同居十九日目、断固拒否。
朝起きて素敵な必殺の文字が書かれたアイマスクに私の目を保護してくれた事にお礼を言ってからベットを出た。
シンプルな文字だけというのも趣があっていい。
そう思いながらしっかりとアイマスク専用の棚へと収める。
棚の外見が淡いピンク色なのが空しさを増幅させてくれやがりますけどね。
そろそろ部屋の色相について文句を止めなくてはいけないと思うんですがこの家、
借家だから模様替え出来ないんですよね・・・・。
心の余裕が出来るまで許して欲しいと思うしだいであります。
酔っていないといっても大量に飲酒しただろう隊長の為に胃に優しいものにしようと昨日調べておいたレシピを頭に叩き込んでリビングに向かうと居てはいけないものがいた。
しいて言えば生き物、信じられないことに人間の男。
もっと詳しく言うと同じ仕事場の男。
回りくどすぎて分からないかもしれませんが私も分かりたくありません。
頭が混乱気味です。何でコイツがいやがるんだ。
ネイビー色のゆったりとしたソファに仰向けになりスピョーという寝息を立てている男に肘からダイブしたくなったのは仕方のなかった事だと思います。
無駄に可愛らしい寝息なのが殺意を増幅させてきます。
そこには私が苦手だと言っていた隊長の幼馴染。
クイール隊長が健やかに寝ていらっしゃいました。
どうして此処にいるのかは分かりませんが、あまり同居している事を他の人間に知られないようにした方が良いという話は何処に消えていったのでしょう。
どうせ連れて来るなら私の知らないところでやってきて私の知らないところで帰って頂きたい。
そしてクイール隊長が居るという事はこの人の食事の用意をしなくてはいけないという事でしょうか?
視察に加え食事の用意と朝早く起きているのにそれに加えこの男の世話までしなくてはいけないとは・・・。
ほんの少しの手間とはいえ、やりたくない事は誰しもあるはずです。
どうして此処までこの人を嫌っているのか疑問に思っているかもしれません。
それにはわけがあるんです。
普段、私は比較的温厚な性格だと自負しています。
それでも嫌ってしまう理由はまだ私が入りたての訓練生の時の事です。
その時の屈辱は忘れたくても忘れる事が出来ません。