ーーん?学園内とはかなり性格が…違うようですが…?【sideアーサー・ギルバート】
こんにちは、月乃まつりです!
ついにやって参りました、ギルバート視点第三弾!
前回は、ギルバートがフィオナちゃんの屋敷に入っていくところまででした!
彼は『事情』として何を語るのか!
それでは、小説の世界をお楽しみください!
「で、どーゆーこと?」
とてつもなく広い大広間で私は問い詰められていた。
目の前の机で手を組み、全身で凄まじく強い『説明しなさい』オーラを放つのはターゲットの公爵令嬢、アメジアン・フィオナ。
「はい。説明させて頂きます」
私は恭しく一礼、そして話し始める。
話す内容はあらかじめ、決めてあった。
実際なら執事になる男から得た情報をもとに、決めたのだ。
「まず私の依頼主は、お嬢様のお父上でございます」
そう言うと、ターゲットは目を見開いた。
そして困惑の表情を浮かべて言った。
「え?お父様は、何年も前に死んでしまっているのだけど…」
これには私も驚いた。
「すでに死去されている…、と言うことでございますか?」
「ええ、そうよ」
ターゲットの返答に、私は眉を顰める。
そのような情報は、実際なら執事になるはずだった男の口からも出ていない。
一体、どういうことでしょう…。
「ーーまあ、それは一旦置いておくことにしましょう。貴方がわかることだけ伝えて」
先を促され、承知しました、とまた私は恭しく一礼、話し始める。
「十数年ほど前のことです。私はお嬢様のお父上から、先ほども申し上げました通り依頼を受けました。娘を守り、仕える様に、と。それゆえ私はこちらへ参ったのですが…」
ふむふむ、なるほど、とタイミングよく相槌を打つターゲット。
「私は、お嬢様のお父上が死去されたということは初耳でございました」
話は終わり、というふうにまた一礼するギルバート。
それを聞いたターゲットは、少し考えるそぶりを見せた後ーー
「どうしてこうなったのか、わかったかもしれないわ」
ーー静かな声でそう告げた。
「本当でございますか、ターゲッーー」
思わず口を滑らせる執事ギルバート。
「へ?ターゲ?何それ、美味しいの?」
目をぱちくりさせているターゲットに、なんでもございません、と誤魔化しながら彼は内心焦っていた。
勘違いをしてくれて助かりましたね…。
危ないところでした…。
ーーやはり、心の中ででも『ターゲット』と呼ぶのはやめた方がいいですね。
思わぬところで、出てしまう可能性がありますから。
これからは、心の中でも『お嬢様』と呼ばせて頂きましょう。
「それよりもお嬢様、何かわかったのではないのですか?」
続きをどうぞ、と添えるとお嬢様は、ふぅっと息をつきティーカップの紅茶を飲み干した。
そして話し始める。
「これはわたしの憶測だけれどーー、お父様は、依頼を秘密裏に行っていた。だからわたしも知らなかった。その結果、お父様が死去したためそのことを知る人物は屋敷からいなくなってしまい、伝える由もなかった。ーーそういうことじゃないかしら?」
ストンと、腑に落ちた。
なるほどですね…。
「お父様は秘密主義だからね。ーーあんの、くそじじい」
ことが余計にこんがらがったでしょうが、と毒を吐く彼女を見て、彼は目を剥いた。
お嬢様、学校内とはかなり性格が違う気がーーいや、十中八九違いますね。
執事は確信した。
執事は主の性格の差に驚きながらも、改めて末長くよろしくお願いしますを言うのであったーー。
前回後書きで次話はフィオナちゃん視点に戻るよー、的なこと言ってたくせにやりませんでした…。
ごめんなさい。
もしかしたらあと一話、二話くらいギルバート視点になるかもしれないです…。
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それではまた!