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ペロペロ

作者: あさひ

うちの猫は可愛い。

白黒のハチワレで、生後1週間にも満たないくらいの小ささで道端に捨てられていたのを、私が見つけて飼い始めた。

2時間おきのミルクや下の世話。ちょうどコロナが流行り始め、自宅待機を求められていた頃だったので付きっ切りで育てることが出来た。

この子もすっかり私を親猫だと思っている様だ。

とても頭の良い子で、1度目を見て注意すれば同じ悪戯をする事はないし、戯れても爪を立てる事も無かったし、甘咬みをしてきても決して私を傷つける事は無かった。

とにかく甘えたな猫で、私が家に居る時はずっと側に居た。

私がベットに寝転がって本を読んでいると、私の足の甲を枕にして丸くなり毛づくろいを始める。その延長で私の足の甲も舐めて毛づくろいしようとする。ザリザリとした舌の感触。ネットで愛情表現だと書かれていたので我慢するが、結構痛い。もう我慢が出来なくて足を離そうとしても、前足で抱え込んで離そうとしない。可愛すぎる。諦めて少しずつ舐める位置をずらす様に足の角度を変えながら、猫の気が済むまで舐めてもらう。

毎晩繰り返される寝る前のちょっとした儀式だった。


その日の夜も私は就寝前ベットの上で本を読んでいた。

トテトテと猫のくせに足音を立てて廊下を歩いてくる音が聞こえてくる。猫用に開けた戸の隙間から寝室に入り、ジャンプしてベットに上がる。枕元に座りニャーと自分の存在をアピール。一撫でニ撫ですると満足気に足元に移動し、私の足の甲を枕に丸くなる。フワフワとした柔らかい猫毛の感触。私は読書に戻り、猫は毛づくろいを始めて、そのうち延長で私の足を舐め始める。

今日の本は私の好きな作家の新作で、夢中になって読んでいた。ザリザリとした猫の舌はやっぱり痛くて少し足の角度を変える。


ペロペロと爪先を舐められ…ん?ゾワッと鳥肌がたった。

気持ち悪い!瞬間的に嫌悪感が湧き上がる。

本をずらし猫を見ると、大きな頭だけの男が私の足先を舐めていた。

ヒッっと息を呑むと男はニヤッと笑ってベットの下に落ちていった。

音はしなかった。

猫も居なかった。

その日以降、うちの猫が見つからない。

うちの猫が寝る前によくペロペロしてくれるので、あったら嫌だなを書いてみました。

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