12 商品
「ここは何ですか?」
突如ジョン少年が声をあげる。
それは魔具屋という魔法のお店を後にして、再び街道の店を見てまわっていて最中のことだった。
ジョン少年が指さすほうを、私――アリシアはすこし控えめに見た。
暗くジメジメしたイメージを放つ、ひときは大きく、全体的に灰色した工場のような建物。この店は、他の店とは明らかに雰囲気が違う。
私はその店を見た瞬間、そう感じた。
ジョン少年のその問いに対しクリエットは「えっと、あれは、ですね......」と、歯切れの悪い、とても言いにくそうに苦笑いをする。
「皆さまの居た世界では何と言われているか分かりませんが......、そうですね。私達の世界では、永久派遣屋と言われています」
永久派遣屋? そんなもの聞いたことが無い。それに、クリエット自身もなんとも歯切れの悪い言い方をしていた。
この店が何なのか。興味がそそられる。
そんなことを考えている間に、ユリアーナ博士とソウジは灰色の扉を開け入っていき、他の皆もつられるように入っていった。もちろん、私も彼等に付いて店の中へと入った。
「いらっしゃーい」
店に入った瞬間に、ここ店主らしき人物がカウンターの奥から景気よく話しかけてきた。
店主の金の歯を見せながらの穏やかな笑顔とは裏腹に、建物内の光景は異様だった。
中は全体的に薄暗く、廊下に最低限の明かりが付けられているだけ。廊下には左右に分かれた部屋がいくつもあり、どの部屋にも扉はついておらず、黒い布のカーテンを掛けられているだけだった。
部屋の横の壁には赤い箱が付いており、そこには白い用紙らしきものが入っていた。
ここは外の風景とはまるっきり違う。
この建物だけ、外と切り離されているような陰気な感じだ。
「な、なによ......ここは?」
「おや、お嬢ちゃん。ここに入ったのは初めてかい?」
店主の男が金歯を見せつけながら笑い、話しかけてきた。
この店は何か嫌だ。さっさと出てしまおう。
「ここって何の店ですか~」
出ようとしたと同時に、ソウジが金歯の店主に話しかける。
「ここは労働者を購入するところだ」
「労働者、ですか......」
ジョン少年が当たりを見渡しながら答える。
彼は何か察したのだろうか、隣にいたソウジに耳打ちをしている。それを聞いたソウジが頷いてにっこり笑い、店主に話しかける。
「この店見て行ってもいいですか~?」
「どうぞどうぞ、廊下をまっすぐ通ってじっくり見て行ってください。いい『商品』と出会えますよ」
「オッケー」と手を振り、廊下を歩くソウジと、その後ろに付いていくジョン少年。慌てたようにクリエットも小走りで二人に付いていく。
「ほ、ほんとうに行くの?」
「......しょうがない」
隣にいたユリアーナ博士は頷きを返す。
ロディオ絵師と騎士ワスターレはどうやら入り口付近で待つらしく、建物の中には入ってきていない。男二人、しかもこのなかでもかなり頼りになりそうな二人が抜けて、しょうじき心配だ。
一つ目のカーテンを覗き、止まっているソウジとジョン少年。彼等に早歩きで追いつく。
顔をにやけさせたソウジが手招きをして、カーテンの向こうを見るように指示してくるのが少し腹立たしい。仕方なくそこのカーテンを覗く。
そこで見た光景に思わず目を見開き、口が開くほどの衝撃的だった。
カーテンを開けたところで見えた物は鉄格子だ。そして牢獄のような部屋に入れられていたのは同じ年くらいの少女たちだった。
大きなシャツを一枚着ただけの少女が五人。その内の三人が肩を寄せ合いこちらを睨みつけ、他の二人は目を半開きの状態で、力なく寝転がっている。
私が覗いている横で、ソウジが部屋の隣にあった箱の中から紙を取り出し、書かれている内容を確認している。そんな悠長な事をしている彼が、私は許せなかった。
彼はまるで感情がないような、いつもの笑顔を浮かべている。
この男は、ここにいる少女たちをみて何も感じないというのか!
