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オンラインゲームがバグったら彼女ができました  作者: 橋比呂コー
4章 ハルカの思惑! ジオドラゴンの昇華!
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タッグバトル! VSジオ&ルゥその1

詳しいことは後々割烹に書くつもりですが、私情で大幅に執筆が遅れています。

しばらく週1,2回ペースでの更新になると思いますがご了承ください。

 山伏を連想させる装束に、鍛え抜かれた筋肉をこれ見よがしに強調している。いかついおっさんの風貌で「ジオドラゴン」と呼ばれているとくれば、該当する知り合いは一体しかいなかった。

「お前、日花里のジオドラゴンなのか」

「日花里。そのような名の人間とも面識があったな。だが、我が主はケビンのみ。彼の者の意向を阻む愚者は我が直々に制裁を加える」

 痛々しい物言いといい間違いない。しかし、どこか間の抜けた印象があったはずなのに、荘厳な顔つきで睨みつける様は知らずと圧倒されてしまう。


 ルゥも参戦するとなると、ジオドラゴンとはタッグ戦を挑むこととなる。テトのパートナーは当然ハルカだ。面識がない相手と即席でチームを組まなければならない。万全とはいえない状態でどこまで喰らいつけるか。不安を抱えるテトをよそに、ハルカとライガオウは意気込んでいる。無論、対戦相手のルゥとジオドラゴンはそれぞれ手腕を広げ、今にも飛びかかろうとする勢いだ。

 自らを叱咤するように頬を叩くと、テトは五枚のスキルカードを選択した。ミィムは未だ戸惑いの色が浮かんでいるものの、覚悟を決めたのかじっとルゥたちの方に顔を向けている。


 最初に動いたのはジオドラゴンだった。

「一人ひとり潰すのはしゃらくさい。我が最大の力で一気に蹂躙してやろう。スキルカード逆鱗インペリアルラッシュ

「いきなりそのカード? はりきるわね」

 呆れるような口調のルゥだが、本心では予定調和といったところか。カードの発動とともに、元々筋骨隆々としていた肉体が更に盛り上がる。眼は血走り、鼻息荒く迫ってきた。

「じゃあ、私も最初から本気で行こうかしら。スキルカード満月フルムーン

 ルゥがスナップを利かせて上空にスキルカードを放り投げる。回転しながら天を舞うカードは暗鬱とした森に輝く一筋の光となった。突如出現した巨大球体の光を浴び、ルゥの両手の爪が更に鋭く伸びる。可憐な顔つきとは不釣り合いの犬歯を剥き出しにし、獣のそれとしか思えない咆哮を上げた。

 スキルカード満月は獣系のモンスターの攻撃力を大幅に上げる効果を持つ。防御力が下がるというデメリットもあるが、能力の上昇幅は逆鱗をも凌ぐという。


「逆鱗に満月。相手は短期決戦を狙っているのは明白ね」

 爪を噛むハルカであったが、テトは別の意味で驚愕していた。

「っていうか、こいつら自在にスキルカードを使えるのか」

 使い手を介さずにスキルカードを使いこなすモンスターがいるということは噂で聞いていた。レイドボスなども使ってくるが、あちらは既定のアルゴリズムに従っているため、てんで的外れなタイミングで使用することもある。だが、ルゥやジオドラゴンは明らかに自分の意思でカードを使ってきた。少なくとも、野生のモンスターが相手だと想定していては寝首を掻かれるのは間違いない。


 強化された相手に後れを取るまいと、ハルカもまたスキルカードを展開する。

「スキルカード加速ブースト。ライガオウの素早さを上げる。そして、エンチャントスキルカード疾風爪。これにより早駆を習得するわ。ライガオウ、さっそく早駆でルゥを攻撃。あの子の正気は私が取り戻してみせる」

 スキルカードの加護により、ライガオウの素早さはフィールドに出ているすべてのモンスターの中で最大となる。先制攻撃権およびアビリティ光速の覇者による攻撃力上昇を受け、ライガオウはまっしぐらにルゥへと突進していく。


 ルゥは回避しようと両脚に体重をかけるが、その時にはすでに目前にライガオウが迫っていた。体当たりが直撃し、ルゥは衝撃で大木に叩き付けられる。風属性の技は効果が薄いのだが、それでも二割ほど体力を削ることができた。

 追撃せんとライガオウは牙に稲妻を蓄える。しかし、ジオドラゴンが進行方向に立ちふさがったかと思うと、両手に集約していたエネルギーを気功砲として撃ちだした。ドラゴン形態における咆哮攻撃「ガイアフォース」である。

 エネルギー砲の直撃により、ライガオウの体力は半分以下に減少してしまう。ハルカの手持ちモンスターは虚弱体質なものばかりで、それが災いしてしまっていた。

「我を無視するとはいい度胸だ。ルゥよ。まずはこの小娘を協力して始末しようではないか」

「あんたに命令される筋合いはないわ。でも、作戦としては悪くないわね」

 ライガオウに対抗するが如く、爪に激しい閃光を宿らせる。ルゥの得意技であるシャイニングボルトだ。加えて、ジオドラゴンも再度ガイアブラスターを放とうと両手にエネルギーを蓄積している。二体の同時攻撃をまともに喰らえば、ライガオウは確実にお陀仏だ。


「バブルショット」

 突如顔面に水をぶっかけられ、ジオドラゴンは不快を顕わにする。不届きを働いた者は明らかだ。

「僕たちを忘れてもらっては困るな。ハルカ、ジオドラゴンの相手はこっちで引き受ける」

「助かった。それじゃ、任せるわよ」

 なおもライガオウに標的を定めようとするジオドラゴンにミィムは追撃のバブルショットを放つ。さすがに無視できなくなったのか、ジオドラゴンは渋々向き直った。


 これでハルカとルゥ、テトとジオドラゴンというタイマン形式が成立する。そう思われたのだが、ジオドラゴンは是とはしていないようである。

「各個撃破をしようと思ったが、どうやら死に急ぎたいらしい。ならば、根絶やしにしてやるも一興。スキルカード強化エンハンス。これで我が攻撃力を上げる。このままガイアブラスターを発射すればどうなるか分かるな」

 更に攻撃力を上昇させてきたことからして、ジオドラゴンの目論見は明白だった。ガイアブラスターは複数体同時バトルが導入された際に仕様変更されている。それは、「相手が複数体で挑んでいる時に、相手すべてにダメージを与える」というものだった。ライガオウの残り体力は少なく、ミィムは弱点属性で大ダメージ必至。つまり、この一撃で一網打尽にするつもりである。

スキルカード紹介

満月フルムーン

獣系モンスターの攻撃力を大幅に上昇させる代わりに防御力が下がる。

能力強化系のカードの中でも強力な部類。種族を限定している分、攻撃力の上昇効果は高く、逆鱗での上昇幅を凌ぐとも言われている。

防御力が下がるデメリットもあるが、そもそも獣系は虚弱体質なモンスターが多くさほど弊害はない。相手からの反撃を受けるより前に倒す速攻戦術には必須の一枚であろう。

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