閑話1
本日、二話投稿しています。
「俺は国王になるぞ。この戦争をとっとと終わらせたら、父上には退位して頂く」
夜半、休息の為張られた天幕の中、限られた側近達に、黒髪、黒目の20代半ば頃の青年は宣言する。
「おやおや。第三王子殿下は謀反を御企てだ」
涙ボクロの艶めかしい騎士は面白げに口元を上げて笑う。
「エル、お前も謀反人だがな。俺の側近に選ばれた時から俺とお前は一蓮托生だろう」
「えぇー!嫌だ〜」
と、エルは棒読みで答えるが顔は楽しげに笑っている。いずれ起きる争い事を楽しみにしているのだろう。
「兄君方はどうされるのです?」
冷静に、銀髪のもう一人の騎士が尋ねる。
「隠居だな。クラウスに頼んできた。まあ、兄上達には、それなりの地位は与えるさ」
事も無げに、腹心の名前を出して王子は答える。
「俺はもう、戦争など懲り懲りだ。ルケンティヒには滅んでもらう」
その為には、国王になる必要がある。
目をギラギラさせ、第三王子は低く呟く。
総大将である王子は常に余裕の笑みを顔に張り付け、勇猛果敢に敵国に立ち向かい、兵士達を勇気づけ、この戦争を有利に導いている。
しかし、余裕のある姿と裏腹に、心の奥底は怒りと悲しみに満ちていることを側近達は知っている。
天幕に沈黙が落ちる。
第三王子の決意に側近達は、頭を垂れる。
「お前も、もう懲り懲りだろう?お互い、愛しい者を亡くして。・・・ルー?」
天幕の中で一人だけ彼の側近ではない少年に王子が声をかける。篝火の近くにいる為、髪や琥珀色の目がちらちらと炎に照らされている。
「・・・はい、殿下。私もルケンティヒ国は滅ぶべきと考えます」
少年も、王子に頭を垂れた。
「この身はきっと、お役に立ちましょう」
王子と自分の利害は一致する。
復讐を行うのだ、あの呪わしい国に。
愛しい家族を、殺した国に。




