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3.打倒、風紀委員長!

俺は今、一人でネットサーフィンに没頭している。

怒りが溜まり、一人になりたかったが為に、リオは召喚していない。

なぜこんな事をしているかというと…


~数時間前


「あんなの生徒会が決めた事でしょ……私はあんな甘っちょろい結果認めていないわッ!私は貴方達が同好会程度でも活動している事が許せないのよッ!」

「おまっ…そんな勝手な理由が通用すると思ってるのか?」

「ええ、思っているわ。学校内での私の地位を考えなさいな」

ッ……そうだ、こいつは姫宮桜子なんだ…

暴力沙汰が飛び交い荒れていた学校を、暴力沙汰を全く起こさない上品な学校に変えた、超有能風紀委員会委員長。

他の委員会はおろか、生徒会ですら頭が上がらない。

「私は必ず、貴方達の同好会を潰すわ」

くそ…こいつなら本当に俺たちの同好会を潰すほどの権力(ちから)がある…

どうするソシャ会!?


~~~


という事があったのだ。

その後、対策を考えようと言って三人とも家に帰ったのだが…

俺は対策なんて全く思いつかない。

あんな鬼みたいな風紀委員長相手にどう立ち向かえってんだよ…

だから今はネットサーフィンをして現実逃避をしているという訳だ。

とその時、俺の携帯からアイドルアニメのオープニングが流れる。電話だ。

「はいもしもし」

『東川か?例の姫宮対策の件なんだが…』

原吉だ。分かってはいたけども、やはり滅多に鳴らない携帯が鳴ると「女子かな?」と期待してしまう。

「悪りぃ…俺まだなんも思いついてないんだ」

『大丈夫だ。俺もまだ何も思いついてないからな』

「全然大丈夫じゃねぇよ…でも、電話をしてきたのには何か理由があるんだろ?」

『ああ。武藤もまだ対策が思いついてないらしくてな。だから、スカイプを使って三人で会議をしようと思ったんだ』

「成る程な…確かにそうするしか無さそうだし、リオ達も入れて会議するか」

『……………』


◇◆◇◆◇


スカイプ越しに武藤のパーティメンバーである、サクヤの声が聞こえてくる。

『これより対姫宮作戦会議、通称ヒメ作を始めます』

……サクヤさん、名付け方がエロいっす。

『まずは姫宮桜子の主張から確認していこうか』

武藤、原吉以外の男の声が聞こえる。

「…誰だよお前」

……………暫く間が空いてから、さっきの声の主が慌てて喋り出す。

『失敬ッ!自分は原吉様に仕えているカルガンと言う者だ』

そうか、原吉って男しか当たってないんだったっけ…

こりゃ落ち込む訳だ。あくまで俺の勝手な偏見ではあるが……一人称が自分という事から察するに、相当なガチムチだろう。

『じゃあ改めて…姫宮桜子の主張はこうだ…ソシャ会にははっきりとした目的が無い。だから廃部にした…と。つまり…』

「つまり何かはっきりとした目的をつくるまでは俺たちの勝率は0…そういうことだよな?」

俺が問うと、カルガンは頷きながら言う。

『ああそうだ…しかしこの同好会ではっきりとした目的をつくるなど……』

「できます」

そう言ったのは、俺の背中にずっとひっついているリオだった。

「出来るって…お前、何か当てでもあるのか?」

「第一回バトルオブハニー杯…来月に行われる大会のことです。それに私達で参加するのはどうでしょう」

それを聞いた武藤は、納得したように言う。

『成る程…確かに同好会らしい活動だな。その大会で優勝する事を目標とするならば姫宮は何も言えないだろう。俺はその提案に賛成だ』

まあ、そういう事になるのか?

「みんな反論は無いか?」

しばし待ってみるも、全く返事がない。

恐らくみんなリオの提案に同意しているのだろう。

そしてその空気を察したサクヤが、会議を締めくくる。

『じゃあこれで今日のヒメ作を終わります』


◇◆◇◆◇


「っー!」

スカイプメニューを閉じた後、ノートパソコンの画面を見たリオは絶句していた。

「あの……リオさん?」

「……これはなんなんですか!」

今リオが指差しているほうには、大量のリオがいる。

そう、裸でいやらしいポーズをキメているリオだ。

くそ…スカイプをやる前に画面をちゃんと消しておけばよかったな…

俺のネットサーフィンの内容がばれちまったぜ。

ふと画面に目をやると、リオの操作しているカーソルが、『履歴』の所と重なる。

「リオッ!それはやめろ!」

しかし、時すでに遅く、返事の代わりに聞こえたのはマウスをクリックする音だった。

『カチッ』

刹那、画面いっぱいに疑惑の文が並べられる。


『バトハニ リオ 同人』

『バトハニ リオ 羞恥 ツンデレ』

『バトハニ リオ 調教』


そんな文をリオは無言でスクロールする。

やばい…これは一生口を聞いてもらえないやつだ…

高級な食器を割ったメイドさんのように挙動不審になりながらもリオの反応を見守っていると、リオの全身が紅潮していくのが後ろから見ても分かった。

一番下まで見終わったのか、リオはプルプルと震えながら後ろを振り向く。

ゴクリ……俺は表現ではなく、物理的に固唾を呑み込む。

すると…

「会議の時や対戦の時はちょっとカッコいいと思っちゃいましたけど……やっぱりマスターは最低の変態ですね」

悪いリオ…

…………結構可愛いと思っちまった。


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