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プロローグ 光と闇の始まり

かつて――この世界には、二柱の神がいた。

ひとりは聖光神(せいこうしん)レナウス。

もうひとりは穢闇神(あいあんしん)テキウス。


レナウスは光を、テキウスは闇を司り、

ふたりの手によって世界は均衡していた。

だが、やがて闇の神の胸に“欲”が生まれた。

この美しき世界を――独り占めにしたいという欲望が。


そして起こったのが、神々の戦争。

その名も――光闇戦争こうあんせんそう


テキウスは闇より**闇獣やじゅうを生み、

それらを統べる者として闇人やみびと**を造り出した。

対してレナウスは、

人間・亜人・魔物を創造し、光の秩序を支える者たちとした。


その中でも、ごく僅かに――

光のマナを受け入れる“器”を持つ人間の女性がいた。

レナウスは彼女らに自身の光を分け与え、その身に聖なる魔力を宿した。


そうして生まれたのが――聖女。


聖女の加護により、光の神の軍は反撃を果たし、

長き戦いの果てにレナウスが勝利した。

そして世界には、束の間の平和が戻った。


「――どうだぁ、リノア。この昔話、好きだろう?」


低くも優しい声。

焚き火の赤が壁を揺らす。

たくましい男が笑いながら、膝の上の少女を覗き込んだ。


「うん! だいすき!」

「だって、わたしと同じ髪の色の子が活躍するんでしょ! だからすきー!」


少女は笑う。

水色の瞳が星を映し、真白な髪が焔の光で金色を帯びる。

父カルレンはその頭を大きな手でわしゃわしゃと撫でた。


「そうだぞ、リノアとおんなじ、白い髪の聖女なんだ」


「いたいよ〜、おとうさん〜!」


文句を言いながらも、リノアは頬を緩め、

そのごつごつした手を小さな指でぎゅっと握る。


「おとうさん、今日は左腕のとこ痛くない?」


「ああ、今は大丈夫だ。朝の冷えが強い日は、ちょっと疼くくらいだな」


カルレンは、もう存在しない左腕のあった場所を右手でそっとさすった。

彼はかつての冒険者。

魔獣の討伐の最中に腕を喰われ、片腕を失っている。


「それならよかったあ!」


リノアは嬉しそうに笑い、カルレンの胸に抱きつく。

その小さな体の温もりに、男の心がゆるむ。


「おとうさん、おねえちゃんは? 朝から見ないけど……」


「モニカなら森だ。今日も魔物狩りに行ってる」


「また森かぁ……いっしょにいてほしいのに……」


寂しげに呟くリノアの頭を、カルレンはそっと撫でた。

その手つきは、まるで祈りのようにやさしかった。


   * * *


リノアたちが暮らすのは、

トートル諸島の南端に浮かぶ小島――カスボ島。

周囲を森と海に囲まれた、小さな農村だ。

村人たちは互いに支え合い、自給自足の生活を送っている。

魔物の姿も時折見られるが、村の自警団が見回りを行い、

おおむね安全が保たれていた。


ただ、島の南にはもう一つ、小さな島がある。

鬱蒼と木々が生い茂り、人の気配はない。

昼夜問わず時折――

「うわあああっ」という叫び声が、風に乗って届く。


人々はその島をこう呼ぶ。

「叫びさけびじま」。


泳げば渡れぬ距離ではない。

だが、誰一人として近づこうとはしない。


   * * *


カルレンがリノアの髪を撫でていると、

「すぅ……」という寝息が聞こえた。

無防備な寝顔に思わず笑みがこぼれる。


「やれやれ……」


カルレンは娘をそっと抱き上げ、

布団の上に静かに寝かせる。

頬にかかる白髪を指で払うと、微かな寝息とともにリノアが小さく動いた。


男は近くの椅子に腰を下ろし、

暗い天井を見上げながら、目を閉じる。


――聖女。


聖光神レナウスのマナを受け継いだ者。

生まれながらにして白髪を持ち、光のマナを操ることができる者。


この世界には二十基の塔が存在し、

聖女は十三歳になると、それらの塔で試練を受ける義務を負う。

その掟は、神の名を冠した国――

レナウス聖神国によって定められた、**絶対の法**金科玉条

(きんかぎょくじょ)だ。


レナウス教は世界中に根づいており、

掟に背く者は異端者として扱われる。

その罰は――家族もろとも、聖神国へと連行され、処刑。


塔の試練をひとつ越えるごとに、

聖女の手の甲には光の模様が浮かぶ。

そして、全ての塔を制した者は、

“神に最も近い存在”として、ひとつだけ――願いを叶える権利を得る。


その後、彼女らは聖神国の庇護のもと、

“世界の平穏”のために生涯を捧げる。


――聖女は、生まれた瞬間から運命を背負っている。


カルレンは静かに立ち上がり、

眠るリノアの額に、そっと唇を触れさせた。


「……おやすみ、リノア」


月光が窓から差し込み、

白い髪を淡く照らしていた。


   * * *

見てくださった皆様、初めまして、小野寺翔と言います!

今回この作品が初なのと初投稿となります。

色々と初めてでつたない所が多くあると思います、ですが皆様面白い作品を届けようと思いますので応援してくだされば幸いです。

投稿頻度は週に一回を予定しております

仕事との兼ね合いで投稿ができない日があるかもしれません、その時は申し訳ございません。これから皆様宜しくお願いします!


ここからは、カスボ島の特産物、有名な場所を紹介します

特産物、「カスボの実」

見た目は、レモンの表面に角が丸まった棘が何個もある実

採れたてが一番美味しくかじると、口いっぱいにさっぱりとした甘味が広がる、カスボジュースはこの世界では人気の飲み者である

有名な場所 龍涙湖(りゅうるいこ)

300年前に家族を失った龍が泣いて出来た湖だと言われている

湖なのに舐めると若干しょっぱい


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