どちら様でしょうか?
こんにちは、月乃まつりです!
前回現れた謎の男は一体誰なんでしょうか?
それでは参りましょう!
「はーい、…って、え?」
誰、この人…!?
と、ととと、とにかく家に入れないようにしないとっ…!!
軽いパニックに陥ったフィオナは慌ててドアを閉めた。
だが。
これで一安心、ではなかった。
「ーーうぐっ!」
呻き声が聞こえて恐る恐るそちらを見やると、やはりそこには豪華な扉を顔面で受け止めて、顔をおさえる燕尾服の男がいた。
つまり。
扉が開いたのでこの男は中に入ろうとしたのだろう。
ところが、フィオナが扉を閉めてしまったので扉に頭を挟まれてしまったのだ。
「うわああああああぁぁぁっ!!?し、ししし、失礼しましたぁ!!!」
状況を一瞬にして理解したフィオナは、大声を発したあと男に対して平謝り。
凄まじい勢いで頭を下げた。
「い、いえ、お嬢様を驚かせてしまった私にも非はございます。どうかお顔をお上げくださいませ!」
ズレた眼鏡を片手で押さえながらこちらに謝ってくる男。
「う、うん…。ーーって、今、『お嬢様』って言った?」
と、言いながら、フィオナは目を見開いた。
今、お嬢様、と言わなかったか?
「ええ。そう言いましたが、何か?」
フィオナがそう問うと、男はわずかに首を傾げながら聞き返してきた。
いやいやいや、どういうことさ?
「『何か?』じゃないわよ。なんで、見ず知らずの男がわたしのことをお嬢様呼ばわりしてるのよ?」
思わず突っ込む。
「…?貴女は、アメジアン・フィオナ様ではないのですか?」
とまた首を傾げながら不思議そうな顔をする男。
こいつ、まさか意外と天然?
…というか、この男意外に顔が整ってるわね…容姿、人間離れしてるし…。
と心の中でぼやくフィオナ。
フィオナがそう思ったのも無理はない。
燕尾服の男は、艶やかな黒髪に、碧眼だったのだ。
その上、目鼻立ちもはっきりしていて恐ろしく整った顔をしている。
人間に見えない雰囲気があるのはそのせいだろう。
そう自分を無理矢理納得させるフィオナであった。
ところが。
「申し遅れました。私、悪魔族のアーサー・ギルバートと申します。本日よりアメジアン・フィオナ様の専属執事を務めさせていただきます。末長くよろしくお願いいたします」
と謎の男、もといギルバートは恭しく一礼。
…は?
ちょっと待って、こいつ、いやギルバートは人間じゃないの?!
心の中で叫ぶフィオナ。
悪魔って、どーゆーことよ!?
情報量が多すぎてキャパオーバーになり、頭痛を覚えるフィオナ。
「あの、大丈夫でございますか?その、顔色が…悪いようですが」
そんな彼女の異変に気付いたのか、フィオナの顔色を窺うようなそぶりを見せる執事ギルバート。
「い、いや、大丈夫よ…」
フィオナは引き攣った笑みを浮かべて答えた。
一旦、彼から話を聞くのが最善だと思ったらしい。
「とにかく入って。事情が全然飲み込めないから、どういうことか説明してもらうわよ?」
ふぅ、とため息をつきながらフィオナは悪魔の執事、ギルバートを家に招き入れるのだったーー。
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それではまた!