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第12章4

お待たせしました。

何処で聞いていたのか?

苦し紛れの自信をふりかざすライサンドに追い打ちをかけるように、一人の男が突如現れ口を挿んで来た。


「そんな筈はありません! 貴方は私が差し出した仔馬の情報を快く受け入れると、ソイドとその仲間に盗ませたではありませんか。私は厩舎で貴方からお褒めの言葉を賜りました日の事を、昨日の事のように明確に覚えております」


「お前は……、確かザグソンの……」


「はい、ニックです。アシュド邸の厩舎を襲った者達の手口は明らかにキールの手によるもの。道案内に同行したのが他の者でしたら逃れられた罪だったかもしれませんが、私であったと言う事が貴方の不運でした」


「……はははっ、こいつ……、何を言っているんだ? 頭が可笑しいんじゃないのか? 農夫風情が知ったかぶってキールの事について語った所で、誰も相手になどする訳が無いじゃないか」


ライサンドの本心を暴き出す為に冷静さを保とうと必死に取り繕っていたニクソンだったが、ここまで明かしてもなお、自の存在に全く気付くことのないライサンドの態度にイラ立ちの波が押し寄せて来ていた。

あの衝撃の日の出来事などは、きっと忘却の彼方。記憶の片隅に追いやられ、聞き及んだ所、昨夜の所行ですら反省の色が全く微塵も感じられないとの事。

ライサンドの横柄な態度に、ニクソンの怒りはついに最高潮に達した。


「……ラ・イ・サ・ン・ド……、貴様―ッ」


「なっ、何だ、お前……。この私に向かって……、いったい何を……」


突如変貌した目の前の男の態度に、ライサンドが飲まれたように一歩後退する。


「この私の顔を見忘れたか!! 6年前の事……、忘れたとは決して言わせないぞ!!」


ニックは牢屋の格子の間からライサンドに襟首を掴みかかった。


「ぅぐぐっ! お前、なに……ッ、くっ、くる……し……」


「ニック、今はいけません。留まって下さい。今、下手に手を出せば不味い事になります!」


傍で見ていたランドンが、慌てて止めに入った。

ニックのワナワナと震える手に、ランドンは制止するようにそっと自らの手を添える。


「お気持ちは分かりますが、ここは抑えてください。姉さんは貴方が不利な状況になる事を、きっと望んではいません!」


「くそぅ!!」


ニクソンは言葉を吐き捨てると、悔しそうにその手を振り下ろした。


ライサンドはランドンの姿を見て、忘れ去っていた筈のある人物の姿を思い出す。

それは幼い頃、剣術を教えてもらった事もあるかつてのキールの隊長の姿と、そしてもう一人……。


「ふふっ、こんな事が? ……死んだ筈の人間が二人もなど……、普通、有り得んだろう?」


「笑うな! 何が可笑しい!!」


ライサンドの微笑が再び火に油を注ぐ。


「口を慎めライサンド! 少なくとも私がここにいる限り、お前の思い道理にはさせん! 誰が罪人だと!?その言葉はお前が口に出来るものでは無い!!」


ゼロは昨夜の事を思い出しながら言葉を紡ぐ。

自身も感情を抑えきれず、腸が煮えたぎる思いを今味わっている状況なのだ。


「まぁ、いいさ。どうせもう間に合う筈もない」


ライサンドは自らが立てた計画が順調に進んでいる事を示唆すると、再び微笑を浮かべる。


仔馬が輸送されている事を突き止め、急ぎ追跡処理部隊を送ったゼロだったが、王宮内に入ってしまえば最早救い出す活路は先ず見出せない。事はライサンドの思惑通りに進んでしまう事になる。通常あの時間差で、追手が追いつく等と考える事は難い。

だが、ゼロ達はフリードル達に賭けていた。彼がソイド等に追いつき、取り押さえてくれる事を信じて。


「そうだな。間に合わんかもしれんが、お前の計画が全て成功するとは思わない方が良いぞ」


「思ってはいないさ。計画が全て成功していたら、私は既に今ここを抜け出せていた筈だ。お前がここに来る事は想定外だったからな」


ライサンドが少し悔し気に舌打ちをする。


恐らく、監視がタウリンが任される以前のキールの面々だけならば、ここを抜け出す手筈は万全だった筈。

だが、キールの中にライサンドの息のかかった者が居ると感じた時点で、ゼロはそれを排除すべく動いた。キールだけの監視体制の危険性を示唆し、ブラックナイトの面々に秘かに声をかけると監視させていた。

中には見過ごしておけぬ事態に気づき、既に粛清の為に捕らえた者も居る。その最たるは勿論ライサンドの息のかかったキールの面々だ。

そして、その粛清に値する数名を現在フリードルが追っている。

フリードルはゼロが最も信頼を置いている愛弟子だ。


(追いつきさえすれば、あいつならばきっとやってくれる筈!)


ライサンドの監視をクランケに交代させると、ゼロはシザーレを引き連れ地下牢を後にした。

叔父に全容を話し、ローレライの許へ戻る為に……。


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