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第四話

ピョンが俺の顔をぺろぺろして起こしてきた。もう朝?ここには窓がないからよくわからない。部屋の電気を付けると、大量の水と頭痛薬と最新のスマホがテーブルの上に置いてあった。


「飲ませすぎちゃってごめんね。たくさん水飲んで安静にしてね。それと、約束のスマホ買ってきたよ。僕の連絡先入れておいたから、何かあったら、いや何もなくても連絡ちょうだいね。王 姄罠」


という置き手紙まであった。


「誰が連絡するかよ……」


まあ、ラッキー。これでやっと身体が売れる。たくさん稼げる。


その日の夜、SNSで知り合った男性と出会うことにした。


「君が麗花(リーファ)?」


「はい、初めまして〜♡」


SNSではリーファという偽名を使って、活動している。俺のフォロワーみんな、脳みそがエロで腐ってる。


「わぁ、めっちゃ可愛い!顔出ししたら良いのにぃ」


「身バレ防止ですよ」


「このスペックで二千元(四万円)で生OKなんでしょ?最高じゃん!!」


「じゃあ、たくさん俺のこと抱いてよね♡」


とあざとく客の腕に抱きつく。


「ふふっ、たくさん気持ち良くするね!」


と出会ってそのままホテルに向かって、やること一通り終わらせて、一人で帰路につこうとしたところ、


「ユーハオ!」


とホテル前で待ち構えてた奴が俺の名前を呼んだ。


「何でいるの?ミンミン」


「ユーハオ、何してるかなー?って思ったら、こんなところにいるから心配になって……」


「まさか!!?」


「ん、僕とGPS共有できるようになってるよ」


あーーー、ミスった!!金に目が眩んでそのこと全然考えてなかったー!!


「気持ち悪い……さっさと共有オフにしよ……」


「それで、ホテルで何してたの?」


「別に何だっていいだろ」


「もしかしてさぁ、このリーファってエロ垢。ユーハオの?」


何でそこまでバレてんだよ!!


「知らない。人違いじゃない?」


「僕がユーハオの脚を見間違えることないよ。だってここにほくろがあるし」


慌てて自分を脚を見ると確かにそこにほくろがあった。俺でさえ気づかなかったほくろをこいつはこの写真一つで……。


「そんなの、たまたま……」


「ねぇ、ユーハオ。売春してんの?」


ミンミンは真剣な顔でそう俺に聞いてきた。


「だったら、何?お前に関係ないよね??」


「関係あるよ。僕はユーハオが好きだ。だから、ユーハオが傷付くようなことして欲しくない」


「……っ、ふざけんのもいい加減にしろ!!じゃあ、何だよ。生きてるだけで金くれんのかよ。お前にキスもセックスも何もせずにただ生きてるだけで、お前は俺に金くれんの?くれないだろ、どーせ!!」


俺はミンミンが言う綺麗事が気に食わなくて、怒鳴り散らして反論した。


「だからって、売春しなくたって……」


彼が言う通り、もう売春しなくたって、俺は生きてはいける。それくらい今のバイトで貰えてる。だけど、


「違う!!金がないと俺は、俺自身のことを大切にできないから……」


俺は、お洒落が好きだった。小さい頃から色んな系統の服が好きだった。だけど、家庭環境は厳しくて、男なんだから男らしいものを、髪の毛も短髪にしろ。お洒落なんか無駄だ。勉強しろ。といつも叱られ、殴られていた。ピョンを拾った時もそうだ。犬なんか拾ってきてどうするんだ。無駄金を使わせるな。さっさと捨ててこい。そう言われたが、俺は部屋にピョンを隠しながら、育てていた。ピョンは良い子だから無駄吠えはしなかった。吠える時はと言うと、俺が毒親から殴られた時だけだった。周囲に助けを求めるように吠えていた。けれど、そのせいでピョンまで蹴られることになって、俺はワンワン泣いた。そんな環境から逃げ出したくて、俺は売春行為を始めて金を稼ぐようになっていた。手っ取り早く逃げられる方法がこれだったから仕方がなかった。そんな俺を見て、何かを察したのか毒親はもう何も叱らなくなっていた。ただゴミを見るような蔑んだ目で俺を見るようになった。もう親からの評価なんてどうでも良かった。好きなものを好きなように買える、それが何よりも幸せだった。


