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オンラインゲームがバグったら彼女ができました  作者: 橋比呂コー
6章 大人気‼ アニメファイトモンスターズ!
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アニメファイトモンスターズ95話 ドクロ団の残党!? 謎の強敵ダークネクロス

最終章反逆編開始です。

 鬱蒼とした草原で少年は相棒のグレドランと共に周囲を窺っていた。自分以外の人間は視認することはできない。しかし、確実に何者かの気配を感じる。風により草木が揺れるたびに、彼は耳を傍立てる。

「俺たちを呼び出しておいて隠れるなんて卑怯だぞ。さっさと出て来い」

 痺れを切らし、大声を張り上げる。こだまとなって彼方へ消えるだけで返事はない。


「おい、アキラ」

「どうしたグレドラン。なにか見つけたのか」

「ああ、あそこだ」

 人語を解する真紅のドラゴン型モンスターグレドランが、とある一点を指差す。変哲のない雑草。一見しただけではそう判断する他なかった。


 だが、よく目をこらすと、その一帯だけ不自然に若葉が揺れていた。まさかと思ったアキラは右手を広げる。

「フレアブレス」

 掛け声に合わせ、グレドランは炎の息を吹きかける。雑草に引火し、次第に火の海が広がっていく。


 すると、燻る煙とともに、人影が揺らめいていた。炎に包まれているにも関わらず、純白のマントは焼けこげることはない。煌々とした灯により、首から上も顕わになる。だが、その姿を目の当たりにしたアキラは息を呑んだ。無理もない。浮かび上がってきたのは下顎を失った人間のドクロなのである。

 おどろおどろしい姿に緊張感が走る。炎をものともせずアキラの前へと進み出たそいつはマントを翻した。

「カーッカカ。俺様の正体を見破るとは、噂通りの強者だッカ」

 見かけとは相当なギャップのある甲高い声にアキラは唖然となる。低い声で威圧されるとばかり予想していただけに、パートナー共々拍子抜けしたのだった。


 立ち尽くすアキラを嘲るように、謎のドクロ仮面は縦横無尽に飛び回る。重力法則を無視してからかわれ続けたため、アキラの堪忍袋の緒が切れた。

「いい加減にしろ。お前は一帯誰だ」

「カカ? 俺様の名前ッカ? 俺様はダークネクロス。ドクロ団の残党だッカ」

「ドクロ団だと」

 その単語に反応したのはグレドランだった。悪の組織ドクロ団。ファイトモンスターズのモンスターを操り、世界組織を目論む秘密結社だ。グレドランは過去に故郷をドクロ団によって壊滅させられたことがあり、いわば仇となっていた。


 大幹部シャレ・コーベを打ち破ったことにより解散に至ったはずだった。だが、謎の男ダークネクロスは確かに「ドクロ団」だと名乗ったのだ。

「シャレ・コーベなどもはや過去の遺物だッカ。これからは俺様たちによってニュー・ドクロ団を結成するッカ」

「てめえら、また俺たちの仲間を操ってひどいことをするつもりだろう」

「人聞きが悪いッカ。俺様達に都合が悪いやつらを排除しているだけだッカ。協力すれば痛いことはしないッカ」

「ふざけるな。誰がお前たちに協力なんかするか」

 アキラはいきりたって反発する。ヘラヘラとしていたダークネクロスだったが、一変して肩を落とした。


「素直に仲間になるなら、見逃してあげてもよカッた。が、邪魔するなら容赦はしないッカ」

「来るぞ。グレドラン、準備はいいか」

「言われるまでもないぜ」

 鼻息荒く、グレドランが進み出る。どこからともなく吹き込む風により、ダークネクロスのマントが揺れ広がった。

 すると、彼の足もとに魔法陣が展開する。モンスターを召還する際に浮かび上がる独特の文様だ。


 そこから這い上がってきたのは皮膚がただれ、所々で骨が剥き出しになった人間の腕であった。すぐに胴体もお目見えするが、醜悪な外見は相変わらずである。瞳孔から目玉が飛び出て、出しっぱなしにしている舌から涎が垂れ流されていた。

