同居七十日目 一つのタワーの誕生の瞬間
待ってろやー隊長!!
きさんの背中揉み解してやらーこんちくしょうめが!!
気合を全身にみなぎらせ背中には壮大なオーラを背負いお風呂上りの隊長をリビングにて待ち構えています。
ドアを開けながらタオルで髪を拭く姿がこちらから見えます。
おっ……おぉぉぉう!!
目がぁ!!目がぁ!!
「ミディナ?」
小首をかしげんといて!!
なんていう事でしょう。
普段から美しい顔が髪から垂れる水によって神々しいまでの美しさを放ち…
いやもう何ていうか忘れてました。
気合入れすぎて違うところに気合を入れるのを忘れていました。
何べん煌びやかな隊長に目を粉砕されかけたことか。
やたら綺麗な顔してやがりますので私のような人間は視線だけで消毒されてしまうような気がします。
湯上りの隊長には気合をいつも入れているのですが何という失態でしょう。
「いえ、何でもありません」
確かにいきなり目をかっぴらいて見つめてきたら疑問にも思うでしょう。
そんなこたぁいいのです。
とりあえずそこのラグに寝そべりなよ、そこのにーちゃん!!
とは言わずにいつもやっていただいてるので今日は私がやらせていただきます。
そう言って私の考えが読めないのか疑問符が頭の中に浮かんでいるであろう隊長に寝そべっていただき失礼しますと背中に乗らせていただきました。
その瞬間魚のように跳ねて落ちるかと思いました。
乗馬の最中に速度を出すポーズが分かりますでしょうか。
そのポーズをとってしまいました。
一瞬空気が止まったのが分かりました。
先に動いたのは隊長でした。
顔の下に敷いていた腕を少し伸ばし若干逃げの体勢に入っています。
「ミディ……ナ」
何でそんなに息が切れてるんですか隊長。
無駄に悩ましいんですが。
「嫌ですか?」
少し体を乗り出して隊長の顔を覗き込むと嫌悪感はないようですが何かを耐えるような顔をしています。
そんなに苦しいんでしょうか。
「重いのでしたら止めますか?」
嫌がっている人に無理にやる趣味はありません。
いたし方ないですが今日のところは諦めようかと思ったら、
「重くない、むしろ軽い。頼む」
何故か、気迫のこもった返事が返ってきました。
伸ばした腕を元に戻しやってくれと促されます。
そういうのならばとゆっくりと背中に手を這わせこっているであろう場所を指圧していきます。
身長のせいもありますが、程よくついた筋肉のお陰か広い背中なのでやりがいがあります。
「っぐ……っ……」
隊長、もの凄くこっていたんですね。
痛気持ちいいのがいいんですよ。
徐々に体をずらしながら腰の辺りも揉んでいきます。
段々と呼吸も荒くなってきたのでここいらでやめておきますか。
本当は足の辺りまでもいきたいのですが、時間も押しているので隊長からどいて顔の横に座ります。
隊長は呆けたような顔をしていたのでなかなか気持ちよかったのでしょう。
満足感とともに声をかけるととろりとした瞳が私を見つめます。
何この生き物怖い。
鼻血噴くわ。
まぁ私程の人間になると口から出せますがね。
鼻と口は繋がっていますから。
調子こいて隊長の立ち上がる姿を眺めていたらソファに座り腕を広げています。
「ミディナ、おいで」
行くと?行くと思っているんですか!?
行きませんよ。行きませんとも。
今日はいつもの私じゃないんですから。
だから何でそんな顔して。
なっ何だと?
そんな顔したって私は……
ピギャァァァァァ!!
小さい頃からの習慣か、副隊長は背中を揉むとき背中に乗らないとできないものだと思っています。
副隊長は自然に受け止めてますが肩を揉まれる時隊長の足の間に入ってたりします。
色々良く耐えていると思います。
そこらへんは隊長視点で書きます。いつか。