「わかったよ。じゃあ、僕が毎月お小遣いをあげる。だから、売春行為だけは絶対にしないで。君の命に関わることだから」


ミンミンは約束してくれた。毎月五千元(十万円)くれるって。売春したらもっと稼げるけど、それでも俺のことを考えてくれてるのがわかったから、それで了承した。


「あーあ、気持ち悪かった!もう絶対、セックスなんかしてやんねぇ!」


俺の気持ちはまだ揺れていた。どーせミンミンも裏切るんじゃないか、俺にセックスを求めてくるんじゃないかと不安だった。


「それで良いよ。君は好きなことをしてたらいい」


「何でミンミンは俺にここまでしてくれんの?」


「え、好きだから」


そんな曖昧な理由で信じろなんて、無理に決まってるから。まあ、裏切られたら、また売春すればいいし、なんて呑気に思っていた。


それから、ミンミンは毎日俺におはようからおやすみまでしつこいくらい連絡をくれるし、週一で俺の部屋に遊びにきては近況報告をし合って、月一回、お金をくれた。何だかんだそれももう三ヶ月か。次のお小遣い日まであと三日か。先々月は服を買ったし、先月は靴を買った。髪もまだ染めなくて良いし、これといって欲しいものもない。なのにお金は、売春してた時より貯まってる。不思議だ。そうだ、どーせならミンミンを驚かせてやろう。きっと、俺がミンミンにプレゼントをあげたら吃驚するに違いない!そう思いついて、ピョンの散歩がてら近くのショッピングモールで、何をプレゼントしようか悩んでいた。殺し屋って何が欲しいんだろ?やっぱナイフ?でも仕事道具はこだわりありそうだしなぁ。靴とかも動きやすいの自分で持ってるかぁ。じゃあ、ケーキ?そういえば、あいつ甘いの好きだっけ?ミンミンと三ヶ月も毎日連絡取り合ってるのに、俺あいつのこと全然知らないじゃん。何だか、自信がなくなってきた。ミンミンは喜んでくれるのかな?俺、もっとミンミンのこと知っとくべきだった。とカフェで落ち込んでるとピョンが俺の太ももの上に飛び乗ってきて、俺の顔をぺろぺろと舐めてくれる。


「ピョン、元気づけてくれてんの?ありがとね」


こういう時、俺の心の支えになってくれるのはピョンだ。ピョンは賢いから俺が落ち込んでると慰めてくれる。


……来ない。お小遣い日当日。朝、おはようを返してから連絡が途絶えた。いつもなら今日はバイト?とかピョンの写真送ってとか色々と連絡してくるのに。


「今日何時に来るの?」


仕方なく俺の方からまた連絡してやった。そして、無情にも一時間が経過した。


「何で、連絡ないの!??……え、死んだ??」


俺があわあわして歩き回っていると、ピョンもそれにつられて俺の後ろをついてきている。


「ピョン、どうすればいいー?」


ピョンに泣きついて、俺は不安を紛らわしていた。ピョンはぺろぺろと俺の顔を舐めて慰めてくれた。


「あ、電話!電話かけてみよう!」


プルルルルル、プルルルルル。おかけになった電話番号はお出になりません


「は?何で出ないの!??」


プルルルルル、プルルルルル。おかけになった電話番号はお出になりません


「ふざけてる!!……まさか、本当に死んだの?」


俺はピョンを抱き抱えて震えながら、ミンミンが来るのを待つしかなかった。脳みそが嫌でも最悪な方へと考えてしまう。そう思っては、何だか涙が出てきた。毎日の連絡、もう少し愛想良く返信してあげれば良かった。めんどくさがって、一文字で返してた。俺の部屋にミンミンが遊びに来た時も、コンビニで買ったものじゃなくて、ちゃんと手料理を食べさせてあげれば良かった。もっと毎回、ありがとうって伝えとけば良かった。こんなにもミンミンは俺にしてくれるのに、俺はミンミンに何もしてあげられてないままだよ。ミンミン、早く来てよ。と寂しさで涙を零していると、ドアがドンドンドンとノックされた。ミンミン?かと思ってドアを開けると、顔馴染みの半グレ三人衆の一人が立っていた。


