同居四十六日目、食用花の有効活用
あーもー可愛いなぁこんにゃろう
あれかあれなんかちゅっちゅして欲しいのかこのやろう
フラウたんめこのやろう
もっふもふやんなぁ
ん?
フラウたんもおっちゃんの事好きかい?
おっちゃんも好きだよーーー!!
と戯れていたら
野郎共に無駄な連帯感が生まれていました。
そんな娘を見るような目で見るな!!
私を見るなぁぁぁぁ!!
おとうちゃん!!なんて言いませんからね!!
特に隊長、貴方バックにお花の幻覚が見えるんですが、むしろ魔力でリアルに花が飛んでいるんですが。
素晴らしく似合っております。
素敵です。
ですが私には理解できない趣向です。
ギャグ以外で男のバックに花が飛ぶのは笑えません。
アルタさんもごっつい体型して見守る目はほわほわしやがって可愛いじゃないか。
そもそもなんでこんな状況になったかというと。
忌まわしいあの日から五日が過ぎた晩に隊長が首輪を片手に帰ってきた時からです。
一緒に選んでしまった首輪は大層フラウたんに似合っておりまして、
思わず抱き上げてにへぁって笑ってしまったのが衝撃的だったようで隊長がビクゥっとなっていました。
いやね、オタク歴十二年の私がですよ?
幼児の頃ならいざ知らず、己の本性を隠すプロとまで自認する私が瞬きするより短い一瞬の笑みを見られた事に吃驚しました。
どんな動体視力してやがんだと。
貴方の目は……いやチートキャラに文句言っても仕方ありませんよね。
光り輝いていればいいと思います。
その後おもむろに懐からカメラを取り出しバシバシと撮られその様がまさに初孫を喜ぶ祖父か娘が産まれた父親のような光景でした。
過保護にフラウたんを守っているアルタさんならこの現状をどうにかしてくれる!!
と思った私は浅はかでした。
もっとやれと目が物語っておりました。
カメラを理解していなくとも自分に有益であると判断したんでしょう。
過保護なら止めるんじゃないかと疑問が起きるでしょうが一応観察してみたところ、
アルタさんと一緒にいるフラウたんは大人しいのですが私だとでろでっろに甘やかす駄目人間だというのが分かっているのか甘え放題なんです。
しつけはしますがそれ以外は甘いです。
もう歩くだけで興奮する。
下斜めから眺めていたい、肉球に踏まれたい、そんな人間に遠慮はいるかとばかり甘えるのでアルタさんは嫉妬を通り越して幸福を覚えたようです。
クールな顔して中々のダメ男っぷり。
将来絶対に尻に敷かれるタイプです。
そんな日が続き、表情筋の修行をしつつフラウたんの可愛らしさに耐え切れない私は戯れる事をやめられないのが現状です。
最近ではカメラの技術が上がっているのか隊長のスキルにギリギリと嫉妬するばかりです。
何だかむずかゆいので止めて欲しいのですが野郎共の混じりたいという空気をスルーするので手が一杯です。
ちなみに隊長のバックに散らばった花は食べれます。
生でよし、お菓子に混ぜてよしと大変美味しいのですが、何故食べれると分かったんですか隊長。
Q どうしてバックの花が食べられると判明したんですか?
A 例の幼馴染が幼少時に食べたからです。
幼少の頃、偶然懸賞に当たり珍しく喜んだ隊長はバックに花が飛び散りました。
微かに香る甘い匂いに幼馴染あの男が掴み取り食べたのが始まりです。
隊長が喜ぶのは滅多にないのでレア食材扱いです。
金持ちの癖に意外と庶民的なことで喜ぶ隊長。
懸賞は季節の果物盛り合わせでした。