「こちらもですね」
背後から聞こえるジョン少年の声に振り返る。
彼が見ているカーテンの向こう側にも同じような、鉄格子に入れられボロボロの布の服を着て寝転がる者達。こちらは少年が三人がいた。
見た目はジョン少年と同じくらいだろうか、たぶん上の子だとおもう。
長い廊下に通じる、すべての部屋を見て周る。他の部屋には少年少女だけではなく、成人していると思われる男性や女性も同じような扱いを受けていた。
この黒いカーテンの向こうにいる全員、みな同じような顔だった。
それは絶望している者の顔だった。
「ここはいったい、何の店なの!」
この状況を唯一知っているであろう人物。クリエットの両肩を抑え、怒鳴る様に問い詰める。
「ここは、奴隷を売っている店、というものでしょうか......」
後ろにいたジョン少年が代わりに答える、やっぱり彼も同じことを考えていたようだ。
肩を抑えたままのクリエットは困った表情を浮かべ、そして頷く。
その瞬間、確定した。
「そんな......なんで奴隷なんてのが、この世界にあるのよ!」
「あ、あなた方の世界では、こういった者達は存在しないのですか?」
「ないわよ! こん......こんな、非人道的なことあっていいはずがない、認めていいはずがない......ッ!」
不思議そうな顔をするクリエットに吐き捨てるように言ったあと、出口まで走った。
あの牢獄のような部屋には、私と同じような年齢の子もいた。それよりも小さい子もいた!
いい雰囲気で素晴らしい都市だと思ったのに! こんなことが許されている都市なんて、国なんて、あっていいはずがない!!
「彼女達を解放しなさい!」
出口付近にいた店主を説得する。
私に出来ることはこれしかない。いや、しなければならないのだ。
いまここで正義が試されている。こんな悪党どもなんかに私は負けない。
いつか必ず、世界中を私の歌で平和にしてみせる。こんなところで彼女達を見捨てるなんて事をしては、そんな夢を語る資格なんてない!
突然、背中に衝撃が来た。クリエットが私の両腕を抑え、店主から離そうとしているのだ。
まさか、彼女は私の敵なのか!
「あんたも、こいつの味方なのッ!」
「お、落ち着いてくださいアリシアさん! 話をしますから! ですから、お願いですからいまは、いまは抑えてください!」
掴む腕に爪を立て、引きはがそうとするが、クリエットは涙目で必死に私を抑える。
こいつは敵だ、間違いない!
なんだかんだ言って私たちをその悪の道へ進ませようとしている。
そんな簡単にはいかない。私は、私の信じる正義を貫いてやる!
「おい! 何があったぁ......!」
外で待っていたロディオ絵師とワスターレもこの騒ぎに気がついたようで、すぐに店の中に入ってきた。
二人がかりで私とクリエットを引き剥がされる、私はロディオ絵師に捕まれた。
「んぐっ......。あ、あんたもこの店を見れば、分かるわよ!」
声が上手く出なかった。声に異物感があったためだ。
私はその場で崩れて泣いた。まるで緊張の糸が切れたかのように、いろんな感情が一気に込み上げてきた。気分は最高に悪い。
「......こっちに来て」
状況が読めないロディオ絵師を連れユリアーナが連れ、廊下のカーテンを開ける。
音の近さから、最初に私が見た部屋だろう。
それを見たロディオ絵師は私と同様に店主の方へと駆け足で近寄り、胸蔵を掴む。店主をその長身を生かして持ち上げ、重低音の響く声で問い詰めはじめた。
「おい! あれはいったい、なんだぁ......!」
「お、お客さん。暴力はよくないですぜ? あっしは見ての通り、ただ『商品』を売っているだけでぜ?」
「商品、だとぉ......!」
その声を聞いたロディオは帽子と髪の間にある目を見開き、拳を作り振りかぶる。
「やめてください!!」
それを止めたのはまたしてもクリエットだった。彼女もワスターレから解放され、涙目になってロディオを止める。
彼女は敵で悪だ、聞いちゃいけない!