「ゾンビーガ、やつらを叩きのめすッカ」

 別名生きる屍とも呼ばれるゾンビーガ。志半ばで死んだ人間がゾンビとして蘇ったモンスターである。


「ドクロ団らしく、お前もアンデットモンスターを使うってか」

「負け犬どもと一緒にされちゃ困るッカ。俺様のゾンビーガはそんじょそこらのやつとはレベルが違うッカ」

「アキラ、こんなやつとっとと倒しちまおうぜ」

「ああ。行くぞ、グレドラン!」

 グレドランは鼻息を噴出する。それも炎の鼻息だった。


 ゾンビーガは不気味に体を揺らしながらも、右フックで攻勢をかける。対して、グレドランは前脚で応じた。急接近したのを利用し噛みつきを仕掛けるが、ゾンビーガは上手い具合に体を反らす。グレドランの牙とゾンビーガの拳。一進一退の攻防が続けられるが、互いに決定打を与えられずにいた。

「ゾンビーガ、離れてベノムブレスをお見舞いするッカ」

 命令に従い、ゾンビーガは大きく距離を取る。そして、嘔吐するかのような姿勢で禍々しい息を吐き出した。


 相手を毒状態にすることもある闇属性の攻撃技だ。とっさに鼻を押さえるグレドラン。

「こっちもフレアブレスで反撃するんだ」

 紫がかった息を迎撃するように火炎の息が放出される。二色のブレス攻撃がぶつかり合い、拮抗する。

「クックク、息の技を使ったのが命取りだったッカ。スキルカード逆風ヘッドウィンド

「なんだと!?」

 ダークネクロスの背後より突風が押し寄せる。文字通り逆風に吹かれ、グレドランの炎の息が巻き返されていく。しかも、ベノムブレスのおまけつきだ。


「逆風はブレス攻撃を跳ね返すカウンターカードだッカ。お前がフレアブレスを得意技としているのは予習済だッカ」

「こいつ、フレアブレスを誘発させるためにベノムブレスを使ったな」

 自らの炎に焼かれた上、毒の息までも直撃してしまう。激しい煙にグレドランは咳き込む。


 一度は倒した組織の残党とはいえ、かなりの実力者というのは先の攻防から明らかだ。なので、アキラは右腕を振り上げ、大声で叫んだ。

「グレドラン、クリムゾンラッシュ」

 鱗の端々から炎が噴出し、全身を燃え上がらせていく。火炎を纏ったグレドランはまっすぐにゾンビーガへと突貫していった。


 先行して放たれる火炎弾。そして、グレドラン本体による爪や尻尾での連撃が迫る。ただでさえ強力な大技だが、アキラは更にスキルカードで後押しする。

「スキルカード炎上バーニング。炎技の威力を上げるぜ」

 火力が上昇し、動くだけで周囲の雑草を灰に帰している。火炎弾の直撃により怯んでいるゾンビーガに灼熱の化身となったグレドランの殴打がお見舞いされた。


 地面に伸びている対戦相手を前に、アキラとグレドランはハイタッチを交わす。だが、ダークネクロスは不気味に漂うばかりだった。相棒がやられたというのに労う姿勢すらない。

「勝負はついた。さっさと降参したらどうだ」

「早計だッカ。まだゾンビーガはやられてないッカ」

「嘘つけ。思い切り伸びてるだろ」

 グレドランは指差し、喚くが、大の字になっていたゾンビーガの指先がピクリと動いた。


 すると、ゾンビーガはゆっくりと状態を起こし出したのだ。愕然としているアキラたちをよそに、おどろおどろしい声で咆哮を轟かせる。焼けただれていた皮膚はいつの間にか治療され、無傷と言っても差し支えない。

「驚いたッカ。俺様のモンスターは不死身なんだッカ。生死を超越した力を持つ男。それが、この俺様ダークネクロス様なんだッカ」

「くそ。こんな奴、どうやって倒せばいいんだ」

 歯噛みするアキラと対比するように、ダークネクロスの仮面が映し出される。その仮面は人を小馬鹿にしたようにほくそ笑んでいた。

モンスター紹介

ゾンビーガ 闇属性

アビリティ 生ける屍:一撃必殺技が効かない

技 ベノムブレス

かつて、ライムがホラー映画のゾンビを実体化させたことがあったが、こちらは正式にファイモンに登録されているゾンビモンスター。

一撃必殺技を無効にするが、そもそも発動確率が低いため実戦で使われることはあまりない。相手を毒状態にする技以外は特に脅威となる点はないはずであった。

だが、アニメに登場した際は使い手のダークネクロスの力により、無限に再生できる強敵としてアキラたちを苦しめた。

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