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足がだるいのです

お父様は、私が生まれる10年前に起こった隣国との戦争で勲功を挙げ男爵となった。1代限りの爵位だ。

だから、もしお父様が亡くなった場合、お母様や私は貴族ではなくなる。

だからなのか、3歳で教育が始まったときから、勉強やマナーに関してはお父様もお母様も厳しい。この先私がきちんと生きていけるようにとの配慮なのだと思う。

色々な国と取引している商人のお父様の跡を継げるようにか、他国の言葉や他国の歴史、地理、特産物など家庭教師を付けて熱心に指導を受ける。


(チート能力あって良かったよ・・・)


注意深く読んだり聞いたことを覚えておける能力があったから、なんとか勉強について行ける。なかったら、全くの落ちこぼれだと思う。

ただ、応用が聞くかどうかが問題だ。

刺繍やレース編みのような貴族の女性の嗜みなど、糸の刺し方編み方は覚えているが、指が動かず不格好なものが出来上がる。

(練習あるのみだよね〜。完璧に模写できる能力もあったら、苦労しないのに)



家庭教師との勉強も終わり、私の好きな庭を眺め下ろせる東屋にお茶とお菓子を運んでもらって息抜きをする。


「つかれた〜」

侍女にも下がってもらったから、ここは私一人だ。

長椅子の端に腰掛け行儀悪く靴を脱ぎ両足を乗せる。この体は子供だけど、前世はよく足がだるかったな、と思う。


お父様はお仕事で、お母様はなんと悪阻で寝込んでいる。2ヶ月前の伯爵家のお茶会の時にはもう妊娠していたらしい。

前世で兄弟がいなかったので、初めての弟妹だ。楽しみだな、と口元に笑みが浮かぶ。

「弟か妹でもどちらでもいいなぁ。仲良くしたいな」


それに、今から生まれる弟妹はゲームが始まる時、トゥーリアが16歳の時にはまだ学園に入学していない。だから、もしも断罪イベントになってしまった時も弟妹は関係ないだろう。



(お父様とお母様、弟か妹だけが私が信じられる人。それ以外はきっといつか裏切られる)


逆ハーエンドで、今まで優しかった周りの人々が手の平を返した。それはきっと、周りの皆が実は虎視眈々と機会を伺っていたのではないかと思う。

国で一、二の商人と呼ばれるようになったお父様。この国はもちろん、各国にも名高いが、生粋の貴族からは平民上がりと影で誹られている。

きっと苦々しく貴族から思われているのではないだろうか。



長椅子に寝転んでウトウトする。子供の体はすぐに睡眠を必要とする。難しいことを考えるとすぐに眠気がやってくる。


しばらく眠っていたのだろう。

体を揺すられて目を開けた時、状況がわからずぼんやりしていた。

「口開いてる。よだれついてる」


侍女が口を拭いてくれ、ササッと身だしなみを整えてくれた。


「初めましてトゥーリア?」

黒髪、黒目の男の子が目の前に立ってる。

誰だ?いや、この色彩はあれか。

攻略対象者その2だ。そうに違いない。








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