「お願い、です。話を、聞いて、ください......」
喉を詰まらせながら、必死で話をしようとするクリエット。それを見たロディオ絵師は拳を下ろし、店主から手を放し解放する。
殴らなかったのは冷静だったのか、それとも彼女に騙されたのか。たぶん後者だ、彼はあの少女に騙されているのだ。
「うん。では説明をお願いします」
「......そう、ですね。わかりました」
クリエットは涙を拭い、私達を部屋の隅まで移動させた。
みんなを上手くだませているみたいだけど、私はそうはいかない。たとえ女の子だとしても、悪は悪だ。制裁は必ず必要だ!
「この世界では、人も『物』の一つとしています。あなた方が言っている奴隷とは同じか存じ上げませんが、ここに集められた人は皆、自ら望んでこの場所にいます」
「望んであんな牢獄のような場所に、いるのかぁ......?」
「それは......ロディオさんの言う通りいないと思います。ですが、こういった店もありますし、普通の部屋のところもあります」
場所の問題じゃない。そういった存在がいることが問題なんだ! なんでそれがわからない!
それにクリエットのあの言い方だと、他にも似たような店があると言うことになる。
全て潰して、全て壊して、彼等彼女等を解放しなければ!
「それに、ここにいる人達にも理由があります。資産が無い者や家族に捨てられた者、そして......参加者により住処を奪われた者」
「俺達のせいだと、いうのかぁ......?」
「それは誤解です! もう分かっていると思いますが、他の参加者はあなた方よりも遥かに強く、恐ろしく、そして自由です。そのためこの世界では、都市の法律や力が参加者には適用されません、出来ません。それはいくら奪っても、どれほど被害を出しても、多くの者を殺しても、変わることがありません。つまり参加者を止める術を私たちは持たないのです。この世界では参加者とは、我々『ステージ』に存在する者の上位種として考えられているのです」
上位種とか、そんなの関係ない。
住処がないのなら施設とかを建てればいい。食べ物が無ければ、分け与えればいい。
みんなが協力すれば、そんなのすべて、すぐにでも解決できるできるじゃない。こんな奴隷なんてつくらなくたっていいじゃない!
「うん。ここにいる人達は、人権と言うのは無いのですか?」
「人権、と言うのがこの世界で言う『人として扱う』という意味でしたら、それは自らこの場所に来て、『物』となった時点で、剥奪されます」
「じゃ、じゃあ。解放する方法は、ないの?」
怒りで握りしめている拳を隠しながら、少女クリエットに問いかける。
何とか、みんなを救う方法があるはずだ。それを聞き出す。
「あ、あります。ですが......」
「ここにある『商品』を買えばいいんだぜ、お嬢ちゃん」
クリエットの会話に割り込んできたのは、あの嫌らしい店主だ。
にやけ顔から見える金歯が光る、とても汚い光。この男こそ悪だ!
「ま、そうだな。一人金貨三十枚で売ってやるよ。おっと、先に言っておくが、物々交換とかは無しだぜ? 俺は金が好きなんだよ。きっかり三十金貨。それで一人はやるよ」
嫌らしく笑う店主を睨む。ここではっきりさせておこう。この男こそが大悪党だ。私たちの敵だ。参加者とかゲームとか関係ない、私の敵は目の前のこの憎らしい男だ。こいつなら死んでも構わないだろう、そんなことを思えるほどこの男は最低だ。
こんな奴にあの子たちを売らせるなんて、許せるはずがない!
