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第10章8

大変お待たせ致しました。

ゼロから事件の詳細を探る為に時間が必要だからライサンドに暫く付き合ってやって欲しいとローレライは頼まれた。

頭には一瞬、嫌だと言う感情が過るが、ローレライはそれを断れる立場ではない事を重々承知している。

ライサンドの件には盗まれたドレアスも関わって来る。それに、ランドンや多くの涙を飲んで来た娘達とその家族の事を思えば、ローレライには拒否すると言う選択肢は無かった。

それでもライサンドに対する恐怖は付きまとう……。

するとゼロは、決して二人きりにはさせないとの約束をしてくれた。


「シドが兄として付き添ってくれる。何の心配もいらない」


シドも元騎士の称号を持つ者の一人だ。その言葉はローレライにとって、とても心強いものだった。


だがその前に、ローレライはゼロにどうしても聞いておきたい事があった。

それはここへ来る以前からとても気になっていた事。ゼロと公爵家との繫がりについてだ。

兄ルシオンが尋ねた時のフリードルの口調からも、ゼロ自身からでないとその詳しい経緯は聞き出せそうには無い事をローレライは感じた。

おそらくゼロがそれは人にはあまり話したがらない事柄なのだろうけれど、ローレライは好きでも無い人と付き合わされるのだ。それ位の事を聞いても罰は当たらないだろうと自分に言い聞かせて尋ねてみようと心に決めた。


考えてみれば自分はゼロとこれ程の関わりを持っているにしては彼の事をあまりに知らなさすぎる。

本当の名前だって最近知ったばかりだ。

色々聞きたいと思う事は山ほどある。けれどいざ面と向かってしまうと、如何しても何処か構えてしまい中々こう言う事は聞く事が出来ない。

でも、ライサンドの事を聞き出すように見せかけてならば、ローレライにも容易に聞き出せそうな気がした。


「あの……ライサンド様とお話しする上で何も知らないのも失礼ですし、少し聞いておきたい事があるのだけど……」


ゼロの眉間が一瞬ピクリッと小刻みに動いたような気がした。


「なんだ? あいつの趣味とかならば私は何も知らんぞ。本人に聞け!」


……何だか今日のゼロは、とても機嫌が悪い気がする……。


「いえ。違うの。公爵様はゼロの叔父様と言う事だったけれど……」


「……ああ、そうだ」


「あの……、それは、どう言う叔父様なの?」


「如何言うも何も叔父上は、叔父上だろ」


「いえ、あの……。私の母はエルのお母様と従姉妹なの。それで私も叔母様と呼んでいるのだけれど……」


「ああ、そう言う事か。公は母の弟だ」


公爵が叔父と聞いて、多分そうではないかとは思っていたけれど、少しそれは腑に落ちないと感じていた。

だからローレライは聞きたかったのだ。

ローレライの記憶が正しければ、前王には上に姉と下に弟がいるだけの筈。

ゼロはザビーネ様を伯母と言っていた。

ではザビーネ様はゼロのお父様と御姉弟なのかしら?でも、血統馬の持ち主はザビーネ様で……。

ローレライは知り得た情報を色々と纏め上げて考えてみようと思っていたのだけれど、それを以上聞くのはライサンドとの関連も無さすぎるし、結局尻込みしてしまいそれ以上を聞き出すことが出来なかった。

しかし、以前からの立ち居振る舞いから醸し出されるゼロの雰囲気が、かなり位の高い人であろう事を漂わせているとは思っていたけれど、まさかこれ程までの高貴な人だとは思ってもいなかったのだ。

もしかするとゼロは……。

ある事が頭を一瞬過るが、流石にそれはまさかだ。

ローレライはその事を考えるのを一先ず止めた。


「では、ライサンド様とは幾つ違い? どちらがお兄様なの?」


「確か奴とは同い年だ。私は10月だが奴は知らん。自分で聞け!」


「お歳は?」


「27」


ゼロの年齢を聞いた時、ローレライは思わず心が弾んだ。

10歳違いと言う事は、ローレライの両親と自分とゼロの年の差は同じ事になる。


「10歳違いだと、十分恋愛対象になるわよね」


ローレライは少し嬉しくなって小さく微笑んでしまった。


「だから気をつけろと言っている!!」


ゼロは如何して急に大きな声を張り上げているのか?

何だか聞いて行く内に、ゼロの機嫌がどんどん悪くなっている気がするのは気のせいなのだろうか?


「もしかして……、ゼロ怒っている?」


「はぁ――っ……」


するとゼロが、大きな溜息を一つ零した。

そしてゼロはローレライの頭をクシャクシャっといつものように撫ぜ始めた。


「怒ってはいない。怒っては居ないが……、頼むから気をつけてくれ……」


ゼロは苦虫を掴まされたような表情をしながら、ゆっくりと言葉を吐き出した。

表情も先程よりかなり柔らかくなった気がする。


(ああ、心配してくれているだけだったのだ)


「はい!」


ローレライは嬉しくなってゼロを見つめ、微笑みかける。

心の何処かにずっと引っかかっていたゼロの事が少しでも聞けて、ローレライはとてもこの時満足感を覚えていた。

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