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第10章4

お待たせしました。

昼過ぎにローレライは主だった面々と共にバラサインに向かってトランゼを出発した。

他のブラックナイトの仲間たちは既に早朝発ったらしく、皆元騎士で馬にも慣れた者たちばかりだ。そろそろフリードルと合流している頃だろう。


バラサインではランドンの姉の婚約者だったニックが、家を提供してくれる事となった。

ニックの住まいは森の奥にあり、作業小屋として以前使われていたものを借り受けたものらしい。

手狭だが当座の隠れ家としては見つかり難い場所でうってつけだ。

ニックもその事を見越して借りているようだ。

ローレライ達はジュリアスの足も考慮して、途中の町で一泊し翌日の昼過ぎにバラサインへと入った。

到着すると先にニックの小屋に行きフリードル、ランドン、サビエル等と合流する。

ニックには牧場に出ていると言う事で、会えなかったのが少し残念だったが……。


「ルシオン様にお供出来ないのは残念ですが、私は風貌が父にかなり似て来ているようですので同行は出来ません。本日ニックが染粉を買って来てくれるので髪も切って染める事にします。髪の色や長さが変われば幾分印象は違ってくるだろうとニックは言ってくれましたが、私もニックを見つけられましたし心許ない気もします。ですが、きっと上手くやって見せます! 今、ニックの遠縁の者と言う事で、牧場で働かせて貰えるように頼んでくれていますから、何とか一緒に屋敷に潜り込めるように努力します!」


ランドンが苦笑いを浮かべながら言葉を口にした。


ローレライはここでジュリアスとは別れ、代わりにランドンの乗って来たクロノスに乗り換える。

ドレアスにそっくりなジュリアスを、屋敷に連れて行く訳には如何しても行かなかった。


「ジュリアスの事、お願いね。貼り薬も作っておいたから、夜にはもう一度張り替えてあげて。これは貼り薬のレシピよ。無くなったら作ってあげて。よろしくね」


「確かに、お預かり致します」


最後の話を詰めると、5人は配下の者数名を引き連れて、ザンゾール公の屋敷へと向かった。



ザンゾール公の屋敷に就いた5人は、直ぐに応接室へと通された。

息子のライサンドは留守にしていたが、公爵は知らせを受けて甥の来るのを待っていてくれた。


「叔父上、大変ご無沙汰しております。急な滞在を快く受け入れて下さり、有難うございます。王城を離れ、しばらく田舎でゆったりと過ごしたかったものですから、すっかり疎遠になっておりました事を、お許し下さい」


「いや、気にするな。アイスラントも元気そうで何よりだ。友人と一緒といっておったが、シザーレ殿と、フリードル殿も一緒とはこれも懐かしい。二人とも壮健だったか?」


「はい、変わりなく」


「公爵もお元気そうで何よりでございます」


シドとフリードルは各々返事をすると深々頭を下げる。


「そちらのお二方はどちらの者だったかな? 女だてらに騎乗して来られるとは勇ましい娘と見受けるが?」


「これは失礼いたしました。私の弟のパーシーと、妹のサンドラです」


紹介してくるシドの声に、二人は揃って頭を下げた。


「おお、そうかシザーレ殿の妹ならばそれも頷けるな。元気があって実に良い」


「お恥ずかしい限りです」


「確か兄妹が多いと以前言っておったが何人兄弟だ?」


「5人兄妹です」


「賑やかでいいな。実に羨ましい」


「恐れいります」


ゼロとフリードルのこう言う畏まった姿は、容易に想像はできたが、いつも何処か気さくなイメージのシドが、丁重に何度も頭を下げている姿は、ローレライとルシオンにはとて新鮮だった。

だが、流石に長く城に勤めていただけの事はある。

それなりの格好をし、正式な場に出ればこんなにも品のある殿方に見えるのだと言う事にローレライは少なからず驚きと共に何処か納得してしまった。


「夕刻にはライサンドも戻る。晩餐は是非一緒にと申しておった。疲れたであろうからそれまで部屋でゆっくりされるが良い」


「有難うございます。重ね重ねお心遣い感謝いたします」


ゼロがそう告げると、皆も一緒に頭を下げた。



案内されたのは邸の本館の3階で、全員南側の庭園が良く見える並びの客室に通された。

向かいの内部屋にはそれぞれの従者部屋が宛がわれている。

今回従者として同行したのは3名で、フリードルの配下のランドンと仔馬探しに率先して携わってくれていたシドの配下のタウリンとクランケと言う人物たちだ。

ミゲルはニックの家で他のブラックナイトの者達を纏めてくれている。

情報のやり取りは困難を極めるだろうが、ミゲルが何か策があると言っていたので、今はそれを信用するしかない。


部屋の内部は、扉を開けると正面に応接セットが備え付けられた一見リビングに見間違えるような豪華な造り。寝室は隣の部屋で完全に別室となっている。

窓からは庭園の花々が良く望めて、申し分無い風景だ。


「流石は筆頭の公爵家ね。うちとは大違いだわ」


ローレライは贅沢を好む娘ではないけれど、綺麗な調度品と窓から見える理想的に風景にしばし乙女心を燻られ、酔いしれた。

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