「あのすみません、ユリアーナさん。少しよろしいですか?」
ジョンがユリアーナを呼んだ。呼ばれた彼女は中腰になり、ジョンの方へ身体を向けた。
こんな時に何を話しているか分からないが、そんなことは後回しだ。いまはどうやって彼等を救うか、それだけを考えなければならない。それでも誰かの協力が必要だ。
ソウジやクリエットはダメだ。先ほどから見ていても分かる通り、彼等を救うことに消極的だ。特にソウジは笑っている。やはりあいつらも敵だ。
話し合っているユリアーナ博士、ジョン少年も微妙だ。ユリアーナは興味なさそうだし、ジョンは子供だ。危険なことをさせることはできない。
隣にいるロディオ絵師を見る。彼も帽子と髪の間から鋭く目を光らせる。先ほどの行動を見ていた。彼も私と同じ感情を持っているはずだ。彼と協力すれば、もしかすると救う方法が見つかるかもしれない。
だけど、だけど......、たった二人だけで全員救う方法が思いつかない。でも見捨てたくない。
どうすればいいの!
「うん。では、お支払いをしてもよろしいですか?」
頭が沸騰するほど考えているとき、ジョン少年が爽やかな笑顔を浮かべて店主に聞いていた。
その声を聞いた瞬間、私は耳を疑った。私だけじゃない、隣にいるロディオも口を開けていた。聞かれた当の本人である店主も同じように金歯を見せびらかす様に口を開けている。
「はは、坊主が買うのか? だが子供だからって、おまけはしなねぇぞ?」
「うん、大丈夫です。では......ここにあるすべてを下さい」
またしても耳を疑う。ジョンは、彼はここの、この工場のような店から全員を買うつもりだ。
だけど、これじゃダメだ。彼女等を全員買ったとしても、そんなの他の奴らと同じだ。それに一人金貨三十枚だと言っていた。一枚がどれほどの価値があるか分からないが、少なくても金だ。元の世界では高値の代表としてある金だ。それを一人三十枚。
そんなの、払えるはずがない。
「ほぅ? 全員ねぇ? そうなると、少し時間がかかるが、まずは購入リストにすべて記入をしてから......」
「あ~、それならここにあるッスよ~」
ジョンの横に並ぶように、ソウジが持っていた十数枚の紙の束を店主に渡した。彼は購入に参加していたということか。やはり、悪は悪らしく人を買うのか。
「......確かに全員分書いてあるな」
と、店主が言いつつパラパラと滑らせるようにリストを確認した。
最期のページを確認したのち、印鑑のような物を紙の端に押しながら店主が話した。
「それで、金貨はちゃんとあるんだろうな? このリストには『金貨千枚』と記入がされているが、それだけの大金を坊主が持っているのか?」
「うん。残念ですが、僕は持っていません」
またしても耳を疑う発言が聞こえた。
警戒している店主をよそに「ですが」とジョン少年が続け、クリエットに目配りをする。
「私が払います。ワスターレ、払えますよね?」
無言で鎧の隙間から、小さく薄い長方形の物体を取り出す。それをクリエットに渡し、彼女は端を引っ張りその物体を広げる。広げられた物体の真ん中には空洞が空いている。いや、空洞ではなく、なにか黒い渦の様なものが見える。
クリエットは黒い渦に手を入れ、かき混ぜる様に腕を動かし、そして引っ張り上げる。
黒い渦から出された手に掴まれた物は金色の円柱。それは積み重なれ、透明の袋に入れられた大量の金貨だった。
「そうですね。この束一つで二百枚あります。ですが、これでは足りませんよね」
クリエットは再び空洞に手を入れてから、さらに金の円柱を取り出す。
また取り出す。
さらに取り出す。
そして、もうひとつ取り出す。
「こちらで、よろしいでしょうか?」
床に立てられた金の円柱。その数五本。先ほどクリエットが一束二百枚と言っていたから、これで金貨千枚になるはずだ。
その光景に驚きつつも、警戒をする店主。相変わらず嫌らしく太々しい顔をしている。
