同居十一日目、贈り物。
ピンクの呪縛から逃れられない私ですが、最近馴れてきた事に悲しみを覚えました。
こうして人は成長していくのですね。
・・・・、朝ごはんを作りますか。
朝からもりもり食べている隊長は見ていて気持ちがいいです。
時間がある時は食器を洗ってくれたり色々と手伝ってくれるので、
概ね良好な同居生活が育まれているかと思います。
そして飲み物を入れるのが上手いので同居して良かったなと少しだけ思ったりしてます。
紅茶派だった私も、最近ではコーヒーも良いと思えるようになりました。
何故かコーヒーを飲むと眠くなるので朝は遠慮したいのですが飲んでしまう罠が。
食事を終えた後は準備をして買出しへ。
スマートにエスコートを行う隊長に羨望の眼差しを向ける私は何処かずれているのでしょうか。
いや、紳士倶楽部会員としてそこまで相手に気付かれる事無く思うがままに女性を導く姿を見て熱い眼差しで見ない者など居るはずがありません。
ちなみに正装は燕尾服かと思いきやスーツです。
男の戦闘服ですからね。
私は女ですが性別の垣根は関係ないという倶楽部の方針なので僅かばかりですが女性も居ます。
幹部のヒツライツ様は女性ですが、この私でもうっかりときめいてしまう程です。
下っ端の私ですが相手の力量くらい分かる。
隊長は幹部候補と言ったところですね。
などと、考えながら車に揺られていると付きました。
ブルジョワ臭のする建物へ。
今日は頼んでいたものが届いているらしく付いてきて欲しいとの事。
うぉっ!?まぶしっ!?
洋服店にいきなり入るとか私を滅するおつもりですが。
そうですか、その喧嘩受けて立たないので帰らせてください。
ゲーム買わせてください。
「出来たものは」
隊長こなれてやがりますね。
私も馴染みのゲーム屋と本屋では顔を覚えられていますよ。
やったね!!
「こちらでございます。」
半分意識がゲームへと向かっていった私の目に映ったのは
ひらひらふわふわとしたワンピースやコートやら靴までも、店員がわさっと出してきたところでした。
「お嬢様に大変お似合いです。」
そう言って差し出されたのは私。
それを見て頷くのは隊長。
試着室へ追いやろうとする店員。
何が起こっているのはわかりませんが頼んだ覚えがありません。
押し込まれた試着室の中で鏡を見てみると現実逃避をしたくなった。
これは着ないと出れない気がしたので素直に着ましたけど。
チキンですみませんねぇ。
「似合っている。」
消え去りたい気持ちを押し殺して出てみるとふんわり笑う隊長がお目見えしました。
だから、デレるのはまだだろうと何べん言ったらわかるんだとぉぉぉぉ。
確かにそこまで似合わないわけではないですが、隊長に微笑まれる程のものではありません。
こんなふわふわしたもの子供の時でも着ませんでしたよ。
毎日がサバイバルでしたからね。
「このまま着て行く」
何処へ!?
と思ったら着替えた服や靴、他の荷物を車に置いて普通に買い物に行きました。
微笑ましく見てくる奥様達が恐いです。
私は何歳に見えているのでしょうか。
恥しくないんですか?
私は子供ですか?
風船なんて・・・いります。