「なに?」


「ちょっとドア開けたままにして貰ってて良いっすか?」


と言われ、不思議に思ってると、二人の半グレに担がれたミンミンが俺の部屋へと運ばれて行く。ミンミンのお腹からは血が流れていて、重症そうだった。


「え!!?ミンミン、どうしたのそれ!??」


「ちょっとね。でも、大丈夫。こいつらが大袈裟なだけ」


とミンミンは弱々しく笑った。


「一階のエントランスで遊んでたら、血だらけのミンミンさんが歩いてきたので、思わず……」


と半グレ三人衆の一人が心配そうにミンミンを見つめて言った。


「ありがとう。後は俺に任せて!」


と二人きりにしてもらって、ミンミンの血だらけシャツをまくると、お腹の肉を抉って弾丸が食い込んでいた。


「痛い痛い痛い痛い痛いっ!!」


ピンセットを使って、取ろうとするとミンミンが痛がって騒ぎ始めた。


「動かないで!!あとちょっとだから!」


と神経を集中させて弾丸を取り除いてから、傷口を消毒液で洗って、ガーゼで押えた。いつかミンミンが怪我した時のために救急バック買っといて良かった。


「ありがとう、ユーハオ」


「はぁ、吃驚したじゃん。良かった、生きてて!」


と俺が安堵すると、ミンミンは嬉しそうににやけて両腕を広げた。


「ユーハオ、抱きしめてもいい?」


椅子に座っているミンミンの太ももの上に俺は跨って座って、ミンミンを抱きしめた。


「どうぞ。ご自由に」


「こうやってユーハオを抱きしめると、すごい生きてて良かったって感じる」


そう俺の耳元で囁くミンミンの声が艶っぽい。


「じゃあ、死なないで。連絡は返して」


「ごめん、携帯壊れちゃって……」


「もう、本当に、心配したんだから……」


「ごめん。心配してくれてありがとう」


何だか俺に心配されて、嬉しそうだ。こっちがどれだけ不安だったか知らないみたいだ。


「じゃあ、感謝は身体で示してよね」


と強がって俺はミンミンにキスをした。


「あれ?こーゆーのはしないんじゃなかったの??」


「お前の感謝が足りないからだ。あと、俺の感謝も、伝えたくて……」


いざ言葉にすると恥ずかしい。こんなにもありがとうって思ってるのに。


「え?」


ミンミンはからかうように惚けたフリをする。あーもう、ムカつく!!


「……いつもありがとう。それだけ」


と顔を真っ赤にして、目を泳がせて言った。全然、格好付かない。


「ユーハオ、可愛い♡♡僕からもいつもありがとう」


ミンミンは余裕そうに俺を抱きしめながらそう言った。


「それでこれ。気に入るかどうかわかんないけど」


俺は机の上に置いていた紙袋をミンミンに渡した。


「何?」


「プレゼント。開けてみて」


ミンミンの好みがわからなかったので、ピョンに似た可愛いボストンテリアのキーホルダーをお揃いで買ってきた。ミンミンもピョンが好きだろうから、これでピョンをより近くに想ってくれたらと思って。


「わぁ、可愛い〜♡ピョンだ!めちゃくちゃ可愛い!」


「ちなみに、俺とお揃いです……」


とお揃いのキーホルダーを付けた鍵を見せた。


「何それ!一生大事にする!死んでも離さない!!」


ミンミンはそのキーホルダーを大事そうに胸へと当てた。


「良かった。喜んでくれて」


と一安心すると、ミンミンは舌なめずりをして、二っと口角を上げた。


「今の僕、めちゃくちゃありがたいって思ってるんだけど、この気持ちをどう身体で示したら良い?」


「もう、仕方ないなー。今日だけだからね!」


なんて言いながら、何だかんだこの瞬間を待ち望んでいたような気がする。ミンミンと手を繋いで、ベッドまでリードしていたら、ミンミンはふらふらと歩いていて体勢を崩して、俺をベッドに押し倒す形になった。


