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黒歴史

「・・・さま。お嬢様。終わりましたよ、お目覚めください」


侍女のアリアの声に、眠りから目覚める。

アリアに支えられて身体を起こされ、部屋の片隅に用意された丸テーブルに誘導される。

座り心地の良い椅子に腰掛けると、ソフィが目覚めを促すすっきりした味わいのハーブティーをカップに注いでくれた。

鼻に抜ける爽やかな香り。

優雅にお茶を飲み、穏やかに微笑みながら内心では、




(あー!なんじゃあ!悲劇のヒロイン気取りか!?あー恥ずい恥ずい!!)


と、夢で見た前世の自分に盛大なツッコミを入れていた。



前世は放置子で両親から話しかけられることはほとんどなく、必要な知識は全て一人で本で学んだ。マナー本を読んだり、好かれる人を観察して自分に取り入れた。

本で、愛されないからと安易に非行に走って生活に苦しむ人生を学んだりしたから、グレようとは思わなかった。


両親から愛されなかった。無関心、無感情に毎日演技していた生活。


(あー、厨二病っぽい・・・。黒歴史だ)


ソフィとアリアがいなければ、今すぐ床に転がってジタバタしたい。


今、トゥーリアとして生きて、色々な人から愛情を向けられ私は思った。


前世の両親は不器用だったのだろうと。

人1人を育てるのは大変なことだ。確かな愛情を向けられることはなかったが、彼らなりに前世の自分は愛されていたのではないか?

放置されていても、おにぎりやフルーツサンドはきちんと用意されていた。


わずかでも愛されていた。そう、思いたい。


トゥーリアとして生まれて、信じられるのは今の両親と生まれてくる弟妹だけだと思っていた。

でも、ソフィやアリア、ヒューなど優しい家人や学園での友人。兄妹のように接してくれるセシリオやアルティエ。

自分と仲良くしてくれている彼らを、単純な私は疑うことはできない。

向けられた笑顔の裏を疑うより、微笑みを返したい。


いつか、皆が手の平を返したとしても。


(・・・その時はそのとき)


「ありがとう、アリア、ソフィ。すっきりした」


ティーカップをテーブルに置き、笑って礼を言うと二人の侍女が嬉しそうに微笑んだ。


 

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