ようやくお昼を食べることができますわ
こんにちは、月乃まつりです!
小説の世界をお楽しみください!
「わたくしは用事がありますので、これで」
そう言ってあの場をなんとか切り抜けたフィオナは、裏庭で深くため息をついた。
わたくしはアメジアン・フィオナ。
アメジアン公爵家の令嬢です。
紫の瞳に、ネイビーの髪。
アメジアン家の由来は瞳の色からきているんだそうです。
(アメジアン公爵家はこの国の国王も恐れるほどの権力を持っているとお父様がおっしゃってましたね)
故に学園内では距離を取られている。
その方々は手出しをすれば潰されると思っているようなのだ。
(まあそんなこと、するわけがないのですけど)
ーーというのが、本当のところであるが。
がさごそと荷物の中からお目当てのものを探す。
「ありましたわ!」
お目当てのものとはーー
「お昼のサンドイッチですわ!」
ーー昼食のサンドイッチだった。
タマゴとレタスのサンドイッチ、ツナとレタス、トマトのサンドイッチ。それにアイスティー。
「今日のお昼も美味しそうですわね」
なぜ、学園の食堂で食べないかというとーー
「またお弁当やら学食やらをひっくり返されてはたまりませんものね」
ーー食堂で食べると、いじわる女子フーアがお弁当やら学食やらをひっくり返してくるからである。
ひっくり返された食べ物を掃除する清掃員たちの身にもなってほしい。
フーアは「はあ?掃除をするのがあいつらの仕事でしてよ?」と笑って耳を傾けもしないだろうけど。
ーーということはひとまず置いておいて。
サンドイッチにぱくりとかぶりつく。
ツナとタマネギ、レタスの相性が最高で、いくらでも食べられてしまう。
美味しさに手足をぷるぷる、ぱたぱたしていたときだ。
「あ、やっぱりいた」
「フィオナちゃん、みぃつけた〜!」
という声が聞こえたのは。
声がした方を横目で見ると、そこには女の子が二人いた。
「…なんで、ここがわかったの?レティシア、アリア」
と呆気に取られて聞く。
「『なんで』じゃないでしょ、フィオナ」
涼やかなブルーの瞳と銀髪のクロフォード・レティシアは呆れたような色を顔の全面的に出しながら言った。
「そうだよ〜、フィオナったらいっつもここでお昼食べてるんだから〜」
可愛らしい濃いピンクの瞳と薄桃の髪のフローレス・アリアは頬をぷくぅっと膨らませて不満を顔に出しながら言った。
う。
そうだったわ。
いつもフーアにバレないように裏庭で食べているからそりゃあわかるわ。
「仕方ないでしょ、フーアにバレないためにはここしかないんだから」
とため息をつきながら答える。
なぜ、バレないと言えるのか。
実はフーアは大の虫嫌い。
裏庭は多くの虫がいる。
つまり、フーアは近づかない。
ーーということから、ここがバレることはないのだ。
「だよね〜」
「なんか、フィオナってばフーアにちょっかいかけられるの日常になってる気がするんだけど…。」
おっしゃる通りでございます、レティシア嬢!
完全に、日常になっております!
「うん、レティシアが言った通りだよ…」
とガックリと頭を垂れるフィオナ。
「ちょ、そんなに落ち込まないで!」
「大丈夫〜!?」
ーー二人に励まされるフィオナであったーー。
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