「ごめん、がっつくつもりは無いんだけど」


とミンミンは情けなさそうに笑った。


「そんな傷じゃできないんじゃない?やめとく??」


そんなつもりさらさらないのにそう聞くと、


「そしたら、ユーハオのがつらいんじゃん?」


なんてカウンターを食らった。


「いいから、ここ寝る!」


とミンミンを寝かせてその腰の上に跨って座った。そしてゆっくりと腰を動かしていると、


「いい眺め。超エロいねそれ」


とその腰にミンミンが手を添えてきた。


「そんなの、知ってるっての!」


今までの経験で培ってきたエロテクの数々をここぞとばかりに披露した。その度にミンミンの顔が蕩けていって、下半身のがそそり立って固くなるのがわかった。


「ユーハオ、僕のこと好き?」


と繋がる直前で言われた。


「意地悪っ……!」


「だって、両想いじゃないと挿入れられないでしょ?」


ミンミンは俺のことを焦らして楽しんでるみたいだ。俺は早くミンミンと繋がりたくて、


「好き!好きだから……!!挿入れて?」


滑稽にも愛を叫んで欲しがった。


「本当に可愛いんだからぁ♡僕も好きだよ♡♡」


ズブッと奥まで一気に挿入れられた。その刺激で意識がふっと飛びそうになってしまった。


「やばい……これ、本気でやばいかも……」


「あれ?数々の男のを咥えてきた君が弱音吐くなんてね。そーゆー演技?それでも唆るけど!」


と下からズブズブに激しく突かれる。その度に気持ち良さで頭がふわふわして死にそうになる。


「ダメ、ほんとにダメ……こんなの、初めてだからっ!!」


愛のあるセックスってこんなにも気持ちいいんだ。知らなかった。ずっと気持ち悪いとしか思ってこなかったから。


「あはっ、それ本気でダメなやつだ!可愛いね〜♡」


と腰を小さくゆらゆらを揺らしている。


「ミンミン、これ死んじゃうかもしれない……!」


「大丈夫だよ。僕がいるからね」


ミンミンと指同士を絡めて手を繋ぎながら、快楽に浸った。絶頂に達した。


「はぁはぁ、好き。ミンミン、好きぃ」


俺は全ての体力を使い果たしたように、力なくミンミンに覆いかぶさって、唇を重ねていた。


「ユーハオってこんな甘えたさんになっちゃうんだ。可愛いね♡」


俺の頭を撫でて、ミンミンの方からもキスをしてくれる。


「ミンミンは?好き??」


「好きだよ。大好き。愛してる。結婚したい」


彼はストレートに愛情表現をしてくれて、俺の心は溢れんばかりに愛情たっぷりに満たされる。けれど、


「結婚、結婚かぁ……」


毒親の影響で結婚に対するネガティブなイメージがまだ抜けない。


「僕にユーハオとピョンのことを守らせて」


こんな高身長で筋肉質な男っぽい顔立ちのイケメンをこの世の女子が放っておくはずがないのに、彼は俺のことをこんなにも本気で愛してくれる。こんなチャンス逃がしたくない!!


「わかった。結婚しよう、ミンミン」


「ありがとう、ユーハオ!!」


と彼は俺のことを強く抱き締めて、お尻を揉む。……お尻を揉む!??


「ちょっとミンミン、まさか、もう二回戦する気?」


「だって、この感謝を身体で示したくって!」


ミンミンは俺のお尻に腰に擦り付けて、もう固くなっているそれを押し付ける。


「この変態っ!」


俺達の新婚生活は性いっぱいの愛情で満たされてます

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