同居六十七日目 人気メニューエリザベスのしっぽランチ
エリザベェェェェェェス!!
どうして貴女はそんなに可愛らしいのぉぉぉ!!
そんな声を前方から感じつつ食事をとっています。
耳は心の耳栓をしているはずなんですけどねぇ。
いやぁ、褒め称える声がまるでオペラのようにええ声していらっしゃいます。
本日は研究所に隊長とともに付き合わされ、会議や研究の協力が終わり少し遅めの昼食をとっているところです。
どうしてこんな状況になっているかも会議の内容でわかると思いますので回想させていただきます。
その間、巨大な肉と戦います。
でかけりゃぁいいってもんじゃねぇんだぞ。
エリザベス捕獲から十日過ぎた日にやっとこエリザベスに投与された薬が判明したそうです。
一種類の薬だけでなく複数の薬が投与され複雑な遺伝子配列になっており調査は難航していたようですが、ノスさんの閃きにより調査に必要だった材料の入手ルートやこれから実験されるだろうとされる魔物を推測したデータが出来たらしいのです。
我々も十日間何もしていなかったわけではありませんよ。
他の薬を投与されたとされる魔物を捕獲しに行ったり怪しいとされる場所に突撃したりしてました。
捕獲しに行った魔物は恐らくエリザベスと同様投与されているとは思うのですが最初から動きが鈍く捕獲は簡単かと思われたのですが途中で皮膚が溶け出し最後には跡形もなく気化してしまいました。
体液が染み込んだと思われる土を持ち帰り解析してみても何も判明しなかったので開発途中の薬だったか、それとも適合するものとしないものがいるのか、それによって細胞から崩壊したのではないかと推測されるそうです。
開発途中の場合エリザベスが成功したと考えると開発は最終段階にはいっているので早急に見つけ出さないといけないらしいです。
もしこれが敵国に売り出されたとしたら問題です。
エリザベス級の魔物が簡単に作り出せるようになるとしたら一気に我々の国は滅んでいくかもしれません。
現段階ではその可能性が一番高いそうで、
エリザベスが激しい戦闘を行った後だというのに元気に生きているからです。
生物としては考えられないほどの自己修復速度、欠損した部分すら細胞が分裂し新たな細胞として活動し始めるらしいです。
どうしてわかったかというとノスさんの閃きという名のエリザベス弄りで睫毛をぶち抜きそれに絶叫しつつ涙を流したのでそれを解析してみたらしいです。
涙が他の体液よりも高濃度の成分が検出され涙腺が要となっているのではないかということです。
どろどろとした涙は薬の成分が濃いからだそうです。
他にも電流を流してみたりえげつないこともやってみたりしてほぼ解析できたらしいです。
私怨が入りまくっていますが、それというのもノスさんが恋心を寄せている食堂の彼女がエリザベスを気に入ってしまい、
会話が出来るようになったのはいいけれどエリザベスの事ばかりなので嫉妬しているらしいです。
あのゲテモノを可愛いと言える彼女も凄いですがそんな彼女を可愛いといい嫉妬できるノスさんも凄いです。
どうしてエリザベスを彼女が知ったのか聞いたら言葉を濁していましたが教えてくれました。
何でも入れておいた檻を破壊され脱走した場所が食堂裏の庭だったそうです。
そこであわや食堂で働く彼女を含む職員達が殺されてしまうと思った瞬間彼女がその手に持っていたランチを大きく開いた口に投げ入れたところ大人しくなり懐いてしまったそうです。
そこから引き離そうとすると酷く暴れるし餌を与えておけば体を弄くっても暴れないので作業は格段に進んだらしいです。
あんな魔物を監視付とはいえ放し飼いにできるのには神経を疑います。
いつ何時襲い掛かってくるのかとか考えないのでしょうか。
研究者は基本螺子が数本外れていると聞きますがこの研究所に至ってはそうなのでしょうね。
わざわざファンシーな首輪を開発してつけるくらいですからね。
そしてそれを気に入るエリザベスもどうかと思いますが。
機能はえげつないもので一応庭のある範囲内を越えると頭がパーンッとなるらしいですが。
それもちゃんと効くのか疑わしいじゃないですか。
しかも食堂の窓から覗くのは大丈夫なのかと思ったら調理場からしか見えないので問題ないそうで、
今日も可愛いなどと窓をうっとりと眺める彼女に食堂で働く皆さんは窓を見なければ叫ぶ程度だからいいかとそっとしておいてあげているらしいです。
慣れるの早いな!!
会議の三分の一は彼女の事を話していましたが今後の方針も決まり会議は滞りなく進みました。
開発協力も試着と軽い動作テストで終わりましたしね。
まだ改良していくらしいです。
そこまではいいのですが、会議の話が進むにつれて、
何故か隊長とノスさんの友情が深まり飲みに行く約束をしていたのが怖いのですが。
ノスさんが食堂の彼女を紹介してくれるというのですが副音声で仲を取り持てよという声が聞こえます。
隊長がやけに乗り気なのが問題です。
私強制じゃないですが。
今回はお断りして事件が落ち着いたとらという事で先延ばしにしたのですがこれを完全に消滅させるわけにはいかないのでしょう。
なんだかめんどくさい匂いしかしないです。
あっ餌の時間なのかノスさんの想い人が肉ぶん投げた。
肉は結局食べきれずに隊長に食べてもらいました。
一緒に生活し始めてから気軽にこういう事ができるようになりました。
馴れって凄いですねぇ。
馴らされている副隊長。
じわじわと侵略していく隊長。
そして次はあーんを目論む隊長。
それと気づかず無意識に身を委ねそうな副隊長。