同居五十五日目、ただの残像だ
おっおぉぉぉぉぅ?
たっ隊長があの魔物に突撃しやがった。
思わず変な声を出してしまったではないですか。
打撃音で周りには聞こえていなかったとは思いますがね。
素早すぎて見逃しかけましたが、隊長の指の動きで指示を出したのが見えました。
隊長が攻撃をして様子を見てから総攻撃という強敵に対する作戦指示のようです。
普段は隊長自らというのは無いのですが、隊長の強さが規格外なので確実な方法なのです。
それをするだけの強さを隊長は感じとったのでしょう。
それにしても隊長、物凄い勢いでボコってますが出来れば生け捕りでっていう言葉を覚えていますでしょうか。
そして奇抜な姿してるのに強いな魔物よ。
私は正直に言えば魔物の気持ち悪さと隊長の魔王の如く恐ろしい強さに近寄りたくありません。
ありませんが突撃しなくっちゃいけないんだろうなと諦めた心地で突っ込んでいく事にします。
魔物の体長は通常の二周り程でかく全身硬い鱗で覆われ大きく伸びた牙と蹄のような足で攻撃してくるのですが、
ピンクな上に凶暴な姿を無理矢理ファンシーにしようとしているものだから違和感が拭えません。
その違和感が不快感を刺激してくるのです。
絶対名前はエリザベスだ。
それ以外は認めん。
エリザベスの特性を脳内で確認しながら振り上げる足をかいくぐって隊長がいつの間にか抜いた剣で腹部を斬りつけている場所とは反対のところを斬りつけていきます。
部下達も頭部へと魔法を打ち込んでサポートしていますがあまり効いていない様子です。
通常は小さく攻撃するのに向かない尻尾も実験の結果でしょうか大きくなり、まるで意思をもったもう一つの生物のように攻撃してくるのも斬りつけるのを邪魔してきます。
それを避けながら攻撃する隊長強すぎて怖いよ!!
残像で隊長が三人に見えるよ!!
暫くすると弱り始めてきたのかエリザベスの動きが鈍くなってきました。
すると隊長が指示を出したので一斉に隊長と魔物から距離をとり隊長の動向を伺いました。
隊長は回し蹴りをエリザベスに放つと魔法を発動させ巨大な剣を出現させエリザベスを串刺しにしました。
巨大なピンクの生物がびっしりとまつ毛を生やした大きな瞳から大粒の涙と言う名の粘着液を出すのはとてつもないホラーでした。
金属をすり合わせたような鳴き声も相乗効果で嫌な気分にさせます。
部下の一人がホラー物が苦手なのか涙目でした。
可哀想に。
でも、ありがとう。
周りにそういう人間が居ると冷静になるタイプなので大変助かります。
そのままの貴方でいて下さい。
捕獲可能だと判断したので無線を使いノスさんを呼び出します。
ええ声してやがるのにイラァとしましたがノスさんだもの。
一時間程で着くというので更に頑丈に捕縛用の魔法でも掛けときますますかね。
本当はシフ隊がいたら楽なんですがめんどくさいのでお断りします。