黒死蝶 At the last moment
必要のないと思っていた人間性が
自分の身体の何処にも無いと思っていた人間性が
在るじゃないか ここに
まだ在るじゃないか ただただ忘れていただけだったんだ
嬉しいと思える
憎いと思える
哀しいと思える
楽しいと思える
自分の感情
取り戻すのでは無い
最初からここに在ったのだ
だから俺がこれからする事は
恐らくは 愚かしい事なのだろう
嘆かわしい事なのだろう
機械では無い
人としての心をやっと取り戻したのと言うのに
全く以って馬鹿な奴だと
罵られる事になるのかも知れない
だが それでも良い
むしろそれだからこそ良いのだ
そうして静かに視線を定める
黒煙と閃光が交わる戦場へと