「お、おいおい。そんな本物かどうかもわからないモノを、ど、どうやって調べるんだ? まさかぼったくろうなんて......」
「......重さでなら簡単に調べられるけど? それか、お前の歯に詰まっている金と同じかどうか、ボクが直々に調べてやってもいいんだけど?」
ユリアーナがすかさず答える。なんだか彼女も楽しそうにしている。人の売買を楽しそうとか、彼女ももしかすると悪い人かもしれない。映画だったらだいたい科学者のせいだし、ありえる。
何故か悔しそうな顔をそる金歯の店主に対し、「まーまー」と手で抑えるジェスチャーをしながらソウジも入ってきた。
「ここはもうひと押し。あと百......いや、二百で満足してもらおうではないか~」
「そうですね。ではあと、二百枚」
そう言いさらに金の円柱を一本取り出し、金歯の店主の床に置く。
目の前に並べられた金の柱を注目させるように、ジョンは両手を広げる。金貨二百枚の束、さらにそれが合計六つ。それが彼の前に置かれていた。
「さて、これで金貨千二百枚です。これでも足りませんか?」
「くぅ......。わかった、売ってやるよ。ここにいる全員をよぉ!」
開いた手を閉じるように叩き、ジョン少年がにっこり笑い店主にお辞儀をする。
「ありがとうございます。では店主さん......ここから出て行ってください」
ジョン少年は先ほどの親しみの笑みから、相手を攻撃する鋭い笑顔を浮かべる。
その言葉に店主は「はぁっ?」という顔をする。私だってたぶん同じ表情をしているだろう、それほど彼の言っていることが分からなかったからだ。
どうして店主がこの店から出ていく必要があるのか。だがソウジやユリアーナ博士、クリエットまでもが笑っている。まるでジョン少年の言っていることが正しいかのように、自信に満ちた笑顔だ。
何がどうなっているのか、まったくわけが分からない。
「うん、何を驚かれるのですか? 僕は確かに言いましたよ? ここのあるもの全て下さい、と。つまり、この土地およびこの店ごと、ということですよ」
「そ、そんなのただの言葉のあやだろ? 俺はこの店にいる『商品』をすべて売ると......」
「あれら~? でもこのリストにはちゃあんとあんたの印が付いてるんですけど~? この店にいる全員の人物と、この店と土地の売却のしるしっさー」
ソウジは購入リストの束をパタパタさせてから、店主の前の地面に投げる。
それを拾い、一枚一枚確認し、十枚ほどめくったところで手を止める。と、同時に「ね、書いてあったっしょ~」と挑発するようにソウジが笑う。
「お前ら......騙したのか?」
「いいえ違います、ただあなたが聞き間違えただけです。では買い物は終わりです、出口はわかりますよね? 荷物の片づけを手伝いましょうか?」
無言になった後の店主の行動は早かった。
出入り口付近にすでに用意されていた荷物らしきものを一式持ち、鞄に床に並べた金の円柱を入れはじめた。
「お前ら、一体何者だ?」
店を出る瞬間に金歯の店主が問いかける。クリエットは静かに、エニ村の宿の店主に見せたものと同じ、金色のカードをポーチから取り出す。
カードを見た店主はこの場にいる全員を見渡し、そして逃げるように小走りで去っていった。
出て行ったことを確認してすぐに走った。向かう先は部屋に閉じ込められた彼女達だ。
出入り口のカウンターにあった鍵を使い、鉄格子を開け「もう大丈夫よ」と出来るだけ優しく語りかけながら抱き寄せている。抱きしめた少女は美形で緑色の髪をしていた。
こんな可愛い子が部屋に閉じ込められるなんて、間違っている。
後ろから同じように鉄格子を開ける音とロディオの声が聞こえる、彼も解放を手伝っているようだ。
やっぱり彼も優しい人だ。他の行動していない者達なんかと違う。
ここにいるもの達だけでも救おう。
私は少女を抱きしめ、泣きながら心の中で誓った。




