は違うのよ!」


「くっそー!俺はお前のことを信じていたのに!」


甲次が悔し涙を流し、美緒は高笑いをし始めた。


また話が脱線してきたので刹那は


「甲次、それで話の続きは...」


刹那が話を戻そうとしたとき


「お前ら早く席に着け、とっくに予鈴はなったぞ」


そういいながら、先生とは思えないぐらい小柄な金髪の女の子が入ってきた

すると甲次が...


「おはようございます!アリスちゃグヘッ!」


言い切る前に甲次の額にチョークが突き刺さった


「アリスちゃんと呼ぶな。操刻そうこく先生だ」


倒れたまま悶絶している甲次にそう言い放った。


彼女の名前は操刻アリス、れっきとした22歳のここの先生だ。


「まぁいい、さっさと座れ。今日は重要な連絡がある」


「「「ゴクリ...」」」


男性陣は緊張した面持ちでで真剣に話を聞き、女性陣はそんな男性陣に少々冷ややかな目線を向けている。

甲次もいつの間にか席にしっかりと座っている。


「噂も流れていたから知っているかもしれないが、今日は転校生がいる」


「先生!」


「なんだ」


「女性ですか?」


甲次が先生にそう聞くと男性陣はさらに真剣な顔になった


「ああ、女子だ。しかも...」


「「「しかも...」」」


「美人だ」


オオオォォォーーーーー!


男性陣から歓声が上がった。女性陣の目はさらに冷ややかになった。


「おい、入ってこい」


先生がそう言いと、教室のドアが静かに開いた。

入ってきたのは白金色のきれいな髪、抜群のプロポーションを持つ、十人いれば十人振り返るようなおっとりとした感じの美女だった。


「アリシア・ローゼンといいます。ローゼン皇国第二皇女です。皆さん気さくに接していただければ幸いです。」


彼女は優しげな笑みを浮かべて自己紹介をした。


オオオオオオォォォォォォーーーーーーーーー!


男性陣からさらに大きな歓声が上がった。女性陣の目線はもはやごみを見るかのように冷たくなっている。


『ローゼン皇国』人類生存圏の一つであり皇権が存在するヤマトよりも巨大な国家である。


(ローゼン皇国の王女がなぜ危険を冒してまでヤマトに来て学園に通うのでしょうか?何か目的が...)


刹那がそう一人考えていると前の席の甲次が


「刹那、さっきの話の続きだけどよ彼女、神の遺産(レガリア)使いかもしれないらしいぜ」


「ほう、それは興味深いですね」


「あくまで噂だけどな」


神の遺産(レガリア)神の遺産(レガリア)に認めてもっらたものしか使うことのできない貴重なもの、つまりは神の遺産(レガリア)使いも貴重である


(それが本当だとするとますます謎ですね、貴重な神の遺産(レガリア)使いを他国まで来させる理由が

がわかりません)


「それじゃあ、アリシアお前の席は...」


(何か目的が?いやしかし生存圏の外に出てほかの生存圏まで来させるほどのリスクを背負ってまでやらなければいけないこととはいったい...)


「おっ、あそこが空いているな」


(まさか、他の神の遺産(レガリア)使いの調査に...)


「アリシア、お前は神薙の隣の席な」


「えっ?」


思わず刹那は変な声を上げてしまった。刹那が隣を見ると確かにそこは空席になっている。

アリシアはまっすぐに刹那の隣の席までやってきて...


「神薙さん、これからよろしくお願いします」


にっこりと刹那に微笑み挨拶してきた。

一瞬にして男性陣からの殺気のこもった視線が刹那を貫いた。


「こちらこそよろしくお願います」


刹那は男性陣からの視線を無視してしっかりと挨拶を返した。

内心では


(後でめんどくさそうですね...逃げましょうか)


逃げる算段を付けていた


「それじゃあ、とりあえず連絡は以上だだ、授業の準備をしっかりとしておけよ」


先生が出て行ったすぐに、アリシアのところには多くの生徒が集まってきた。幸いにも、殺意よりも好奇心のほうが勝ったようで男性陣は刹那にはおそってこなかった。


「アリシアさん!好きな食べ物は!」


「何でも好きですよ」


「得意なことは!」


「交渉術ですかね」


「趣味は!」


「お料理です」


「スリーサイズは!」


「秘密です」


「ちょっと!男子サイテー!」


アリシアは全員の質問に見事にこたえていく。


(さすが皇女様というべきでしょう。流れるようにさばいていきますね)


刹那がそのように考えていると...


「アリシアさんは何でヤマトまで来たんですか?」


(その答えは私も気になります)


刹那はそう思いひそかに聞き耳を立てていると


「人探しですね」


「「「人探し?」」」


「はい、人探しです」


(人探し...いったいどんな重要人物を...)


「どんな人なんですか?」


そう、一人の女子が質問すると、アリシアはうっとりとした顔になって...


「黒い和服を着て顔を隠した神の遺産(レガリア)使いです」


(はて?一介の神の遺産(レガリア)使いに何の用なのでしょう?)


「この国の付近で最近目撃情報がありましたし、和服はこのヤマト特有のものですからね」


「その人にどんなようなの?」


「結婚の申し込みをしに」


「「「「「えっ…」」」」


この教室が静けさに包まれた。


「今なんて...」


「結婚です」


(((((聞き間違いじゃなかった!))))


「いったいなんで皇女様がそそんな身元もわからないような相手に...」


男子の一人がそう聞くと、アリシアはさらに恋する乙女のような顔になって


「聞かせて差し上げましょう。あれは五年前のことです。私はお父様とお母様と一緒に隣の国へ会談へ行ってきた帰りでした。今の世の中、生存圏の外に出るのは危険ですから護衛もしっかりと連れていました。しかし、突如戦略級と思われるガイアがおそってきました。護衛たちは一瞬で殺され、ガイアが私たちに狙いを定めました。私は死ぬんだと覚悟しました。その時です、彼が現れました。彼は神の遺産(レガリア)らしき刀を二振り腰に差して、一瞬のうちに戦略級ガイアを倒して私たちに『大丈夫ですか?』と声をかけてくださりました。その姿に私は目を奪われました。その方はすぐに去ってしまいましたが、その日から私はあのかたを追い求めました。背丈と声から私と同い年くらいなことがわかり先日やっと目撃情報を得ることができ私はすぐにこの地に来ました」


アリシアが雄弁と語り、全員がその話に聞き入った


隣にいる刹那はなぜか少し汗をかいているようだ


(そんなことでこの国まで来たのですか。まさかあの…)


「でも、王様は認めているの?」


(そうですよ。そんな正体もわからないような人を王様が認めるわけが...)


「はい。お父様とお母様は認めるどころかむしろ積極的ですね。とくにお父様もその強さがとても気に入ったようでノリノリでお母様にいさめられていました」


アリシアはそれは嬉しそうに語った。


(王様!認めてはダメでしょう!)


刹那は内心でそう叫んだ


「皆様は何か知りませんか?」


アリシアはどこか期待を含んで問いかけた


「正体不明の神の遺産(レガリア)使いと言ったらあれしかないよな」


「そうね」


「それしか聞いたことがねぇな」


全員が何やら知っているようでひそひそと話はじめ、それを聞いてアリシアが


「何か知っているのですか!」


興奮した様子で立ち上がった。そしたら甲次が


「正体不明で刀の神の遺産(レガリア)使いと言ったらヤマトでは一人しか聞いたことがない。それは...」


「それは...」


「『絶刀』だ」


















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